mabl 調査レポート
1. 基本情報
- ツール名: mabl (メイブル)
- 開発元: mabl Inc.
- 公式サイト: https://www.mabl.com/ja/
- カテゴリ: テスト/QA (E2Eテスト自動化)
- 概要: AIネイティブのテスト自動化プラットフォーム。ローコードでテスト作成が可能で、Web、モバイルアプリ、API、アクセシビリティ、パフォーマンステストを単一のプラットフォームで統合管理できる。AIによる自動修復機能(オートヒーリング)が特徴。
2. 目的と主な利用シーン
- テスト自動化の効率化: 手動テストの工数を削減し、リリースサイクルを高速化する。
- QAエンジニアと開発者の連携: ローコードなため非エンジニアでもテスト作成が可能であり、開発者とのコラボレーションを促進する。
- 継続的な品質保証: CI/CDパイプラインに統合し、継続的なリグレッションテストを実施する。
- 利用シーン:
- WebアプリケーションのE2Eテスト
- iOS/Androidアプリの自動テスト
- APIテストとUIテストの統合
- 本番環境での外形監視
3. 主要機能
- ローコードテスト作成: 直感的なGUIで操作を記録し、テストシナリオを作成できる。
- AIオートヒーリング: UIの変更をAIが検知し、テストスクリプトを自動修正する。
- クロスブラウザ・モバイルテスト: Chrome, Firefox, Safari, Edge, Internet Explorer (IEモード), iOS, Androidに対応。
- APIテスト: GUI操作だけでなく、APIレベルのテストも統合して実行可能。
- アクセシビリティテスト: WCAG準拠のチェックを自動化できる。
- パフォーマンステスト: 既存の機能テストを負荷テストとして再利用可能。
- mabl Link: ローカル環境やプライベートネットワーク内のアプリケーションに対しても安全にテストを実行可能。
4. 特徴・強み (Pros)
- AIによるメンテナンスコストの削減: 画面要素の変更を自動追従するため、テストが壊れにくい。
- 統一されたプラットフォーム: Web、モバイル、API、非機能テスト(パフォーマンス、アクセシビリティ)を1つのツールで完結できる。
- 強力なインテグレーション: Jira, Slack, GitHub, GitLab, Jenkins, Microsoft Teamsなど主要なDevOpsツールとシームレスに連携。
- 日本語サポート: 日本法人(mabl Japan)があり、ドキュメントやサポートが日本語で提供されている。
5. 弱み・注意点 (Cons)
- 複雑なロジックの限界: ローコードツールであるため、非常に複雑な条件分岐やループ処理が必要な場合、JavaScriptスニペットでの対応が必要になることがある。
- コスト: エンタープライズ向けの機能が充実している分、小規模チームや個人利用にはコストが高く感じる場合がある(価格は要問合せ)。
- モバイルテストの制限: Webテストに比べると、モバイルアプリ(ネイティブ)テスト機能は比較的新しく、機能拡充の途上にある部分がある。
6. 料金プラン
- 無料プラン: なし(14日間の無料トライアルあり)
- 有料プラン: カスタム価格(要見積もり)
- Startup: 小規模チーム向け。基本的なクラウドテスト実行数を含む。
- Growth: 成長中のチーム向け。実行数や機能が増加。
- Enterprise: 大規模組織向け。高度なセキュリティ、サポート、無制限の並列実行などが含まれる。
- 課金体系: クラウド実行数(クレジット)やユーザー数などに基づく。ローカル実行は無制限で無料。
7. 導入実績・事例
- 国内: Panasonic, Sansan, 弁護士ドットコム, マネーフォワード, NEC, ソニー, note, ラクスなど多数。
- 海外: JetBlue, Priceline, Barracuda, Splunkなど。
- 効果: テスト作成時間の短縮、リグレッションテストの工数削減、バグ検知の早期化などが報告されている。
8. サポート体制
- ドキュメント: 日本語ドキュメントが充実している(mabl Help Center)。
- コミュニティ: mabl University(学習プラットフォーム)やユーザーコミュニティがある。
- 公式サポート: 日本語でのチャットおよびメールサポート(平日24時間対応を謳うプランもあり)。
9. 連携機能 (API・インテグレーション)
- CI/CD: Jenkins, CircleCI, GitHub Actions, GitLab CI/CD, Azure DevOps, Bambooなど。
- コミュニケーション: Slack, Microsoft Teams。
- 課題管理: Jira (不具合チケットの自動作成など)。
- その他: Postman (コレクションのインポート), Segment。
10. セキュリティとコンプライアンス
- 認証: SSO (Single Sign-On) 対応。
- データ管理: エンタープライズグレードのセキュリティ対策。SOC 2 Type II認証取得済み。
- その他: 多要素認証 (MFA)。
11. 操作性 (UI/UX) と学習コスト
- UI/UX: モダンで直感的なインターフェース。日本語化されており使いやすい。
- 学習コスト: ローコードのため、Seleniumなどのスクリプトベースのツールに比べて学習コストは低い。mabl Universityなどの学習リソースも豊富。
12. ユーザーの声(レビュー分析)
- 調査対象: G2, ITreview
- ポジティブな評価:
- 「直感的にテストが作れるので、非エンジニアでもQAに参加できるようになった」
- 「AIの自動修復機能のおかげで、テスト修正の手間が激減した」
- 「サポートのレスポンスが早く、日本語で対応してくれるのが助かる」
- ネガティブな評価 / 改善要望:
- 「価格体系が少し高い」
- 「複雑なテストケースではJavaScriptを書く必要があり、結局エンジニアの知識が必要になることがある」
- 「モバイルテストの実行速度がもう少し上がると嬉しい」
13. 直近半年のアップデート情報
- 2025/12/05: 特定のDataTableシナリオを指定してプランを実行可能に
- 2025/11/24: Xrayへの結果レポート機能の強化
- 2025/11/07: 「クリック」ステップに対するビジュアル検索機能の追加
- 2025/10/27: テスト計画向けのmabl MCPツールの提供
- 2025/10/21: モバイルテストでのiOS 18 (iOS 26と表記されているがバージョン番号の可能性あり、原文ママ: iOS 26 support) サポート
- 2025/10/21: ファイルダウンロード検証のための生成AIアサーション機能
- 2025/08/21: テスト作成エージェント(Test Creation Agent)の一般提供開始 (GA)
- 2025/08/20: mabl MCP (Model Context Protocol) サーバーの発表
14. 類似ツールとの比較
- Autify: 同じくAIを活用したローコードテストツール。日本発で日本語サポートが手厚いが、機能の広がり(API、パフォーマンスなど)ではmablが多機能な傾向。
- MagicPod: モバイルアプリテストに強みを持つ国産ツール。モバイルテスト重視の場合は比較対象となる。
- Selenium: オープンソースの標準的な自動化フレームワーク。コストはかからないが、構築・運用保守のコストが高い。
15. 総評
- 総合的な評価: 高機能かつ使いやすいAIテスト自動化プラットフォームの決定版の一つ。Web、モバイル、APIを統合管理したい組織にとって強力な選択肢となる。
- 推奨されるチームやプロジェクト:
- アジャイル開発やCI/CDを推進しており、テストの自動化・高速化が求められているチーム。
- QAエンジニアだけでなく、開発者やディレクターもテストに関わる組織。
- 長期的な運用を見据え、テストのメンテナンスコストを削減したいプロジェクト。
- 選択時のポイント: 導入コストと、必要な機能(特にモバイルやAPIテストの重要度)のバランス。日本企業での導入実績が多く、サポートも手厚いため、安心して導入できる点は大きなメリット。