Obsidian 調査レポート

開発元: Obsidian
カテゴリ: ドキュメント/ナレッジ

ローカル環境で動作するMarkdownベースのナレッジベースツール。強力なリンク機能、グラフビュー、データベース機能「Bases」が特徴で、ユーザーがデータを完全に所有できます。

総合評価
88点
基準点70点からの評価
オープンソース
非公式・商用
無料プラン
あり
最低価格
無料
対象ユーザー
研究者ライターエンジニア
更新頻度
🆕 最新情報: 2026年1月にSiri/ショートカット連携を追加

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +10 ローカルファーストで動作が高速かつプライバシー性が高い
  • +8 豊富なプラグインによる圧倒的なカスタマイズ性
  • +5 Bases機能により構造化データも扱えるようになり、汎用性が向上した

👎 減点項目

  • -3 公式の同期機能が有料
  • -2 多機能ゆえに学習コストが高い
総評: カスタマイズ性とプライバシー性を両立した最高峰の個人用ナレッジベースだが、ポテンシャルを最大限に引き出すには学習が必要。

Obsidian 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: Obsidian
  • ツールの読み方: オブシディアン
  • 開発元: Obsidian
  • 公式サイト: https://obsidian.md/
  • 関連リンク:
  • カテゴリ: ドキュメント/ナレッジ
  • 概要: Obsidianは、ローカル環境上のMarkdownファイルをベースとした、強力なナレッジベースツールです。「第二の脳」を構築することを目的とし、ノート間のリンク機能(バックリンク含む)、視覚的なグラフビュー、データベース機能「Bases」を特徴としています。クラウドに依存せず、ユーザーがデータを完全に所有できるプライバシー重視の設計となっています。

2. 目的と主な利用シーン

  • 目的: 個人の知識、アイデア、メモを長期的に保存・整理し、それらを相互に関連付けることで新たな洞察を生み出すこと(Personal Knowledge Management: PKM)。
  • 主な利用者: 研究者、ライター、エンジニア、学生、ナレッジワーカー全般。
  • 具体的な利用シーン:
    • Zettelkasten(ツェッテルカステン)メソッドを用いた知識管理
    • 日々の業務日報やデイリーノート(Daily Notes)
    • プロジェクトの仕様書や設計ドキュメントの作成(Markdown形式)
    • 「Bases」機能を用いたタスク管理や蔵書管理、顧客リストの作成
    • 複雑な概念のマインドマップ作成(Canvas機能)

3. 主要機能

  • Markdownベース: 全てのデータはローカルフォルダ内のプレーンテキスト(.mdファイル)として保存されるため、他のアプリとの互換性が高く、ベンダーロックインのリスクが低い。
  • リンクとバックリンク: [[リンク]] 記法によりノート同士を簡単に接続でき、あるノートがどこから参照されているか(バックリンク)も自動的に表示される。
  • Graph View: ノート間のつながりを視覚的なネットワークグラフとして表示し、知識の構造を俯瞰できる。
  • Bases (2025年10月追加): Notionのデータベースに相当する機能。テーブルビュー、リストビュー、マップビューなどでデータを管理でき、プロパティによるフィルタリングやソート、計算式(Formula)が利用可能。
  • Canvas: 無限のキャンバス上にノート、画像、PDF、Webページなどを自由に配置し、矢印でつないで思考を整理できる機能。
  • プラグインエコシステム: 2,000以上のコミュニティプラグインが存在し、タスク管理、カレンダー、AI支援、外部ツール連携など、機能を自由に拡張できる。
  • Web Clipper (2024年11月追加): ブラウザからWebページの内容をMarkdownとしてクリップし、Obsidianに保存できる公式拡張機能。
  • Obsidian Sync & Publish: 有償のアドオンにより、端末間のエンドツーエンド暗号化同期や、Webサイトとしての公開が可能。

4. 特徴・強み (Pros)

