Rakuten AI 調査レポート

開発元: Rakuten Group, Inc.
カテゴリ: 生成AI

楽天エコシステムのデータを活用し、消費者向けエージェントから法人向け業務効率化、開発者向けLLMまで提供する統合AIイニシアチブ。

総合評価
82点
基準点70点からの評価
オープンソース
OSS
無料プラン
あり
最低価格
¥1,100/月
対象ユーザー
中小企業開発者楽天ユーザー
更新頻度
🆕 最新情報: 2026年1月に楽天市場アプリへAIエージェントを搭載

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +8 国内最大級の日本語LLMをOSS公開し、エコシステムとの連携も強力
  • +5 法人向けサービスが月額1,100円と低コストで導入可能
  • +2 楽天市場アプリへのAI搭載など、具体的なサービス統合が進んでいる

👎 減点項目

  • -3 楽天エコシステム外のツールとの連携機能が限定的
総評: 日本語LLMの性能とエコシステム連携が強みだが、汎用性は発展途上。

Rakuten AI 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: Rakuten AI (楽天AI)
  • ツールの読み方: ラクテン エーアイ
  • 開発元: Rakuten Group, Inc. (楽天グループ株式会社)
  • 公式サイト: https://ai.rakuten.co.jp/
  • 関連リンク:
    • GitHub: (オープンソースモデルは今後公開予定)
  • カテゴリ: 生成AI
  • 概要: Rakuten AIは、楽天グループが展開する70以上のサービスにAI技術を統合する「AI-nization」の中核をなす構想です。消費者向けAIエージェント、法人向けの業務効率化サービス「Rakuten AI for Business」、国内最大級の性能を持つオープンソース日本語LLM「Rakuten AI 3.0」まで、ビジネスと消費者の両方にソリューションを提供します。

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題: 楽天の広範なエコシステムから得られるデータを活用し、顧客体験の向上、ビジネスパートナー(特に中小企業)の業務効率化、国内のAI開発力強化を実現すること。
  • 想定利用者:
    • 消費者: 「楽天市場」アプリなどを通じて、AIによる購買体験のサポートを受けるユーザー。
    • 法人・中小企業: 低コストで業務に生成AIを導入したい事業者(マーケティング、メール作成、顧客対応など)。
    • 開発者・研究者: 高性能な日本語LLMを利用して新たなAIアプリケーションを構築するエンジニア。
  • 利用シーン:
    • Eコマース: 楽天市場アプリでのAIコンシェルジュによる商品検索、出店者向けの商品説明文や画像の自動生成。
    • 法人業務: 「Rakuten AI for Business」を利用した、50種類以上のテンプレートに基づくメール作成やマーケティングコンテンツ生成。
    • AI開発: オープンソースの「Rakuten AI 3.0」を基盤とした、独自のAIサービスや研究開発。

3. 主要機能

  • Rakuten AI for Business: 法人向けのSaaS型生成AIサービス。月額1,100円で利用でき、50種類以上の業務テンプレートや入力情報を学習に利用しないセキュリティ設定が特徴。
  • 日本語大規模言語モデル (LLM): 国内最大規模の7000億パラメータを持つ「Rakuten AI 3.0」を開発し、Apache 2.0ライセンスでオープンソース公開。日本語ベンチマークで高い性能を誇る。
  • AIエージェント: 「楽天市場」スマートフォンアプリに搭載されたAIコンシェルジュ機能。対話形式でユーザーのニーズを理解し、商品を提案する。
  • Eコマース向けAIツール: 楽天市場の店舗運営システム「RMS」に統合されたAIアシスタント機能。画像加工やデータ分析を自動化し、店舗運営を効率化。
  • 意味検索 (Semantic Search): ユーザーの検索意図をAIが解釈し、従来のキーワード検索より関連性の高い商品を表示する機能。

4. 特徴・強み (Pros)

  • 高性能な日本語LLM: 国内最大規模のパラメータ数を持ち、日本語の理解・生成能力に優れたモデルを自社開発し、オープンソースとして公開している点。
  • 圧倒的なコストパフォーマンス: 法人向けサービス「Rakuten AI for Business」が月額1,100円という低価格で提供されており、特に中小企業にとって導入障壁が低い。
  • 楽天エコシステムとの連携: 70以上のサービスから得られる膨大なデータと既存の顧客基盤を活用し、実用的なAI機能を迅速に展開できる。
  • BtoBとBtoCの両輪展開: 消費者向けサービスで得た知見を法人向けサービスに活かすなど、相乗効果が期待できるビジネスモデル。

5. 弱み・注意点 (Cons)

  • エコシステム外との連携: 機能の多くは楽天サービス群に最適化されており、外部の主要SaaS(Microsoft 365, Salesforce等)との標準連携機能は限定的。
  • 第三者評価の不足: 法人向けサービスは比較的新しいため、G2やCapterraといったグローバルなレビューサイトでの評価や詳細な導入事例がまだ少ない。
  • 汎用性の課題: 汎用的なAI開発プラットフォーム(Vertex AI, Azure AI)と比較すると、現時点では楽天エコシステムに特化したソリューションが中心。

6. 料金プラン

プラン名 料金 主な特徴
Rakuten AI for Business ¥1,100/月 (税込) 法人向け生成AIサービス。50種類以上のテンプレート、セキュリティ設定。
Rakuten AI (LLM) 無料 オープンソース(Apache 2.0)。商用利用可能。
Rakuten AI Agent 無料 「楽天市場」アプリ等を通じて提供される消費者向けAI機能。
  • 課金体系: 主にユーザー単位(法人向けサービス)。
  • 無料トライアル: 公式サイトに無料トライアルに関する明確な記載はない。

