Z.ai (Zhipu AI) 調査レポート
1. 基本情報
- ツール名: Z.ai (Zhipu AI)
- ツールの読み方: ジーエーアイ / ジープーエーアイ
- 開発元: Zhipu AI (智譜AI)
- 公式サイト: https://z.ai
- 関連リンク:
- GitHub: https://github.com/zai-org
- ドキュメント: https://docs.z.ai/
- カテゴリ: 生成AI
- 概要: 中国の清華大学発のAIスタートアップZhipu AIが提供するAIプラットフォーム。フラッグシップモデル「GLM-4」シリーズを中心に、画像生成、動画生成、自律型エージェントなど、最先端のマルチモーダルAI機能を提供する。
2. 目的と主な利用シーン
- 解決する課題: 高性能なAIモデルへの低コストなアクセス、複雑なマルチモーダルタスク(画像・動画生成含む)の処理、自律的なエージェントによるタスク自動化。
- 想定利用者: ソフトウェア開発者、AI研究者、データサイエンティスト、コスト効率を重視するスタートアップ。
- 利用シーン:
- アプリケーション開発: APIを通じたチャットボット、要約、コーディング支援機能の実装。
- クリエイティブ制作: CogView-4による画像生成や、CogVideoX-3による動画コンテンツの作成。
- デバイス操作の自動化: AutoGLMを使用したスマートフォンやWebブラウザ上のタスク自動実行。
- 研究・検証: オープンソースモデルを使用したローカル環境でのLLM研究・開発。
3. 主要機能
- GLM-4.7: 2025年12月にリリースされた最新のフラッグシップモデル。コーディング、推論、エージェント能力が大幅に向上している。
- GLM-4.7-Flash: 高速かつ効率的な軽量モデル。一部条件で無料で利用可能。
- CogView-4: テキストから高品質な画像を生成する最新の画像生成モデル。
- CogVideoX-3: テキストまたは画像から動画を生成するモデル。開始・終了フレームの指定などが可能。
- AutoGLM: スマートフォンやWebブラウザの操作を自律的に行うエージェント機能。多言語対応も進んでいる。
- GLM Coding Plan: 開発者向けに特化したプラン。月額$3から利用でき、Claude CodeやClineなどのツールと互換性がある。
- Thinking Mode: 複雑な推論を行うための思考モード。GLM-4.5Vなどで利用可能。
- API提供: OpenAI互換のインターフェースを含む、柔軟な開発者向けAPI。
4. 開始手順・セットアップ
- 前提条件:
- Z.aiアカウントの作成(https://z.ai)
- APIキーの取得
- インストール/導入:
公式SDKまたはOpenAI SDKを利用可能。
pip install zai-sdk # または pip install openai - 初期設定:
- APIキーを環境変数などに設定。
- クイックスタート (Python):
from zai import ZaiClient client = ZaiClient(api_key="YOUR_API_KEY") response = client.chat.completions.create( model="glm-4.7", messages=[{"role": "user", "content": "Hello"}] ) print(response.choices[0].message.content)
5. 特徴・強み (Pros)
- 圧倒的なコストパフォーマンス: フラッグシップモデルでも安価で、特に開発者向けの「Coding Plan」は月額$3からと非常に導入しやすい。
- マルチモーダル統合: テキストだけでなく、画像(CogView)、動画(CogVideoX)、音声(GLM-ASR)まで、自社開発の高性能モデルでカバーしている。
- エージェント技術 (AutoGLM): 単なる対話だけでなく、実際のデバイス操作を行う「Phone Use」エージェントなど、実用的な自動化機能を提供している。
- オープンソースへの貢献: モデルの一部をオープンソースとして公開しており、透明性が高くコミュニティからの支持も厚い。
6. 弱み・注意点 (Cons)
- 日本語サポートの壁: ドキュメントやUIの一部は英語と中国語が中心であり、日本語での詳細なサポートは不足している場合がある。
- グローバルでの知名度: 米国系大手(OpenAI, Google, Anthropic)に比べると、情報の流通量やサードパーティ製ツールの対応状況で劣る場合がある。
