UiPath 調査レポート

開発元: UiPath Inc.
カテゴリ: ワークフロー自動化

AIを搭載したエンタープライズ向けRPA(Robotic Process Automation)プラットフォーム。AIエージェントによる自律的なタスク実行や高度な業務自動化を実現。

総合評価
85点
基準点70点からの評価
オープンソース
非公式・商用
無料プラン
あり
最低価格
無料〜
対象ユーザー
大企業IT部門業務改善担当者
更新頻度
🆕 最新情報: 2025年12月、次世代AI機能「Autopilot」を強化

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +10 RPA市場のリーダーであり、機能の網羅性と安定性が非常に高い
  • +5 AI機能の統合(特にドキュメント理解やAIエージェント)が進んでいる
  • +3 日本語のドキュメント、学習教材、コミュニティが非常に充実している

👎 減点項目

  • -3 多機能な反面、ライセンス体系が複雑で、エンタープライズ版は高額になりやすい
総評: 機能・サポート面で市場をリードするRPAの決定版だが、コストと学習難易度の検討は必要

UiPath 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: UiPath
  • ツールの読み方: ユーアイパス
  • 開発元: UiPath Inc.
  • 公式サイト: https://www.uipath.com/ja/
  • 関連リンク:
  • カテゴリ: ワークフロー自動化
  • 概要: UiPathは、AIとRPA(Robotic Process Automation)を組み合わせた世界トップクラスの自動化プラットフォームです。AIエージェント「Autopilot」による自然言語での自動化支援や、プロセスマイニング、高度なドキュメント処理まで、企業のデジタルトランスフォーメーションを包括的に支援します。

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題: 繰り返し発生する手作業や定型業務を自動化し、生産性の向上、コスト削減、ヒューマンエラーの削減を実現する。
  • 想定利用者: 大企業のIT部門、業務改革推進室、各事業部門の業務担当者、RPA開発者。
  • 利用シーン:
    • 経理・財務: 請求書処理、売掛金・買掛金管理、月次決算業務の自動化
    • 人事: 従業員の入退社手続き、給与計算、勤怠データの集計
    • IT運用: サーバー監視、アカウント管理、定期的なシステムメンテナンス
    • 顧客サービス: 問い合わせ内容の一次振り分け、顧客データ入力の自動化

3. 主要機能

  • UiPath Studio: ローコード/プロコード対応の統合開発環境。直感的なビジュアルデザイナーと高度なコーディング機能を両立。
  • UiPath Robots: 人の操作をトリガーに実行する「Attendedロボット」と、サーバー上で無人で実行される「Unattendedロボット」がある。
  • UiPath Orchestrator: 全てのロボットとプロセスを集中管理・監視・スケジューリングするWebベースのコンソール。
  • UiPath AI Center: 機械学習モデルをRPAワークフローに組み込むための基盤。ドキュメント理解、画像認識、言語分析などが可能。
  • Autopilot: 生成AIを活用したAIエージェント機能。自然言語での指示から自動化プロセスを生成したり、開発者を支援したりする。
  • Process Mining / Task Mining: PC上の操作ログや業務システムのログを分析し、自動化に適したプロセスを発見・可視化する。
  • Document Understanding: AI-OCR技術を用いて、請求書や領収書などの非構造化ドキュメントからデータを高精度に抽出する。

4. 開始手順・セットアップ

  • 前提条件:
    • OS: Windows 10/11 (Studioのインストールに必要)
    • UiPath Automation Cloud アカウント (無料作成可能)
  • インストール/導入:
    1. UiPath Automation Cloudにサインアップする。
    2. ダッシュボードから「UiPath Studio Community Edition」のインストーラーをダウンロードする。
    3. インストーラーを実行し、セットアップウィザードに従ってインストールする。
  • 初期設定:
    • Studioを起動し、Automation Cloudのアカウントでサインインしてライセンス認証を行う。
    • プロファイル選択で「UiPath Studio」(開発者向け)または「UiPath StudioX」(ビジネスユーザー向け)を選択する。
  • クイックスタート:
    1. Studioで「空のプロセス」を作成する。
    2. アクティビティパネルから「メッセージボックス (Message Box)」をドラッグ&ドロップで配置する。
    3. テキストプロパティに "Hello, World!" と入力する。
    4. 「ファイルをデバッグ」をクリックして実行し、メッセージボックスが表示されることを確認する。

5. 特徴・強み (Pros)

  • 市場リーダーとしての網羅性: RPAに必要な機能(開発、実行、管理、分析)が全て揃っており、小規模から全社的な大規模展開までスケール可能。
  • 強力なAI統合: 生成AI、コンピュータビジョン、自然言語処理などのAI技術をプラットフォーム全体に深く統合しており、非構造化データを含むより高度な業務を自動化できる。
  • 圧倒的なUI操作の安定性: 特許技術を含む高度な画面要素認識技術(UI Automation)により、Webアプリやデスクトップアプリの操作が安定している。
  • 充実した学習リソースとコミュニティ: 無料のオンライン学習「UiPath Academy」や資格制度、活発な日本語コミュニティがあり、開発者の育成がしやすい。

