Make 調査レポート

開発元: Celonis / Make
カテゴリ: ⚡ ワークフロー自動化

直感的なビジュアル操作で複雑なワークフローと自律的なAIエージェントを構築できるプラットフォーム。高い柔軟性とコストパフォーマンスが特徴。

総合評価
82点
基準点70点からの評価
オープンソース
非公式・商用
無料プラン
あり
最低価格
無料
対象ユーザー
開発者スタートアップSMB
更新頻度
🆕 最新情報: 2026年5月にGemini 3.5 FlashサポートやClaude連携機能をリリースし、AI自動化を強化

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +5 視覚的なシナリオビルダーが非常に直感的で、複雑なロジックも可視化しやすい
  • +4 「Make AI Agents」や「Make Skills for Claude」等、自律型AI統合機能が大幅に強化された
  • +3 無料プランの実用性が高く、有料プランも競合(Zapier等)と比較して安価
  • +2 HTTP/Webhookモジュールやデータ変換機能が強力で、APIを持つほぼ全てのサービスと連携可能

👎 減点項目

  • -2 複雑なシナリオを作成するには、配列やJSONなどのデータ構造の理解が必要(学習コスト高)
総評: 視覚的な操作性と高いカスタマイズ性を両立し、単なるデータ連携から高度なAIエージェント開発まで幅広く推奨できる。

Make 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: Make (旧 Integromat)
  • ツールの読み方: メイク
  • 開発元: Celonis (Make部門)
  • 公式サイト: https://www.make.com/
  • 関連リンク:
  • カテゴリ: ワークフロー自動化
  • 概要: Makeは、アプリ、サービス、システムを数回のクリックで統合できるビジュアルオートメーションプラットフォームです。単純なタスクから複雑なエンタープライズワークフロー、さらには自律型のAIエージェントまで、ドラッグ&ドロップのインターフェースで直感的に構築できます。以前は「Integromat」として知られていました。

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題:
    • 異なるSaaS間のデータの分断(サイロ化)の解消。
    • 反復的な手作業(データ入力、通知、ファイル移動など)の削減。
    • 開発リソースを使わずにカスタムバックエンドロジックやAPI連携を構築したいニーズへの対応。
  • 想定利用者:
    • ノーコード/ローコード開発者
    • マーケティング担当者(リード管理、SNS自動化)
    • eコマース運営者(注文処理、在庫管理)
    • スタートアップおよびSMB(業務効率化)
  • 利用シーン:
    • リード管理: Facebook Lead Adsで獲得したリードをGoogleスプレッドシートに追加し、Slackで営業チームに通知、Mailchimpでウェルカムメールを送信する。
    • eコマース: Shopifyで注文が入ったら、Xeroで請求書を作成し、Googleドライブに保存する。
    • APIバックエンド: Webhookを受け取り、データを加工してデータベースに保存し、レスポンスを返す簡易APIサーバーとして利用する。
    • 自律型AIエージェント構築: Make AI Agentsを使用し、複数のツールを自律的に操作して複雑なタスクをこなすエージェントワークフローを構築する。

3. 主要機能

  • Make AI Agents: キャンバス上でツール呼び出しや意思決定プロセスを可視化しながら、自律的に思考し行動するAIエージェントを構築できる機能。
  • ビジュアルシナリオエディタ: キャンバス上でバブル状のモジュールを繋ぎ合わせ、データの流れを視覚的に設計できる。
  • 1600以上のアプリ連携: 主要なSaaS(Google, Slack, Salesforce, HubSpotなど)のアプリが事前定義されている。
  • HTTP/Webhookモジュール: 専用アプリがないサービスでも、REST/SOAP APIを直接呼び出して連携可能。
  • RouterとFilter: 条件に基づいて処理を分岐させたり、特定のデータのみを通過させるフィルタリング機能。
  • Error Handling: エラー発生時に自動で再試行する「Retry(旧Break)」や、スキップして処理を継続する「Skip(旧Ignore)」など、直感的で高度な例外処理機能。
  • Data Store: シナリオ間でデータを永続化・共有するための簡易データベース機能。
  • Iterator / Aggregator: 配列データを個別の項目に分解して処理したり、逆に複数のデータを一つにまとめたりする機能。

