ジョブカン勤怠管理 調査レポート
1. 基本情報
- ツール名: ジョブカン勤怠管理
- 開発元: 株式会社DONUTS
- 公式サイト: https://jobcan.ne.jp/
- カテゴリ: 勤怠管理, 労務管理
- 概要: あらゆる勤務形態に対応し、シンプルな操作性を追求したクラウド勤怠管理システム。シリーズ累計導入社数は25万社を超え、業界No.1の実績を持つ。
2. 目的と主な利用シーン
- 目的: 煩雑な勤怠管理業務を自動化・効率化し、人事労務担当者の負担を軽減する。また、多様化する働き方に柔軟に対応し、正確な労働時間の把握とコンプライアンス遵守を実現する。
- 主な利用者: 企業の人事労務担当者、管理者、全従業員。
- 具体的な利用シーン:
- 従業員の出退勤時刻の正確な記録
- 残業、休日出勤、休暇取得状況のリアルタイムでの可視化
- フレックスタイム、変形労働時間制、裁量労働制などの複雑な勤務形態の管理
- シフト作成および従業員への共有
- 休暇や残業のオンライン申請・承認ワークフロー
- 勤怠データと給与計算システムの連携
3. 主要機能
- 出退勤管理:
- 多彩な打刻方法: ICカード(Suica, PASMOなど)、指静脈認証、GPS、LINE/Slack、PC/スマホなど、事業所の環境に合わせて最適な打刻方法を選択可能。
- リアルタイム反映: 打刻されたデータは即座に出勤簿に反映され、管理者はリアルタイムで勤務状況を把握できる。
- シフト管理:
- シフト収集・作成支援: 従業員からのシフト希望をオンラインで収集し、管理者は画面上で簡単にシフトを作成・調整できる。
- 人員配置の最適化:曜日ごとの必要人数設定や、複数拠点・複数グループのシフトを一元管理する機能。
- 休暇・申請管理:
- オンラインワークフロー: 残業、休日出勤、休暇、打刻修正などをPCやスマホから申請・承認できる。
- 残休暇の自動管理: 有給休暇の取得状況や残日数を自動で計算・管理。年5日の取得義務アラート機能も搭載。
- 工数管理:
- プロジェクト・タスクごとの工数集計: 「どの業務にどれくらいの時間がかかっているか」を可視化し、業務効率の改善や正確な原価計算を支援。
- データ出力:
- 柔軟なデータ集計: 勤務時間、残業時間、深夜労働時間など、100以上の項目から必要なデータを自由に組み合わせてCSV/Excel形式で出力可能。
- 給与計算ソフト連携: 主要な給与計算ソフトのフォーマットに対応したデータを出力できる。
4. 特徴・強み (Pros)
- 圧倒的な導入実績と信頼性: シリーズ累計25万社以上という導入実績は、機能とサポートに対する信頼性の高さを証明している。
- コストパフォーマンスの高さ: 必要な機能(出勤管理、シフト管理など)を自由に選択して組み合わせられるため、不要なコストをかけずにスモールスタートできる。初期費用やサポート費用が無料な点も魅力。
- 多様な働き方への柔軟な対応: 変形労働時間制、フレックスタイム、裁量労働制など、複雑な勤務体系に標準で対応。所属や雇用形態ごとの細かい設定も可能。
- 豊富な打刻方法: ICカード、GPS、指静脈、LINE/Slackなど、業界トップクラスの打刻方法を提供しており、オフィス勤務、リモートワーク、外回り営業など、あらゆる勤務スタイルに対応できる。
- 直感的な操作性: 従業員・管理者ともにマニュアルなしでも直感的に操作できるシンプルなUI/UXが評価されている。
5. 弱み・注意点 (Cons)
- 管理者画面の複雑さ: 高機能である反面、管理者向けの画面は設定項目が多く、慣れるまでは複雑に感じることがあるとの指摘がある。
- 動作の不安定さ: レビューの一部では、メンテナンスが多い、システムの動作が重い、打刻が稀に反映されない、GPSが不安定といった声が見られる。
- 打刻修正の手間: 従業員が打刻修正を申請し、管理者が承認するというプロセスが、場合によっては手間に感じられることがある。
