Sarashina API 調査レポート

開発元: ソフトバンク株式会社 / SB Intuitions株式会社
カテゴリ: 🧠 LLMプラットフォーム

日本語に特化し、日本の文化や商習慣を考慮した国産の大規模言語モデル「Sarashina」を活用できる生成AIのAPI

総合評価
80点
基準点70点からの評価
オープンソース
非公式・商用
無料プラン
なし
最低価格
要問い合わせ
対象ユーザー
企業の情報システム部門開発者官公庁
更新頻度
🆕 最新情報: 「Cloud PF Type A」への統合に伴い、単独サービスの新規申込受付を2026年6月16日に終了

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +5 独自の国産モデル(Sarashina2 miniなど)をゼロから開発し、高い日本語性能とコスト効率を実現
  • +5 ソフトバンクの国内AIデータセンターでの運用により、データ主権(ソブリン性)を確保しセキュアに利用可能
  • +3 有害・不適切コンテンツをブロックする「Sarashina2 guard」など、企業向けの実用的な機能を提供

👎 減点項目

  • -3 料金プランが個別問い合わせとなっており、導入時のコスト感がつかみにくい
総評: 日本語処理に強みを持つセキュアな国産AI基盤として、データ主権を重視する企業や官公庁に最適なソリューション

Sarashina API 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: Sarashina API
  • ツールの読み方: サラシナ エーピーアイ
  • 開発元: ソフトバンク株式会社 / SB Intuitions株式会社
  • 公式サイト: https://www.softbank.jp/business/service/ai/sarashina-api/
  • 関連リンク:
  • カテゴリ: LLM API
  • 概要: 日本語に特化し、日本の文化や商習慣を考慮した国産の大規模言語モデル(LLM)「Sarashina」を活用できる生成AI API。自社のシステムやアプリケーションと連携し、文章校正や要約、自動生成などのタスクを実行可能。※本サービスは2026年6月16日に新規申込を終了し、順次「Cloud PF Type A」のSarashinaサービスへ統合される。

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題: 海外製モデルでは対応が困難な日本語の複雑なニュアンスや商習慣の表現、および機密情報を扱う上でのデータ主権・セキュリティへの懸念。
  • 想定利用者: 企業の情報システム部門、開発者、AIを活用した業務効率化を目指す業務部門。
  • 利用シーン:
    • 日々の情報処理業務: 業界情報のスクラップ作業において、記事のヘッドライン(見出し)生成や内容の要約による業務効率化。
    • 文脈を考慮した高度な翻訳: 原文の意図や文化的なニュアンスを理解し、日本の新聞らしい自然で伝わりやすい表現への翻訳。
    • 社内情報の検索: 規定や社内文書をベクトル化し、RAG(検索拡張生成)を用いた正確な社内情報の検索・回答生成。
    • 有害・不適切コンテンツのブロック: 社内AIアシスタントにおいて、従業員が不適切な文書を作成することを防ぐフィルタリング。

3. 主要機能

  • Chat Completions API (Sarashina2 mini): 文脈を理解して適切な応答を生成する、国産LLM「Sarashina2 mini」の自然言語処理能力を利用できるテキスト生成API。
  • Embeddings API (Sarashina2 embedding): 規定などの社内文書をベクトル化するAPI。これらの情報を基に独自のRAGを構築することができる。
  • セキュリティフィルタリング (Sarashina2 guard): 差別的発言、暴力表現、違法行為を助長する入出力を検知し、安全なAI利用環境を維持する機能。Chat Completions APIを通じて利用可能。
  • スクラッチ開発モデルの利用: 独自のデータセットとプロセスでゼロから開発されたモデルを利用可能。他国への技術依存による規制変更リスクを排除。

4. 開始手順・セットアップ

  • 前提条件:
    • インターネット経由でのアクセス環境やサーバーシステムの準備が必要。
  • 導入手順:
    • ソフトバンクへ申し込み後、必要な書類の受領から通常15営業日にて、接続に伴うAPI情報が提供される。
  • 注意点:
    • 単独サービスとしての「Sarashina API」の新規申込受付は2026年6月16日に終了しており、今後はオラクルのクラウド基盤「Oracle Alloy」を採用した「Cloud PF Type A」経由で利用することになる。