7. 導入実績・事例

  • 導入企業: 具体的な企業名は限定的だが、中小企業を中心に導入が進んでいる。
  • 導入事例: 公式サイトでは特定企業名よりユースケースとして紹介。
    • 楽天市場出店者: 商品画像作成時間を90%削減、AIによる広告運用で費用対効果が1.5倍に向上。
    • エネルギー業界: コールセンターの顧客対応履歴から、顧客への案内メールを自動生成。
    • 宿泊業界: 海外旅行客を含む問い合わせメールの作成を効率化。
  • 対象業界: Eコマース、小売、不動産、地方自治体など、幅広い業界での活用が報告されている。

8. サポート体制

  • ドキュメント: 開発者向けにLLMのドキュメントがGitHub等で提供されている。
  • コミュニティ: オープンソースのLLMは、今後GitHub等で公開された際に開発者コミュニティによるサポートが期待される。
  • 公式サポート: 法人向けサービス「Rakuten AI for Business」に関するサポート体制の詳細は公式サイトでは公開されていない。個別の問い合わせが必要。

9. 連携機能 (API・インテグレーション)

  • API: オープンソースのLLMはAPIを通じて様々なアプリケーションに組み込み可能。
  • 外部サービス連携: 主に楽天エコシステム内のサービス連携が中心。HP製PCにオンデバイスAI機能を提供するなど、外部企業との協業も開始しているが、汎用的なSaaSとの標準連携は限定的。

10. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: SSO等の詳細な認証機能については公式サイトに記載なし。
  • データ管理: 「Rakuten AI for Business」では、入力された情報がAIモデルの再学習に利用されることを防ぐ機能を確保している。
  • 準拠規格: 「楽天AI倫理規定」を策定し、それに従ってAIを開発・運用。ISO27001やSOC2等の第三者認証に関する情報は公開されていない。

11. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: 法人向けサービスはブラウザベースで直感的に利用でき、業務別のテンプレートが用意されているため、AIの専門知識がなくても利用しやすい。
  • 学習コスト: 楽天市場の店舗運営者が既存の管理画面からシームレスに利用できるなど、学習コストは比較的低い設計になっている。

12. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: G2, Capterra, ITreview, およびウェブ検索による調査。
  • 総合評価: 2026年1月現在、法人向けサービスに関する主要レビューサイトでの登録や評価は確認できない。サービスの提供開始から日が浅いため、今後の導入事例やレビューの公開が待たれる。

13. 直近半年のアップデート情報

  • 2026-01-05: エージェント型AIツール「Rakuten AI」を「楽天市場」のスマートフォンアプリに搭載し、AIコンシェルジュ機能の提供を開始。
  • 2025-12-18: GENIACプロジェクトの一環として、国内最大規模となる7000億パラメータの高性能AIモデル「Rakuten AI 3.0」を開発・公開。
  • 2025-11-11: HP Japanとの協業により、HP製のPCにオンデバイスで動作する「Rakuten AI」の機能を搭載することを発表。
  • 2025-10-09: フリマアプリ「楽天ラクマ」に、AIが最適なカテゴリや商品説明文を自動提案する「AI出品機能」を導入。
  • 2025-08-22: 経済産業省とNEDOが主導する生成AI開発力強化プロジェクト「GENIAC」に採択。

(出典: 楽天グループ プレスリリース)

14. 類似ツールとの比較

「Rakuten AI for Business」は、国内の法人向け生成AIサービスや、汎用AIプラットフォームが競合となる。

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
本ツール (Rakuten AI) 楽天エコシステム特化のAI 日本語LLMの性能、低コスト(¥1,100/月)、国内ビジネスへの知見 外部連携が限定的 中小企業、楽天関連ビジネス、日本語中心の業務
Azure OpenAI Service OpenAIモデルをAzure上で提供 Microsoft製品との高い親和性、エンタープライズ対応のセキュリティ 楽天AIより高コスト Microsoft環境を多用する大企業
Google Vertex AI GoogleのAI/MLサービス基盤 多様なモデル選択肢、高度なカスタマイズ性、強力なインフラ 導入・運用の専門知識が必要 自社でAIモデル開発・運用を重視する企業
さくらのAI 国産クラウド上で提供 国内データセンターによる安全性、コンピューティングリソース提供 LLMの性能や機能が発展途上 高いセキュリティや国産クラウドを重視する政府・研究機関

15. 総評

  • 総合的な評価:
    • Rakuten AIは、単なるAIツールではなく、巨大なエコシステム全体をAIで変革する国家規模の構想である。オープンソースとして公開された国内最高峰の日本語LLMと、月額1,100円という法人向けサービスの低価格設定が大きな強み。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • 楽天市場の出店者など、楽天エコシステム内でビジネスを展開する事業者。
    • 低コストでAIを業務導入したいと考えている国内の中小企業。
    • 高性能な日本語LLMを求める開発者や研究機関。
  • 選択時のポイント:
    • 選択の最大のポイントは、楽天エコシステムへの依存度と日本語業務の比重。国内の中小企業が最初の生成AIツールとして導入するにはコストパフォーマンスが極めて高い。一方で、グローバルなSaaS連携や高度なAIモデル開発を求める場合は、AzureやGoogleのプラットフォームに軍配が上がるだろう。