TestLink 調査レポート

開発元: TestLink Development Team
カテゴリ: テスト管理

オープンソースのWebベーステスト管理システム。テストケースの管理、実行、レポート作成をサポート。

総合評価
72点
基準点70点からの評価
オープンソース
OSS
無料プラン
あり
最低価格
無料
対象ユーザー
QAエンジニア開発者コスト重視の組織
更新頻度
🆕 最新情報: バージョン1.9.20リリース(セキュリティ修正と改善)。次期バージョン2.xでUI刷新予定。

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +5 完全無料のオープンソースであり、コストがかからない
  • +3 長年の実績があり機能が豊富
  • +3 オンプレミスでデータ管理が可能

👎 減点項目

  • -5 UIが古く、操作性が現代のツールに劣る
  • -2 セットアップとメンテナンス(PHP/DB)の手間がかかる
  • -2 公式ドキュメントやサポートが分散している
総評: コストを抑えたい場合やオンプレミス必須の環境では有力な選択肢だが、モダンなUXを求めるなら他ツールを検討すべき。

TestLink 調査レポート

1. 基本情報

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題:
    • Excel管理によるテストケースの肥大化とバージョンの混乱
    • テスト実行結果の集計・報告作業の工数削減
    • 予算制約がある中でのテスト管理システムの導入
  • 想定利用者:
    • 予算を抑えたいQAチーム
    • オンプレミス環境での運用が必須の組織
    • PHP/MySQL環境の運用に慣れている開発者
  • 利用シーン:
    • 大規模なリグレッションテスト: 数千件規模のテストケースを階層管理し、複数のテスターで分担して実行。
    • 要件トレーサビリティ: 要件定義とテストケースを紐付け、カバレッジを確認。
    • バグ管理連携: テスト失敗時にJiraやMantisへ自動的にバグ報告へのリンクを作成。

3. 主要機能

  • テストケース管理: テストスイート、テストケース、ステップによる構造化管理。バージョン管理にも対応。
  • テスト計画と実行: ビルドごとのテスト計画作成、テスターへの割り当て、実行結果(Pass/Fail/Block)の記録。
  • レポートとメトリクス: テスト進捗、合格率、失敗率などをグラフや表で表示。
  • 要件管理: 要件定義書を取り込み、テストケースとマッピングしてカバレッジを管理。
  • 外部連携: Jira, Mantis, Bugzilla, Redmineなどの主要なバグトラッキングシステム(BTS)との連携。
  • API: XML-RPC APIを提供し、自動テストスクリプトからの結果登録が可能。

4. 開始手順・セットアップ

  • 前提条件:
    • Webサーバー(Apache推奨)
    • PHP 7.2以上(推奨)
    • データベース(MySQL/MariaDB/PostgreSQL)
  • インストール/導入:
    1. GitHubまたはSourceForgeからソースコードをダウンロード。
    2. Webサーバーのドキュメントルートに配置。
    3. ブラウザでアクセスし、インストーラーに従ってデータベース接続情報などを設定。 または、Dockerイメージを使用することも可能。
      # Dockerでの起動例(非公式イメージ等の利用が一般的)
      docker run -d -p 80:80 -e TESTLINK_DATABASE_PASSWORD=testlink bitnami/testlink:latest
      
  • 初期設定:
    • config.inc.php でのログ設定やアップロード制限の設定。
    • 管理画面からのプロジェクト作成、ユーザー追加、ロール設定。

5. 特徴・強み (Pros)

  • 完全無料(GPL): ライセンス費用がかからないため、ユーザー数が増えてもコストが増加しない。
  • データ主権: 自社サーバーに構築するため、セキュリティポリシーが厳しい組織でも導入しやすい。
  • 豊富な機能: 長年の開発により、テスト管理に必要な基本的な機能はほぼ網羅されている。
  • カスタマイズ性: オープンソースであるため、コードを修正して自社独自の機能を追加することが可能。

6. 弱み・注意点 (Cons)

  • UIが古い: デザインが古く(2000年代前半のスタイル)、操作ステップ数が多いため、直感的な操作が難しい。
  • 環境構築の手間: サーバー、PHP、DBのセットアップとメンテナンスが必要。
  • モバイル非対応: レスポンシブデザインではなく、モバイル端末からの操作は困難。
  • 次期バージョンの遅れ: UIを刷新したバージョン2.xの開発が長期間続いているが、まだ正式リリースに至っていない(2026年2月時点)。

7. 料金プラン

プラン名 料金 主な特徴
Open Source 無料 全機能を利用可能。サポートはコミュニティベース。
  • 課金体系: なし(サーバーインフラ費用のみ)
  • 無料トライアル: なし(自身で構築が必要)

8. 導入実績・事例

  • 導入企業: 世界中の多くの中小企業や、コスト意識の高いプロジェクトで広く利用されている。
  • 導入事例:
    • ソフトウェア受託開発企業での標準テスト管理ツールとしての利用。
    • 組み込みシステム開発における長期的なリグレッションテスト管理。
  • 対象業界: ソフトウェア開発、SIer、通信、製造など。