5. 特徴・強み (Pros)

  • 高い日本語性能を持つ国産モデル: 海外の公開モデルを継続学習させるのではなく、日本語データセットを用いてゼロからスクラッチ開発されているため、日本の文化や商習慣に即した自然な表現が可能。
  • データ主権(ソブリン性)の確保: ソフトバンクが管理する国内のAIデータセンターを通じてサービスが提供されるため、データの所在・利用を自国内で管理できる。
  • セキュアな利用環境: 入出力データがモデルの学習に利用されることはなく、機密性の高い情報も安心して扱うことができる。

6. 弱み・注意点 (Cons)

  • 単独サービスの新規申込終了: 2026年6月16日に新規受付を終了しており、今後は「Cloud PF Type A」というクラウド基盤環境での契約・利用が前提となる。
  • カスタマイズの制限: 現時点では、自社の業務フローに合わせたモデルやAPI機能のカスタマイズには対応していない(将来的な対応可能性あり)。
  • 料金体系が不透明: 公式サイト上に明確な料金表が公開されておらず、個別の問い合わせと提案が必要となる。

7. 料金プラン

プラン名 料金 主な特徴
従量課金 / 定額プラン 要問い合わせ モデル毎(Sarashina2 mini, embedding 等)に料金が設定されており、利用規模やニーズに応じた料金体系となる
  • 課金体系: モデル毎の料金(詳細非公開)
  • 無料トライアル: 公式サイトに記載なし

8. 導入実績・事例

  • 導入企業: 中外製薬株式会社 など
  • 導入事例:
    • 中外製薬では、医薬品開発における臨床開発プロセス(膨大な英語論文の調査、臨床データ分析、規制対応など)を革新するため、生成AIやAIエージェントを活用した効率化の取り組みを進めている。
  • 対象業界: 機密性の高いデータを扱う製薬業界や金融機関、官公庁、その他エンタープライズ企業。

9. サポート体制

  • ドキュメント: API仕様書等は契約時・導入時に提供される。
  • コミュニティ: オープンなコミュニティフォーラムなどは存在しない。
  • 公式サポート: 導入後のサポート体制については、提案時に個別に案内される。

10. エコシステムと連携

10.1 API・外部サービス連携

  • API: Chat Completions API および Embeddings API を標準提供。
  • 外部サービス連携: 基本的にはREST形式のAPIを通じて、自社の各種システムやアプリケーションから直接コールする。

10.2 技術スタックとの相性

技術スタック 相性 メリット・推奨理由 懸念点・注意点
Python AI/データ分析基盤との統合が容易 公式SDKの有無は非公開、APIを直接実装する可能性がある
Node.js / TypeScript Webアプリケーションへの組み込みが容易 公式SDKの有無は非公開

11. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: 提供されるAPI情報(APIキー等)による認証。
  • データ管理: ソフトバンクが管理する国内データセンターで運用。入出力データはモデルの学習には一切利用されない。
  • 準拠規格: (公式サイト上に具体的な認証規格の明記はないが、Cloud PF Type Aへの統合により高度なセキュリティ要件を満たす設計となっている)

12. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: 提供されるのはAPIエンドポイントとなるため、開発者向けのインターフェースとなる。
  • 学習コスト: 一般的なLLMのAPI(OpenAI APIなど)を利用した経験があれば、比較的容易に組み込みが可能と推測されるが、RAGの構築にはベクトルデータベースなどの関連知識が必要。

13. ベストプラクティス

  • 効果的な活用法 (Modern Practices):
    • RAGの実装: 社内の規定、マニュアル、研究データなどの機密情報を「Sarashina2 embedding」でベクトル化し、「Sarashina2 mini」と組み合わせることで、情報漏洩リスクを抑えつつ高精度な社内向けAIアシスタントを構築する。
    • Cloud PF Type Aの活用: 今後の新規導入にあたっては、「Oracle Alloy」を採用した「Cloud PF Type A」の環境を利用し、セキュアな閉域網接続などを組み合わせた構成を検討する。
  • 陥りやすい罠 (Antipatterns):
    • 海外製モデルとの単純比較: パラメータ数や一般的なベンチマークのみで海外製モデルと比較するのではなく、日本語特有の表現力や商習慣の理解度、データ主権の確保という観点から評価を行わないと、真の価値を見誤る可能性がある。

14. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: ITreview, G2, Capterra などの主要レビューサイト
  • 総合評価: レビューサイトに登録なし(エンタープライズ向けのAPIサービスであるため)
  • 特徴的なユースケース:
    • 講演レポート等によると、「日本語データの処理」だけでなく、「機密データを安全に扱える(データが国内に留まる)」点が、製薬やインフラといった厳格なデータ管理が求められる企業から高く評価されている。

15. 直近半年のアップデート情報

  • 2026-06-16: 本サービスを「Cloud PF Type A」のSarashinaサービスへ順次統合することを発表し、単独サービスとしての新規申込受付を終了。
  • 2026-04-16: オラクルのクラウド基盤「Oracle Alloy」を採用した「Cloud PF Type A」で、「Sarashina」を活用した生成AIサービスの提供を2026年6月から順次開始することを発表。

(出典: ソフトバンク プレスリリース・お知らせ など)

16. 類似ツールとの比較

16.1 機能比較表 (星取表)

機能カテゴリ 機能項目 本ツール OpenAI API Amazon Bedrock Google Cloud Vertex AI
基本機能 日本語生成
国産のスクラッチ開発

高いが英語ベース

Claude等を利用可能

Geminiを利用可能
カテゴリ特定 Embeddings
Sarashina2 embedding

text-embedding-3等

Titan等

Gecko等
カテゴリ特定 有害コンテンツフィルタ
Sarashina2 guard

Moderation API

Guardrails for Bedrock

Safety settings
エンタープライズ データ主権(国内完結)
国内DCで完全管理

データリージョン選択制限あり

東京リージョンあり

東京リージョンあり

16.2 詳細比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
本ツール SB Intuitions開発の国産LLMのAPI 完全なデータ主権の確保、日本語特有の商習慣や文化への高い適応力 グローバル展開時の多言語対応力は海外製モデルに劣る可能性 自治体や重要インフラ、金融機関など、データの国内完結が必須のケース
OpenAI API ChatGPTの裏側で動く世界標準のLLM 圧倒的な推論能力と豊富なエコシステム 日本の商習慣や微細なニュアンスの反映では国産に譲る場合あり 幅広いユースケースで最高峰のモデル性能を求める場合
Amazon Bedrock AWS上のフルマネージド基盤 複数の基盤モデル(Claude, Llama等)を選択可能、AWSとの統合 独自の国産スクラッチモデルのラインナップは手薄 既にAWSを基盤として利用しており、複数のモデルを試したい場合
Google Cloud Vertex AI Google CloudのAIプラットフォーム Geminiモデルの利用、強力なマルチモーダル性能と検索統合 完全な「国産」モデルではない Google Workspace連携や、マルチモーダルな処理が主目的の場合

17. 総評

  • 総合的な評価: Sarashina APIは、SB Intuitionsがゼロからスクラッチ開発した純国産LLM「Sarashina」の能力を、セキュアな環境で利用できる価値の高いサービスである。最大の強みは「日本語の精緻な理解・出力」と「データ主権(ソブリン性)の確保」であり、この2点において海外メガテック企業のAPIとは明確な差別化が図られている。2026年6月に単独での新規受付を終了し、「Cloud PF Type A」へと統合されたことで、エンタープライズ向けのセキュアなクラウド基盤と一体化したソリューションへと進化している。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • 官公庁や自治体、金融機関、医療・製薬業界など、データの外部(海外)流出リスクを極小化したいプロジェクト。
    • 特殊な業界用語や日本の商習慣、文化的なニュアンスを正確に反映したコンテンツ生成・翻訳が求められるチーム。
  • 選択時のポイント:
    • コストや多言語での汎用性を最優先する場合はOpenAIやAnthropicのモデルが有力な選択肢となるが、機密データの安全性(データが日本国内の管理下に留まること)と「日本向けの自然な文章」を最も重視する場合に最適な選択肢となる。