6. 料金プラン
- 無料プラン: なし。ただし、全ての機能が30日間無料で試せるトライアル期間あり。
- 有料プラン:
- 機能選択式プラン: 必要な機能を組み合わせて契約。価格は1ユーザーあたりの月額。
- 1機能のみ: 200円 (例: 出勤管理のみ)
- 2機能: 300円 (例: 出勤管理 + シフト管理)
- 3機能: 400円 (例: 出勤管理 + シフト管理 + 休暇申請)
- 4機能 (フル機能): 500円 (出勤管理 + シフト管理 + 休暇申請 + 工数管理)
- 機能選択式プラン: 必要な機能を組み合わせて契約。価格は1ユーザーあたりの月額。
- 課金体系: 登録ユーザー数に応じた月額課金。最低利用料金は月額2,000円(税抜)。
- 初期費用・サポート費用: 0円。
- 大規模利用: 500名以上の利用の場合は別途見積もり。
- 無料トライアル: 30日間の無料トライアルがあり、全ての機能を利用可能。
7. 導入実績・事例
- 導入企業: シリーズ累計で25万社以上が導入。公式サイトでは、サイバーエージェント、DMM.com、横浜F・マリノス、すかいらーくホールディングスなど、IT企業から飲食、小売、スポーツチームまで、規模や業種を問わず多数の企業名が公開されている。
- 効果: 導入企業からは、「勤怠管理にかかる時間が80%削減された」「ペーパーレス化が実現し、集計ミスがなくなった」「多様な雇用形態に対応できた」といった効果が報告されている。
8. サポート体制
- ドキュメント: 公式サイトに詳細なオンラインヘルプやFAQが整備されている。
- コミュニティ: ユーザーコミュニティの存在は確認できない。
- 公式サポート:
- サポート窓口: 電話、メール、チャットでの問い合わせに対応。
- 対応時間: 平日9:00~18:00。
- 料金: サポートは無料で提供される。
- その他: 初期設定を代行する有料サポートも提供されている。
9. 連携機能 (API・インテグレーション)
- API: 従業員情報や勤怠データを操作するためのAPIが提供されており、外部システムとの連携が可能。
- 外部サービス連携:
- 給与計算ソフト: マネーフォワード クラウド給与、弥生給与、freee人事労務、給与奉行クラウドなど、主要な給与計算ソフトとAPI連携またはCSV連携が可能。
- 人事労務ソフト: SmartHR、オフィスステーションなどとAPI連携し、従業員情報の一元管理を実現。
- その他: SlackやLINEと連携し、チャットツール上での打刻が可能。
10. セキュリティとコンプライアンス
- 認証:
- 2要素認証: アプリまたはメールによる2要素認証に対応。
- IPアドレス制限: 特定のIPアドレスからのみアクセスを許可する設定が可能。
- シングルサインオン(SSO): SAML認証によるSSOに対応(ジョブカン共通ID)。
- データ管理:
- データセンター: サーバーは日本国内のデータセンター(AWS, Google Cloud)で管理されている。
- 暗号化: 通信はSSL/TLSにより暗号化。
- 冗長化とバックアップ: 複数拠点でデータベースを冗長化し、災害時にも対応できる体制を構築。
- 準拠規格:
- ISO/IEC 27001 (ISMS): 認証取得済み。
- ISO/IEC 27017: 認証取得済み。
- 外部監査: 年に一度、第三者機関による監査を実施。
11. 操作性 (UI/UX) と学習コスト
- UI/UX: 全体的にシンプルで分かりやすい画面デザインが特徴。従業員向けの打刻画面や申請画面は、ITに不慣れなユーザーでも直感的に操作できると高く評価されている。ただし、管理者向けの機能は多岐にわたるため、設定画面が複雑に感じられる場合がある。
- 学習コスト: 基本的な操作(打刻、申請)の学習コストは非常に低い。管理者は、自社の就業規則に合わせて初期設定を行う必要があるが、無料のサポートが充実しているため、導入時のハードルは低い。