9. サポート体制

  • ドキュメント: GitHub Wikiやフォーラムに情報があるが、体系的な公式マニュアルはやや古い場合がある。
  • コミュニティ: ユーザーフォーラム(英語)で質問が可能だが、回答が得られるとは限らない。
  • 公式サポート: 開発チームによる有償サポートやカスタマイズ対応も一部存在するが、基本はセルフサービス。

10. エコシステムと連携

10.1 API・外部サービス連携

  • API: XML-RPC APIを提供。様々な言語(Python, Java, etc.)用のクライアントライブラリがコミュニティによって開発されている。
  • 外部サービス連携:
    • BTS連携: Jira, Mantis, Redmine, Bugzilla, Trac, FogBugz
    • 認証: LDAP, Active Directory, Google/GitHub OAuth

10.2 技術スタックとの相性

技術スタック 相性 メリット・推奨理由 懸念点・注意点
Java (JUnit/TestNG) APIクライアントが存在 設定がやや複雑
Python (Pytest) TestLink-API-Python-client が利用可能 ライブラリのメンテ状況に注意
Jenkins TestLink Pluginがあり、実行結果を反映可能 プラグインの設定が複雑

11. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: 内部認証に加え、LDAP/AD連携、OAuth(GitHub/Google)に対応。
  • データ管理: 自社サーバーでの管理となるため、データの保存場所やバックアップポリシーは自社でコントロール可能。
  • 準拠規格: ツール自体が特定の認証を取得しているわけではないが、適切に運用することでISOなどのプロセス要件を満たすことは可能。最新版(1.9.20)でセキュリティ修正(XSS, SQLi)が含まれている。

12. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: フレームを使用したクラシックなWeb UI。画面遷移が多く、現代のSPAツールに慣れているとストレスを感じる可能性がある。
  • 学習コスト: 機能が多く用語も独自のものが多いため、習得には時間がかかる。マニュアルの熟読が必要。

13. ベストプラクティス

  • 効果的な活用法:
    • キーワード駆動: キーワード機能を使ってテストケースをタグ付けし、柔軟に検索・抽出する。
    • プラットフォーム管理: OSやブラウザごとのテスト結果を管理するためにプラットフォーム機能を活用する。
  • 陥りやすい罠:
    • デフォルト設定のまま運用: max_input_vars などのPHP設定を調整しないと、大規模なテスト計画でエラーが発生する可能性がある(READMEのCRITICAL NOTES参照)。
    • 画像の多用: 画像アップロードの管理が煩雑になりがちなので、外部ストレージへのリンクを活用する等の工夫が必要。

14. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: 一般的なオープンソースコミュニティの評判
  • 総合評価: 機能面での信頼性は高いが、UI/UXへの不満が多い。
  • ポジティブな評価:
    • 「無料ですべての機能が使えるのは素晴らしい」
    • 「要件とテストのトレーサビリティ機能が強力」
  • ネガティブな評価 / 改善要望:
    • 「UIが古すぎて使うのが苦痛」
    • 「セットアップが面倒。Dockerを使っても設定調整が必要」
    • 「APIの仕様がXML-RPCで古い」

15. 直近半年のアップデート情報

  • 2025年 (時期不定): Version 1.9.20 リリース。1.9.x系の最終バージョンとして、セキュリティ修正やPHP 8.x対応の改善、Excelパッケージの更新が行われた。
  • 2025年: Version 2.x の開発継続。Bootstrapベースの新しいUIへの移行作業が進められている。

(出典: GitHub README & CHANGELOG)

16. 類似ツールとの比較

16.1 機能比較表 (星取表)

機能カテゴリ 機能項目 TestLink TestRail Qase Kiwi TCMS
基本機能 テスト管理
コスト 無料利用
完全無料
×
制限あり

OSS版あり
UX 操作性 ×
環境 オンプレミス
高額
×
SaaS主体

16.2 詳細比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
TestLink 伝統的なOSSツール 無料、機能網羅、オンプレミス UIが古い、構築が必要 予算ゼロ、オンプレ必須、PHP環境がある場合
TestRail 世界標準の商用ツール 使いやすさ、サポート、統合 コストがかかる 予算があり、標準的な品質管理プロセスを導入したい場合
Qase モダンなSaaS 高速、AI機能、無料プラン有 日本語未対応 スタートアップ、アジャイル開発、SaaS利用可の場合
Kiwi TCMS モダンなOSSツール Python製、モダンUI 日本語情報は少ない OSSでモダンなUIを求め、Python環境がある場合

17. 総評

  • 総合的な評価: TestLinkは「質実剛健」なツールです。見た目の古さは否めませんが、テスト管理に必要な機能は揃っており、長年の実績による安定感があります。予算をかけずに本格的なテスト管理プロセスを構築したい場合、依然として強力な選択肢です。ただし、チームメンバーがモダンなツールに慣れている場合、UIへの抵抗感が導入の障壁になる可能性があります。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • ライセンス費用をかけられないプロジェクト。
    • 厳しいセキュリティ要件により、完全にクローズドなネットワーク内での運用が必要なチーム。
  • 選択時のポイント:
    • サーバー構築・運用のリソース(特にPHP/DBの知識)があるか。
    • UIの古さを許容できるか。