6. 弱み・注意点 (Cons)

  • ライセンスコスト: 特にエンタープライズ向けのプランは高機能な反面、競合製品と比較して高額になる可能性がある。ライセンス体系も複雑化しやすい。
  • 学習コストの高さ: 非常に多機能であるため、全ての機能を最大限に活用するには、相応の学習時間と体系的なトレーニングが必要。
  • 頻繁なバージョンアップ: 機能改善や新機能の追加が頻繁に行われるため、追従するための学習や社内環境のアップデート計画が負担になる場合がある。
  • 日本語対応: UIやドキュメントは日本語化されているが、最新機能や高度な技術情報は英語が先行することがある。

7. 料金プラン

プラン名 料金 主な特徴
Community 無料 個人開発者、学習者、小規模ビジネス向け。Studio、Automation Cloud、一部のAI機能が無償で利用可能。
Pro $420/月〜 (参考価格) 中小企業や部門単位での利用向け。Orchestratorでの管理機能、基本的なサポートが含まれる。
Enterprise 個別見積もり 大企業向け。高度なセキュリティ、ガバナンス、分析機能、AI機能、専任サポートなどが含まれる。
  • 課金体系: 主にロボットの同時実行数や利用する機能(AI Center, Process Mining等)に応じたライセンス体系。近年は消費ベースの「Unified Pricing」モデルも導入されている。
  • 無料トライアル: Enterprise版の全機能を60日間試用できるトライアルが提供されている。

8. 導入実績・事例

  • 導入企業: 三菱UFJ銀行、第一生命保険、KDDI、パナソニック、トヨタ自動車など、日本のトップ企業の多くが導入。全世界で10,000社以上の導入実績。
  • 導入事例: 三井住友信託銀行では、約2,500業務を自動化し、年間70万時間以上の業務時間削減を達成。
  • 対象業界: 金融、製造、通信、小売、公共、医療など、業界を問わず幅広く導入されている。

9. サポート体制

  • ドキュメント: 公式ドキュメントサイト UiPath Docs は非常に充実しており、日本語訳も整備されている。
  • コミュニティ: 活発な日本語ユーザーフォーラム UiPath Forum や、全国各地のユーザーコミュニティ「UiPath Friends」が存在し、情報交換が盛ん。
  • 公式サポート: Enterpriseプランでは、テクニカルアカウントマネージャーによる専任サポートやSLA付きのプレミアムサポートが提供される。

10. エコシステムと連携

10.1 API・外部サービス連携

  • API: Orchestrator APIを通じて、外部システムからロボットの実行や監視、管理が可能。
  • 外部サービス連携: Salesforce, SAP, ServiceNow, Microsoft 365, Google Workspace, Slack, Zoomなど、主要なビジネスアプリケーションとの連携コネクタ(Integration Service)が標準で提供されている。

10.2 技術スタックとの相性

技術スタック 相性 メリット・推奨理由 懸念点・注意点
.NET (C# / VB.NET) Studioが.NETベースであり、コードアクティビティを直接記述可能。 バージョン依存に注意が必要。
Python 公式のPython Activity Packがあり、スクリプトの呼び出しが容易。 Python環境のセットアップが必要。
Java Java ExtensionによりJavaアプリのUI操作が可能。 事前のExtensionインストールが必要。
Web (HTML/JS) 高度なセレクター技術により、あらゆるWebアプリを安定して操作可能。 ブラウザ拡張機能の導入が必要。

11. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: SSO (SAML 2.0, Azure AD, Okta), 2段階認証に対応。
  • データ管理: 保管時および転送時のデータを暗号化 (AES-256, TLS 1.2)。テナントごとのデータ分離。
  • 準拠規格: SOC 2 Type 2, ISO 27001, ISO 9001, GDPR, HIPAA, FedRAMPなどの認証・準拠に対応。

12. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: StudioはリボンUIを採用したモダンなWindowsアプリケーションで、直感的な操作が可能。StudioXはよりシンプルでビジネスユーザー向けに最適化されている。
  • 学習コスト: 機能が膨大であるため、習得には時間がかかる。「UiPath Academy」での体系的な学習が推奨される。基本的な操作は数日で習得可能だが、エンタープライズレベルの開発には数ヶ月の実践が必要。

13. ベストプラクティス

  • 効果的な活用法 (Modern Practices):
    • REFramework (Robotic Enterprise Framework) の利用: エラー処理、リトライ、ログ出力などが組み込まれた公式テンプレートを使用し、堅牢なロボットを開発する。
    • モダンデザインエクスペリエンスの活用: 最新のUI操作アクティビティを使用し、オブジェクトリポジトリでUI要素を一元管理する。
    • Configファイルによる設定管理: 環境依存の値や設定値をExcel等の外部ファイルに分離する。
  • 陥りやすい罠 (Antipatterns):
    • ハードコーディング: ファイルパスやURL、待機時間などをワークフロー内に直接記述する(メンテナンス性が低下する)。
    • セレクターの不安定さ: 自動生成されたセレクターをそのまま使用し、画面の些細な変更でロボットが停止する(ワイルドカードやアンカーを活用して頑健にする必要がある)。

14. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: G2, Capterra, ITreview (2025-2026年のレビュー)
  • 総合評価: 4.6/5.0 (G2)
  • ポジティブな評価:
    • 「UI操作の認識精度が非常に高く、他のツールでは自動化が難しかったレガシーシステムにも対応できた」
    • 「ローコードで開発できるため、プログラミング経験の浅いメンバーでも自動化プロジェクトに参加できる」
    • 「日本語の情報源(ドキュメント、コミュニティ)が豊富で、問題解決がしやすい」
  • ネガティブな評価 / 改善要望:
    • 「エンタープライズ版のライセンス費用が競合と比較して高額で、導入のハードルが高い」
    • 「バージョンアップの頻度が高く、検証作業や互換性の確認が負担になることがある」
    • 「機能が多すぎて、どの機能を使えば最適解なのか判断に迷うことがある」
  • 特徴的なユースケース:
    • AI-OCR(Document Understanding)と連携し、手書きを含む大量の紙帳票をデジタル化・自動入力する業務フロー。

15. 直近半年のアップデート情報

  • 2025-12-05: 次世代AI機能「Autopilot」の機能を拡張。テストケースの自動生成や、より複雑な指示への対応が可能に。
  • 2025-10-31: 統合監査ログ機能を強化。セキュリティイベントやユーザー操作のトレーサビリティが向上。
  • 2025-09-15: 新しいライセンスモデル「Unified Pricing」の適用範囲を拡大し、柔軟なコスト管理が可能に。

(出典: UiPath リリースノート)

16. 類似ツールとの比較

16.1 機能比較表 (星取表)

機能カテゴリ 機能項目 UiPath Microsoft Power Automate Workato Zapier
自動化方式 デスクトップUI操作
非常に強力

PADで対応
×
API中心
×
API中心
連携 API連携
Integration Service

コネクタ多数

iPaaSとして強力

5000+アプリ
AI機能 ドキュメント理解
Document Understanding

AI Builder

拡張機能等

限定的
管理 ガバナンス・統制
Orchestrator

管理センター

エンタープライズ向け

個人・チーム向け
導入 手軽さ・コスト
環境構築・高コスト

M365に含まれる場合あり

クラウド完結

即座に開始可能

16.2 詳細比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
UiPath 統合型RPAプラットフォーム あらゆるシステム(Web/Desktop/Citrix等)を操作可能。AI連携が強力。 コストが高い。開発・運用に専門知識が必要。 レガシーシステムを含む複雑な業務を、全社規模で自動化・統制したい場合。
Microsoft Power Automate Microsoftエコシステム内の自動化 Office 365との親和性が抜群。追加コストを抑えやすい。 デスクトップ操作の安定性や大規模管理機能はUiPathに劣る場合がある。 Microsoft 365ユーザーで、コストを抑えつつ手軽に自動化を始めたい場合。
Workato エンタープライズ向けiPaaS クラウドアプリ間のAPI連携に特化。セキュリティと信頼性が高い。 デスクトップアプリのUI操作はできない。 クラウドサービス同士のデータ連携が中心で、UI操作が不要な場合。
Zapier SMB・個人向け自動化ツール 圧倒的な対応アプリ数と、誰でも使える使いやすさ。 複雑な分岐処理やエンタープライズレベルの管理機能は弱い。 個人や小規模チームで、SaaS間の単純なタスクを素早く自動化したい場合。

17. 総評

  • 総合的な評価: UiPathは、機能の豊富さ、安定性、サポート体制の全てにおいてRPA市場のデファクトスタンダードと言える地位を確立しています。特に近年のAI機能(Autopilot, Document Understanding)の強化により、単なる定型業務の自動化だけでなく、高度な判断を伴う業務の効率化も実現可能になっています。ただし、その多機能さとコストは、導入障壁となる場合もあります。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • 全社的なDX推進を目指す大企業や中堅企業。
    • レガシーシステムと最新のクラウドサービスが混在する複雑なIT環境を持つ組織。
    • セキュリティとガバナンスを最優先事項とする金融・公共・医療分野のプロジェクト。
  • 選択時のポイント:
    • 自動化の対象: デスクトップアプリやレガシーシステムのUI操作が必須であればUiPathが最強です。クラウドサービス間の連携のみであればWorkatoやZapierが適しています。
    • 予算と規模: 大規模展開と集中管理を前提とするならUiPathのROIは高いですが、小規模・低予算で始めるならPower Automateなどが有利です。
    • AI活用: 独自のAIモデルや高度なドキュメント処理を組み込みたい場合、UiPathのAI Centerは強力な武器になります。