- データの透明性: データセンターの場所や詳細なプライバシーポリシーについては、導入前に自社のコンプライアンス要件と照らし合わせる必要がある。
7. 料金プラン
| プラン名 | 料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Coding Plan (Lite) | $3/月 | 開発者向けプラン。GLM-4.7などが利用可能。 |
| GLM-4.7 | 入力 $0.60 / 出力 $2.20 (per 1M tokens) | フラッグシップモデル。 |
| GLM-4.7-FlashX | 入力 $0.07 / 出力 $0.40 (per 1M tokens) | 高速・軽量モデル。 |
| GLM-4.7-Flash | 無料 | 無料枠で利用可能な軽量モデル。 |
| CogView-4 | $0.01 / image | 画像生成。 |
| CogVideoX-3 | $0.20 / video | 動画生成。 |
- 課金体系: APIはトークンまたは生成数ベースの従量課金。Coding Planは月額サブスクリプション。
- 無料トライアル: Flashモデルは無料で利用可能。
8. 導入実績・事例
- 導入企業: 中国国内の主要テクノロジー企業や研究機関に加え、世界中の個人開発者やスタートアップでの採用が進んでいる。
- 導入事例:
- 自動コーディングエージェントのバックエンドとしての利用。
- 動画生成APIを活用したコンテンツ制作プラットフォームでの採用。
- 対象業界: ソフトウェア開発、メディア・エンターテイメント、学術研究。
9. サポート体制
- ドキュメント: docs.z.ai に詳細なAPIリファレンスとガイドが整備されている(主に英語)。
- コミュニティ: DiscordコミュニティやGitHub Issuesを通じて、開発者間の活発な交流が行われている。
- 公式サポート: 開発者向けのヘルプセンターや問い合わせフォームが用意されている。
10. エコシステムと連携
10.1 API・外部サービス連携
- API: OpenAI互換APIを提供しており、移行が容易。
- 外部サービス連携: Cursor, Cline, LangChainなどの主要な開発ツールやフレームワークから利用可能。
10.2 技術スタックとの相性
| 技術スタック | 相性 | メリット・推奨理由 | 懸念点・注意点 |
|---|---|---|---|
| Python | ◎ | 公式SDK (zai-sdk) が提供されており、最も手厚くサポートされている。 |
特になし。 |
| Java | ◎ | 公式Java SDKが提供されている。 | 特になし。 |
| Node.js | ◯ | OpenAI SDKを利用してアクセス可能。 | 公式SDKとしての提供状況は要確認。 |
11. セキュリティとコンプライアンス
- 認証: APIキーによる認証。
- データ管理: データの安全性には配慮されているが、具体的な保管場所等の詳細は公式サイトトップレベルでは明示されていないため、確認が必要。
- 準拠規格: 公式サイト上でISO27001等の取得に関する明示的な記述は見当たらない。エンタープライズ利用時は個別に問い合わせを推奨。
12. 操作性 (UI/UX) と学習コスト
- UI/UX:
chat.z.aiや開発者ポータルはモダンで洗練されたデザイン。直感的に操作できる。 - 学習コスト: OpenAI APIとの互換性が高いため、既存のLLM開発者であれば学習コストは非常に低い。
13. ベストプラクティス
- 効果的な活用法 (Modern Practices):
- Coding Planの活用: 開発用途であれば、月額プランを利用することでコストを大幅に抑えられる。
- モデルの使い分け: 複雑な推論にはGLM-4.7、大量処理にはFlashモデルと使い分けることでコスト効率を最大化する。
- 陥りやすい罠 (Antipatterns):
- 日本語依存の過信: 複雑な日本語のニュアンスを含む指示の場合、意図通りに動作しないことがあるため、英語での指示も検討する。
14. ユーザーの声(レビュー分析)
- 調査対象: X (Twitter), GitHub, 技術ブログ
- 総合評価: コストパフォーマンスの高さとマルチモーダル機能の充実度で高評価を得ている。
- ポジティブな評価:
- 「Coding Planが月額$3というのは破格。個人開発者にはありがたい。」
