Zapier 調査レポート
1. 基本情報
- ツール名: Zapier
- 開発元: Zapier Inc.
- 公式サイト: https://zapier.com/
- カテゴリ: ワークフロー自動化
- 概要: Zapierは、AIワークフロー、エージェント、アプリを自動化するプラットフォームです。プログラミングの知識がなくても、数千種類のアプリケーション間でワークフローを自動化することができます。
2. 目的と主な利用シーン
- 目的: 日常的な繰り返し作業や、複数のアプリケーションをまたぐ業務フローを自動化し、生産性を向上させること。
- 主な利用シーン:
- マーケティング: 広告のリードをCRMに自動登録する、フォームの回答をスプレッドシートに記録する。
- 営業: 新規顧客情報をSlackで通知する、カレンダーの予定をタスク管理ツールに登録する。
- 開発: GitHubのissueをプロジェクト管理ツールに連携する、デプロイの完了をチャットで通知する。
- バックオフィス: 経費申請の通知をメーラーに送信する、請求書発行をトリガーに会計ソフトを更新する。
3. 主要機能
- Zaps: トリガーとアクションを組み合わせ、アプリ間の連携を自動化するコア機能。
- Tables: ワークフローのデータを格納・管理するデータベース機能。
- Interfaces: 自動化ワークフローを操作するためのカスタムWebページを作成する機能。
- Chatbots: Webサイトに埋め込み可能なAIチャットボットを作成する機能。
- Agents: ユーザーの代わりに作業を自動実行するAIアシスタントを作成する機能。
- Canvas: AIを活用して業務フローを視覚的に設計・自動化するツール。
4. 特徴・強み (Pros)
- 豊富な連携アプリ: 8,000以上のアプリと連携でき、業界トップクラスの対応数を誇る。
- ノーコードでの自動化: プログラミング知識がなくても、直感的な操作で複雑なワークフローを構築できる。
- AI機能の統合: ChatGPTをはじめとするAIツールとの連携や、AIを活用した機能(Agents, Canvasなど)が充実している。
- 柔軟な拡張性: WebhooksやFunctions機能により、開発者による高度なカスタマイズも可能。
5. 弱み・注意点 (Cons)
- 日本語対応: UIやサポートが英語中心のため、日本語での利用には制約がある。
- 料金体系: タスク数に応じた従量課金制のため、大規模な利用や複雑なワークフローではコストが高くなる可能性がある。
- 処理速度: リアルタイム性が求められる処理には向いていない場合がある。
6. 料金プラン
- Free:
- 料金: 無料
- タスク数: 100タスク/月
- 機能: 2ステップまでのZap、Zaps, Interfaces, Tablesの利用
- Professional:
- 料金: $19.99/月〜 (年払い)
- タスク数: 2,000タスク/月〜
- 機能: マルチステップZap、プレミアムアプリ連携、Webhooks
- Team:
- 料金: $69/月〜 (年払い)
- タスク数: 2,000タスク/月〜
- 機能: 25ユーザーまでの利用、共有フォルダ、SAML SSO
- Enterprise:
- 料金: 要問い合わせ
- 機能: ユーザー数無制限、高度な管理者権限、専任サポート
7. 導入実績・事例
- 導入企業:
- Fortune 500企業を含む340万社以上で利用されている。
- 主な導入企業: Disney, Thomson Reuters, Alphabet, Meta, Okta, HP, Samsung, P&G, Siemensなど。
8. サポート体制
- ドキュメント: ヘルプセンターが充実しており、機能ごとに詳細なガイドが用意されている。
- コミュニティ: ユーザーコミュニティがあり、ユーザー同士で質問や情報交換が可能。
- 公式サポート:
- Professionalプラン: メールとライブチャットによるサポート。
- Teamプラン以上: 優先的なプレミアサポート。
- Enterpriseプラン: 専任のテクニカルアカウントマネージャーによるサポート。
9. 連携機能 (API・インテグレーション)
- API: Webhooksを利用して、APIが公開されていないサービスとも連携が可能。
- 外部サービス連携: 8,000以上のアプリケーションと連携可能。
- 主な連携先: Slack, Google Workspace, Microsoft 365, Salesforce, HubSpot, Trello, Asana, Notion, Dropbox, etc.
10. セキュリティとコンプライアンス
- 認証: SAML SSOに対応(Teamプラン以上)。
- 準拠規格: SOC 2, SOC 3, GDPR, CCPAに準拠。
11. 操作性 (UI/UX) と学習コスト
- UI/UX: 直感的なUIで、ノーコードでワークフローを構築できる。
- 学習コスト: プログラミングの知識は不要で、比較的低い学習コストで利用を開始できる。
12. ユーザーの声(レビュー分析)
- 調査対象: G2, Capterra, ITreviewなどのレビューサイトがブロックされたため、日本語のブログ記事や解説記事を参考に分析。
- ポジティブな評価:
- 多くのアプリケーションと連携できる点が最も評価されている。
- ノーコードで直感的に操作できるため、非エンジニアでも容易に自動化を実現できる。
- ネガティブな評価 / 改善要望:
- 日本語の情報が少なく、英語のドキュメントを読む必要がある。
- 料金がタスク数に依存するため、コスト管理が難しいという意見がある。
13. 直近半年のアップデート情報
- 2025年10月:
- SATORI (マーケティングオートメーション)との連携開始
- ClickMagick (広告トラッキング)との連携開始
- Personio (HR管理)との連携開始
- 2025年9月:
- MemberPress (WordPressメンバーシップ)との連携開始
- Ortto (マーケティングオートメーション)との連携開始
- Billetto (イベント管理)との連携開始
14. 類似ツールとの比較
- Make (旧Integromat): Zapierと同様に多くのアプリと連携できるが、より複雑なシナリオを視覚的に構築できる点が特徴。料金体系がZapierより安価な傾向にある。
- Microsoft Power Automate: Microsoft製品との連携に強みを持つ。RPA機能も統合されており、デスクトップ操作の自動化も可能。
- n8n: オープンソースでセルフホストも可能なワークフロー自動化ツール。カスタマイズ性が高く、エンジニア向けの機能が豊富。
15. 総評
- Zapierは、豊富な連携アプリと直感的な操作性で、誰でも簡単に業務自動化を始められる優れたツールである。特に、プログラミング知識のないビジネスユーザーにとって、その価値は非常に高い。
- 一方で、日本語対応の遅れや、タスク数に応じた料金体系は、一部のユーザーにとっては障壁となる可能性がある。
- 類似ツールと比較すると、Zapierは連携アプリの数と使いやすさで優位に立つが、料金や特定の機能においては他のツールに軍配が上がる場合もある。導入を検討する際は、自社の要件とコストを総合的に判断する必要がある。