SmartHR 調査レポート
1. 基本情報
- ツール名: SmartHR
- 開発元: 株式会社SmartHR
- 公式サイト: https://smarthr.jp/
- 関連リンク:
- ドキュメント: https://support.smarthr.jp/ja/
- カテゴリ: 労務管理、タレントマネジメント、人的資本経営
- 概要: SmartHRは、労務管理の効率化からタレントマネジメント、さらには人的資本経営の推進までを支援するクラウドプラットフォームです。入社手続きや年末調整などの労務手続きをペーパーレス化し、従業員情報を一元管理することで、人事戦略のデータ活用を促進します。
2. 目的と主な利用シーン
- このツールが解決しようとしている課題: 煩雑な労務手続き、従業員情報の散在、タレントマネジメントの非効率性、経営におけるデータ活用の困難さなど、人事・労務領域における様々な課題を解決します。
- 想定される主な利用者や部署: 人事・労務担当者、経営者、従業員など、組織内のあらゆる従業員が利用します。
- 具体的な利用シーン: 入社手続き、年末調整、給与計算、人事評価、従業員サーベイ、組織図の作成、人事データ分析など、多岐にわたる人事業務で活用されます。
3. 主要機能
- SmartHR労務管理:
- 入社手続き・雇用契約: 従業員情報の収集から契約書の締結までをオンラインで完結。
- 勤怠管理: 日々の出退勤管理を効率化。
- 給与計算: 勤怠情報と連携し、給与計算を自動化。
- 給与明細: Web上で給与明細を配付。
- 文書配付: 雇用契約書や社内規定などの文書を電子的に配付・回収。
- 年末調整: 従業員からの情報収集をペーパーレス化し、計算を自動化。
- 人事労務レポート: 蓄積されたデータから各種レポートを作成。
- SmartHRタレントマネジメント:
- 採用管理: 候補者の情報を一元管理し、選考プロセスを効率化。
- 人事評価: 目標設定から評価までをオンラインで実施。
- 配置シミュレーション: 従業員データを基に、最適な人員配置を検討。
- キャリア台帳: 従業員のキャリアプランを記録・管理。
- スキル管理: 従業員のスキルを可視化。
- 学習管理: 研修の受講状況などを管理。
- 従業員サーベイ: エンゲージメントサーベイなどを実施し、組織の状態を可視化。
- HRアナリティクス: 人事データを分析し、経営の意思決定を支援。
- マネジメント育成計画: 次世代のリーダー候補を発掘・育成。
- 従業員ポータル:
- スマホアプリ: スマートフォンからでも手軽に利用可能。
- メッセージ: 従業員とのコミュニケーションを円滑化。
- お知らせ機能: 社内のお知らせを周知。
- 汎用申請: 様々な申請手続きを電子化。
- AIアシスタント: 従業員からの問い合わせに自動で応答。
- 従業員データベース:
- 組織図: 顔写真付きの組織図を自動で生成。
- 名簿: 従業員情報を一覧で管理。
- 従業員情報申請: 従業員自身が情報を更新できる。
- ID管理機能:
- アカウント管理: SmartHR上の従業員情報と連携し、各種SaaSのアカウント発行・停止を自動化。
- セキュリティ強化: 退職者のアカウント削除漏れを防ぎ、情報漏洩リスクを低減。
- プラットフォーム機能:
- SmartHR Plus: 外部SaaSとの連携を強化するアプリストア。
- API連携: 開発者向けAPIにより、他システムとの柔軟な連携を実現。
4. 特徴・強み (Pros)
- 人的資本経営の実現: 労務管理で収集した正確な従業員データを、タレントマネジメントや人事戦略にシームレスに活用でき、データドリブンな意思決定を支援します。
- 高いUX/UIと使いやすさ: 従業員、管理者双方にとって直感的に使えるデザインで、PCやスマートフォンに不慣れな人でも簡単に操作できます。
- 豊富な外部サービス連携: SmartHR Plusを通じて、給与計算ソフトや勤怠管理システムなど、様々な外部サービスと連携でき、バックオフィス業務全体の効率化が可能です。
- 充実したサポート体制: 導入フェーズに合わせたサポートコンテンツや、チャットサポート(有料プラン)など、手厚いサポートが受けられます。
- 万全なセキュリティ: 組織的・技術的対策の両面からセキュリティを担保しており、安心して利用できます。
5. 弱み・注意点 (Cons)
- 有給管理機能: SmartHR本体には有給管理機能が含まれていないため、別途外部サービスとの連携が必要です。
- 電話サポートの不在: サポートはチャットとFAQページが中心で、電話でのサポートは提供されていません。
6. 料金プラン
- 初期導入費用・サポート費用: 0円
- 無料プラン:
- ¥0プラン: 従業員30名まで登録可能。小規模事業者向け。
- 有料プラン:
- HRストラテジープラン: 人事・労務業務の効率化と従業員データの活用を両立するプラン。
- 人事・労務エッセンシャルプラン: 労務管理領域のペーパーレス化、効率化を目的としたプラン。
- タレントマネジメントプラン: 従業員データを活用した企業成長の促進を目的としたプラン。
- 労務管理プラン: 従業員50名以下の企業向けに、「労務管理」機能のみを提供するシンプルなプラン。
- 課金体系: 企業の規模や要望によって料金が異なるため、個別見積もりとなっています。
- 無料トライアル: 15日間、クレジットカード情報不要で利用可能。
- 有料オプション: 勤怠管理、給与計算、採用管理など、多数の機能がオプションとして追加可能です。
7. 導入実績・事例
- 登録社数: 70,000社以上
- 導入企業例: ピクシブ株式会社、東京インキ株式会社など、IT、製造業、医療・福祉など幅広い業種で導入されています。