  • ローカルファーストとプライバシー: データは全てユーザーの端末内にあり、オフラインで完全に動作する。クラウドサービスのようなサービス終了やデータ流出のリスクが極めて低い。
  • 圧倒的なカスタマイズ性: プラグインとテーマにより、シンプルなメモ帳から多機能なIDEのような環境まで、ユーザーの好みに合わせて構築できる。
  • 高速な動作: ローカルアプリであるため、大量のノートがあっても検索や切り替えが非常に高速。
  • 将来性のあるデータ形式: 独自のデータベースではなく標準的なMarkdownファイルを使用するため、Obsidianがなくなってもデータはテキストとして永遠に残る。
  • Basesによる構造化データの管理: 従来の弱点だった「構造化データの管理」がBases機能により強化され、Notionのようなデータベース的な使い方も可能になった。

5. 弱み・注意点 (Cons)

  • 学習コスト: 機能が豊富で自由度が高すぎるため、初心者は「何から始めればいいかわからない」となりがち。特にプラグインの選定や設定には時間がかかる。
  • 同期が有料: Notionなどのクラウドネイティブなツールと異なり、公式の同期機能(Obsidian Sync)は有料。無料の代替手段(iCloud, Gitなど)はあるが、設定の手間がかかる。
  • モバイル版の制約: デスクトップ版に比べて、一部のプラグインが動作しなかったり、画面構成が複雑になりやすかったりと、使用感に差がある場合がある。
  • コラボレーションの弱さ: 基本的に個人利用を想定して設計されているため、Google DocsやNotionのようなリアルタイム共同編集には向いていない。

6. 料金プラン

  • 個人利用:
    • 価格: 無料
    • 機能: 全てのコア機能、プラグイン、APIが利用可能。商用利用(組織内での利用)も2025年2月より無料化された(寄付としての商用ライセンス購入は推奨される)。
  • 商用利用 (Commercial):
    • 価格: $50/ユーザー/年(オプション)
    • 対象: 開発支援を希望する企業や組織。必須ではなくなったが、支払うことで開発をサポートできる。
  • Catalyst:
    • 価格: $25〜(買い切り)
    • 機能: 開発支援のためのライセンス。ベータ版への早期アクセスやコミュニティバッジが付与される。
  • アドオン:
    • Obsidian Sync: $4/月(年払い)または $5/月(月払い)。端末間の同期、バージョン履歴、エンドツーエンド暗号化。
    • Obsidian Publish: $8/月(年払い)または $10/月(月払い)。ノートをWebサイトとして公開。

7. 導入実績・事例

  • 個人開発者・エンジニア: VS Codeライクな操作感やGit管理との親和性から、多くのエンジニアが技術メモやドキュメント管理に利用。
  • 研究者: 論文執筆のためのネタ帳や文献管理として、Zotero連携プラグインなどと共に利用されるケースが多い。
  • 作家・クリエイター: 世界観の設定やプロットの構成管理など、膨大な情報の整理に活用されている。

8. サポート体制

  • ドキュメント: 公式ヘルプ(Obsidian Help)が充実しており、基本操作から高度なカスタマイズまで網羅されている。
  • コミュニティ: 公式フォーラムやDiscordサーバーが非常に活発で、世界中のユーザーが質問回答やノウハウ共有を行っている。日本語コミュニティも存在する。
  • 公式サポート: メールサポートがあるほか、Sync/Publishの支払い等に関する問い合わせに対応。

9. 連携機能 (API・インテグレーション)

  • API: TypeScript向けのAPIが公開されており、開発者は自由にプラグインを作成できる。
  • 外部サービス連携:
    • 標準ではWeb Clipperによる取り込みが可能。
    • コミュニティプラグインを通じて、Readwise, Zotero, Todoist, GitHub, ChatGPT, Calendarなど、無数のサービスと連携可能。
    • 「JSON Canvas」フォーマットの公開により、他ツールとのキャンバスデータの互換性も確保されている。

10. セキュリティとコンプライアンス

  • データ管理: データはローカルストレージ(またはユーザー自身のクラウドストレージ)に保存されるため、管理権限はユーザーにある。
  • 暗号化: 公式のObsidian Syncを使用する場合、AES-256によるエンドツーエンド暗号化が適用され、開発元でもデータを見ることはできない。
  • 監査: 2024年12月にCure53による2回目のセキュリティ監査が完了しており、高いセキュリティ基準が維持されている。

11. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: デフォルトはミニマルでシンプルだが、テーマを変更することで全く異なる見た目に変更可能。Graph Viewなどの視覚的要素も洗練されている。
  • 学習コスト: 高い。基本的なメモ書きは簡単だが、Obsidianの真価を発揮するには、Markdown記法、リンクの概念、プラグインの活用方法などを学ぶ必要がある。

12. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: G2, Product Hunt, X(Twitter)
  • 総合評価: Product Huntで4.9/5.0など、非常に高い評価を得ている。
  • ポジティブな評価:
    • 「ローカルファーストなので動作が爆速。オフラインでも使えるのが最高」
    • 「Bases機能のおかげでNotionから完全に移行できた」
    • 「プラグインで自分だけの最強のエディタを作れる」
  • ネガティブな評価 / 改善要望:
    • 「同期にお金がかかるのがネック」
    • 「設定項目が多すぎて、こだわり始めると時間が溶ける(Obsidian沼)」
    • 「スマホでの操作性がPC版に劣る」

13. 直近半年のアップデート情報

  • Siri / ショートカット連携 (2026年1月):
    • iOSのSiriおよびショートカットに対応し、音声や自動化でノートの作成・編集が可能になった。
  • モバイル・デスクトップ版の改善 (2025年12月 - v1.11.2〜v1.11.4):
    • ファイルパスのコピー機能追加、PDFエクスポートの改善、各種UIの調整やバグ修正など、多数の品質向上が行われた。
  • Basesの導入 (2025年10月 - v1.10.0):
    • データベース機能「Bases」が追加され、ノートを構造化データとして扱えるようになった。
    • 「Group by」機能、テーブルサマリー、リストビュー、マップビュー(公式プラグイン)などが実装され、データ管理能力が飛躍的に向上した。
  • モバイルアプリのUI改善 (2025年12月 - v1.11.0):
    • iOS/Android向けのウィジェットが大幅に強化され、ホーム画面から直接ノートを作成・閲覧可能になった。
    • UIのリフレッシュが行われ、タッチスクリーンでの操作性が向上した。
  • セキュリティ監査完了 (2025年12月):
    • Cure53による2回目の監査が完了し、安全性が再確認された。
  • 商用利用の無料化 (2025年2月):
    • 以前は従業員2名以上の企業での利用は有料だったが、原則無料(寄付推奨)へとポリシーが変更された。

(出典: Obsidian Roadmap, Release notes)

14. 類似ツールとの比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
Obsidian ローカルで動作するMarkdownベースのナレッジツール 高速性、プライバシー、圧倒的なカスタマイズ性 同期が有料、学習コストが高い データ所有権と拡張性を最優先する場合
Notion クラウドベースのオールインワンワークスペース 共同編集、データベース機能、導入の容易さ オフライン動作に弱い、動作が重め チームでの共同作業がメインの場合
Logseq アウトライナー形式のローカルナレッジツール 日誌機能、ブロック参照、オープンソース 長文ドキュメントの扱いにくい 箇条書きでの思考整理を重視する場合
VS Code 拡張機能でナレッジベース化できるコードエディタ 開発環境との統合、Git連携の強さ 専用UIでないため操作が複雑 開発と知識管理を同一ツールで完結したい場合

15. 総評

  • 総合的な評価: Obsidianは、個人の知識管理ツールとして最高峰の完成度を誇ります。特に2025年の「Bases」機能の追加により、弱点だった構造化データの管理も可能になり、Notionの強力な対抗馬となりました。「自分のデータは自分で持つ」という哲学と、活発なコミュニティによる拡張性が組み合わさり、一生使い続けられるツールとしての安心感があります。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • 個人のナレッジマネジメントを徹底したいフリーランスや専門職。
    • プライバシー要件が厳しく、クラウドサービスの利用が制限される環境。
    • 技術ドキュメントをMarkdownで管理したいが、専用のビューワーやリンク機能も欲しい開発チーム。
  • 選択時のポイント: 「初期設定の手間」と「同期コスト」を許容できるかが鍵です。それらを乗り越えれば、これ以上ないほど自由で高速な思考環境が手に入ります。