- 「CogVideoXの動画生成クオリティが高く、APIで使えるのが便利。」
- 「APIがOpenAI互換なので、既存のコードをそのまま動かせた。」
- ネガティブな評価 / 改善要望:
- 「ドキュメントの一部がわかりにくい。」
- 「サーバーのレスポンスがたまに遅くなる。」
- 「日本語での対話精度はChatGPTやClaudeに一歩譲る。」
- 特徴的なユースケース:
- AutoGLMを使ったスマホ操作の自動化実験。
- 安価なFlashモデルを使った大量データのバッチ処理。
15. 直近半年のアップデート情報
- 2026-01-19: GLM-4.7-Flash をリリース。無料枠で使える高性能軽量モデル。
- 2026-01-14: GLM-Image をリリース。テキスト描写能力が向上した画像生成モデル。
- 2025-12-22: フラッグシップモデル GLM-4.7 をリリース。コーディングと推論能力が大幅向上。
- 2025-12-11: AutoGLM-Phone-Multilingual をリリース。多言語対応したスマホ操作エージェント。
- 2025-12-10: GLM-ASR-2512 をリリース。認識精度が向上した音声認識モデル。
- 2025-12-08: GLM-4.6V をリリース。画像理解能力とコンテキスト長(128K)が向上。
(出典: Z.ai Release Notes)
16. 類似ツールとの比較
16.1 機能比較表 (星取表)
| 機能カテゴリ | 機能項目 | 本ツール (Z.ai) | DeepSeek | ChatGPT | Claude |
|---|---|---|---|---|---|
| コスト | API料金/プラン | ◎ $3/月から |
◎ 非常に安価 |
△ 標準的 |
△ 標準的 |
| モデル性能 | コーディング | ◯ Coding Plan |
◎ DeepSeek-V3 |
◎ GPT-4o/5 |
◎ Sonnet 3.5 |
| マルチモーダル | 画像/動画生成 | ◎ 両方対応 |
△ 画像のみ |
◎ DALL-E/Sora |
△ 入力のみ |
| エージェント | デバイス操作 | ◎ AutoGLM |
△ 未実装 |
◯ Operator(予定) |
◎ Computer Use |
16.2 詳細比較
| ツール名 | 特徴 | 強み | 弱み | 選択肢となるケース |
|---|---|---|---|---|
| Z.ai | マルチモーダル統合プラットフォーム。 | 圧倒的な安さと機能の幅広さ(動画・エージェント)。 | 日本語ネイティブなサポート体制。 | コストを抑えつつ、画像や動画生成も含めた多機能な開発を行いたい場合。 |
| DeepSeek | コストパフォーマンス最強のコーディング・推論モデル。 | 非常に安価なAPIと高いコーディング性能。 | 画像・動画生成機能の弱さ。 | テキストやコーディングタスクに特化し、コストを極限まで下げたい場合。 |
| ChatGPT | 業界標準のオールラウンダー。 | 安定性、知名度、豊富な機能とエコシステム。 | コストが高め。 | 最高の品質と安心感、汎用性を求める場合。 |
| Claude | 自然な対話とエージェント機能。 | コーディング支援とComputer Useによる操作自動化。 | 画像生成機能がない。 | コーディング支援や、PC操作の自動化を重視する場合。 |
17. 総評
- 総合的な評価: Z.aiは、中国発のAIプラットフォームとして驚異的な進化を遂げている。GLM-4.7による高い基礎性能に加え、CogView/CogVideoによるマルチモーダル生成、AutoGLMによるデバイス操作までをワンストップかつ低価格で提供している点は唯一無二の強みである。日本語環境での利用にはまだ課題もあるが、コストパフォーマンスを重視する開発者にとっては無視できない存在である。
- 推奨されるチームやプロジェクト:
- コスト重視のスタートアップ: 限られた予算で高性能なAI機能をフル活用したいチーム。
- マルチモーダルアプリ開発: テキスト、画像、動画を組み合わせたアプリケーションを開発するプロジェクト。
- エージェント研究開発: 最新のデバイス操作エージェント技術を検証・活用したい研究チーム。
- 選択時のポイント: 日本語サポートやブランドの信頼性を最優先するならChatGPTやClaudeが無難だが、「機能の豊富さ」と「圧倒的な安さ」を天秤にかけるなら、Z.aiは非常に魅力的な選択肢となる。特に個人開発者やプロトタイピングにおいては最強のツールの一つと言える。