12. ユーザーの声(レビュー分析)
- 調査対象: ITreview, BOXIL SaaS, Google Play, App Store
- 総合評価: 各レビューサイトで高い評価を得ており、ITreviewでは4.2/5.0となっている。
- ポジティブな評価:
- 「UIがシンプルで、PCに不慣れな従業員でも迷わず使えている」
- 「必要な機能だけを選べるので、コストを抑えられて助かる」
- 「LINEやSlackで打刻できるのが、リモートワーク中心の弊社では非常に便利」
- 「サポートのレスポンスが早く、電話で丁寧に教えてくれるので安心できる」
- 「有給休暇の管理が自動化され、管理部門の作業が大幅に削減された」
- ネガティブな評価 / 改善要望:
- 「管理者画面の設定項目が多く、最初はどこを触ればいいか分かりにくい」
- 「スマートフォンのアプリが時々不安定になることがある」
- 「打刻修正の申請・承認フローが、従業員数が多いと少し手間になる」
13. 直近半年のアップデート情報
- 2025年1月: 工数管理プランの大幅アップデート:
- 従来の「プロジェクト」「タスク」という固定の分類項目だけでなく、企業が独自に分類項目(例: 「部署名」)を設定できるようになった。
- 工数に関する権限設定が細分化され、より柔軟な管理が可能になった。
- 入力アシスト機能が追加され、従業員の入力負担が軽減された。
- このアップデートは、特にプロジェクト単位で業務を行うIT企業や、製造業などでの正確な原価計算ニーズに応えるものであり、機能の専門性を高める方向性を示している。
14. 類似ツールとの比較
- KING OF TIME:
- 特徴: 勤怠管理システムの老舗であり、導入社数・実績ともに豊富。生体認証打刻など、独自の打刻方法に強みを持つ。
- 選択ポイント: 信頼性と実績を最重視する場合や、厳密な本人確認が求められる業態(製造業、医療機関など)で選択肢となる。
- マネーフォワード クラウド勤怠:
- 特徴: 「マネーフォワード クラウド」シリーズの一部であり、給与計算や人事労務といった他サービスとの連携が非常にスムーズ。
- 選択ポイント: 既にマネーフォワードの他サービスを利用している場合、バックオフィス業務全体をシームレスに連携させたい場合に最適。
- freee勤怠管理Plus:
- 特徴: freeeが提供するサービスで、特に「freee人事労務」との連携を前提として設計されている。シンプルな操作性が魅力。
- 選択ポイント: freee製品でバックオフィスを統一している企業、特にスモールビジネスやスタートアップにとって有力な選択肢。
15. 総評
- 総合的な評価:
- ジョブカン勤怠管理は、業界トップクラスの導入実績が示す通り、機能の網羅性、使いやすさ、コストパフォーマンスのバランスが非常に優れた勤怠管理システムである。特に「必要な機能だけを選んで組み合わせられる」という柔軟な料金体系は、企業の規模や成長段階を問わずフィットしやすい大きな魅力と言える。
- 推奨されるチームやプロジェクト:
- 多様な働き方を導入する企業: リモートワーク、フレックス、時短勤務など、複雑な勤務形態を併用する企業。
- コストを抑えて導入したい中小企業: 初期費用・サポート費用が無料で、月額200円/ユーザーからという低価格でスモールスタートしたい企業。
- 初めて勤怠管理システムを導入する企業: シンプルなUIと手厚い無料サポートにより、導入ハードルが低い。
- 選択時のポイント:
- バックオフィス業務全体の効率化を最優先し、特定のエコシステム(マネーフォワード、freee)に統一したい場合は、それぞれのシリーズ製品が有力な競合となる。しかし、単体での機能の豊富さ、あらゆる業種・業態に対応できる汎用性、そしてコストパフォーマンスを重視するならば、ジョブカン勤怠管理が最もバランスの取れた選択肢となるだろう。