- 導入効果: 組織変更の工数を1/3に短縮、人的資本情報の開示に活用など、業務効率化にとどまらない効果が報告されています。
8. サポート体制
- ドキュメント: 導入ガイド、ヘルプセンター、従業員向けマニュアルなど、充実したドキュメントが提供されています。
- コミュニティ: ユーザーコミュニティ「PARK」があり、ユーザー同士の情報交換が活発に行われています。
- 公式サポート: オンライン個別相談会、チャットサポート(有料プラン)など、手厚いサポートが提供されています。その他、eラーニングや活用セミナーも開催されています。
9. 連携機能 (API・インテグレーション)
- API: 開発者向けにAPIが公開されており、柔軟なシステム連携が可能です。
- 外部サービス連携: SmartHR Plusを通じて120以上の外部サービスと連携可能です。給与計算、勤怠管理、会計ソフトなど、様々なサービスと連携できます。
10. セキュリティとコンプライアンス
- 認証: 2段階認証、SSO/SAML認証(有料オプション)に対応しています。
- データ管理: 通信の暗号化、データのバックアップなど、厳重なデータ管理が行われています。
- 準拠規格: ISO/IEC 27001認証取得、SOC 2 Report(Type2)受領など、高いセキュリティ基準を満たしています。
11. 操作性 (UI/UX) と学習コスト
- UI/UX: 従業員、管理者双方にとって直感的に使えるデザインで、PCやスマートフォンに不慣れな人でも簡単に操作できます。アクセシビリティとユーザビリティに関するスペシャリストが開発に携わっています。
- 学習コスト: シンプルでわかりやすいインターフェースのため、特別なトレーニングなしでも導入後すぐに使いこなすことが可能です。
12. ユーザーの声(レビュー分析)
- 調査対象: kigyolog.com (80件のレビュー)
- 総合評価: 3.4 / 5.0
- ポジティブな評価:
- 使いやすさ: UIがシンプルで分かりやすく、ITリテラシーが高くない従業員でも直感的に操作できる点が評価されています。特に年末調整の手続きが質問形式で進められる点が好評です。
- 業務効率化: 給与明細の電子化や各種申請のオンライン化により、人事・労務担当者の業務負担が大幅に軽減されたとの声が多く挙がっています。
- 情報の一元管理: 従業員情報が一元化され、情報の検索や更新が容易になった点が評価されています。
- ネガティブな評価 / 改善要望:
- 機能: 有給管理機能がない点を不便に感じるユーザーがいます。
- サポート: 電話サポートがないため、緊急時や複雑な問い合わせの際に不安を感じるという意見があります。
- UI: 作業完了のステータスが分かりにくいという指摘がありました。
- 特徴的なユースケース:
- 全国の店舗から雇用契約書をオンラインで収集するなど、多拠点展開する企業で特に効果を発揮しています。
13. 直近半年のアップデート情報
- 2025/12/17: 従業員情報の適用日指定機能が改善。
- 2025/12/16: 「汎用申請」機能で申請時に承認者を指定可能に。
- 2025/12/15: 「組織図」にテーブル形式表示を追加。
- 2025/12/10: 「AIアシスタント」が多言語(英語、ベトナム語、中国語)に対応。
- 2025/12/08: ログイン時にパスキーによるパスワードレス認証が可能に。
- 2025/12/08: 「ジョブカン勤怠連携」の旧連携機能の提供を終了。
- 2025/11/27: 2025年下期の法改正(基礎控除、給与所得控除の見直し等)に対応。
- 2025/09/30: 健康保険の認定対象者の収入要件見直しに対応。
- 2025/06/24: 人事・労務に関する問い合わせにAIが回答する「AIアシスタント」機能をリリース。
- 2025/06/19: 経営幹部やリーダー育成を支援する「マネジメント育成計画」機能を提供開始。
- 2025/06/12: 「給与計算機能」を新規リリース。
- 2025/06/05: 「汎用申請」機能を新規リリース。
14. 類似ツールとの比較
- freee人事労務: 会計ソフトfreeeとの連携が強み。労務管理だけでなく、経理業務も含めたバックオフィス全体の効率化を目指す企業に適しています。
- HRBrain: タレントマネジメント機能に強みを持ち、従業員のスキルや評価データを活用した人材育成・配置を重視する企業に向いています。
- ジンジャー人事労務: 労務管理、勤怠管理、給与計算など、複数の機能を同一プラットフォームで提供しており、オールインワンでの利用を求める企業に適しています。
15. 総評
- 総合的な評価: SmartHRは、単なる労務管理ソフトから、企業の成長を支える「人的資本経営プラットフォーム」へと進化を遂げています。使いやすいUI/UXという強みはそのままに、給与計算やID管理といった新機能を追加し、バックオフィス全体の基盤としての価値を高めています。
- 推奨されるチームやプロジェクト: 労務手続きの効率化はもちろん、従業員データを活用して戦略的な人事施策を打ち出したいと考える、あらゆる規模・業種の企業に推奨できます。特に、SaaSの導入が進み、アカウント管理に課題を感じている情報システム部門にとっても価値の高いツールとなっています。
- 選択時のポイント: 労務管理とタレントマネジメントの連携を軸に、バックオフィス業務全体の最適化を目指す場合に最適な選択肢です。豊富な外部サービス連携とAPIにより、既存システムとの連携も柔軟に行えます。ただし、電話サポートがない点は、導入前に認識しておく必要があります。