4. 開始手順・セットアップ

  • 前提条件:
    • 有効なメールアドレスまたはGoogle/Facebook/GitHubアカウント。
    • Webブラウザ(Chrome, Firefox, Safariなど)。
  • サインアップ:
    • 公式サイト make.com にアクセスし、「Get started free」をクリックしてアカウントを作成する。
  • 初期設定:
    • ダッシュボードから「Create a new scenario」をクリックしてエディタを開く。
    • 連携したいアプリのアイコン(例: Google Sheets)を選択し、接続設定(Connection)を行う。
  • クイックスタート:
    1. トリガーとなるモジュール(例: Watch Rows)を設定。
    2. アクションとなるモジュール(例: Send a message to Slack)を追加。
    3. 「Run once」ボタンを押して動作テストを行う。
    4. 問題なければスケジュール設定をONにして保存する。

5. 特徴・強み (Pros)

  • 圧倒的な視覚的操作性: 処理の流れが左から右へアニメーションで可視化され、データの動きを直感的に理解しやすい。実行履歴やAIエージェントの思考プロセスも視覚的にデバッグ可能。
  • 自律型AIの統合: Make AI Agentsにより、従来の直線的なワークフロー自動化だけでなく、プロンプトベースで自律的にツールを組み合わせてタスクをこなすエージェント機能が強力。
  • 高い柔軟性と拡張性: 「JSON/XMLのパース」や「正規表現」、「配列操作」などの関数が充実しており、プログラミングに近いロジックをノーコードで組める。
  • コストパフォーマンス: Zapierと比較して、同等の処理量でもコストが抑えられる傾向にある(特に大量のデータを扱う場合)。
  • 外部AIツールとの連携強化: Make Skills for Claude等の機能により、外部のLLMから直接Makeの機能を呼び出してシナリオを生成・実行可能。

6. 弱み・注意点 (Cons)

  • 学習コスト: Zapierのような直線的な「トリガー→アクション」だけのツールに比べ、機能が多岐にわたるため、使いこなすにはデータ構造やAPIの知識がある程度必要になる。
  • オペレーション消費: 複雑なシナリオを作ると、1回の実行で多数の「オペレーション(処理単位)」を消費するため、見積もりより早くプラン上限に達することがある。
  • 日本語対応: UIは英語ベースであり(一部翻訳が進んでいるが)、ドキュメントも英語が中心。

7. 料金プラン

プラン名 料金 主な特徴
Free 無料 1,000 Ops/月, 2アクティブシナリオ, 最小実行間隔15分
Core $9/月〜 10,000 Ops/月〜, 無制限シナリオ, 最小実行間隔1分
Pro $16/月〜 10,000 Ops/月〜, フルテキスト検索実行, カスタム変数, 優先実行
Teams $29/月〜 チーム管理機能, 複数ユーザー, ロール設定
Enterprise 要問い合わせ エンタープライズセキュリティ, SSO, 専任サポート
  • 課金体系: 月間の「オペレーション数(Ops)」に基づく。データ転送量(MB)にも一部制限あり。
  • 無料トライアル: Freeプランは期限なしで利用可能。

8. 導入実績・事例

  • 導入企業: Meta, Spotify, Heineken, Zalando, Uberなど、世界中の大手企業やスタートアップで利用されている。
  • 導入事例:
    • Fintech企業: 顧客オンボーディングプロセスを自動化し、手作業を90%削減。
    • Eコマース: 注文処理から配送手配、顧客通知までを完全自動化し、人的ミスをゼロに。
  • 対象業界: Eコマース、マーケティング代理店、SaaS開発、金融など多岐にわたる。

9. サポート体制

  • ドキュメント: Make Help Center に詳細なマニュアル、チュートリアル、ビデオガイドがある(主に英語)。
  • コミュニティ: Make Community は非常に活発で、ユーザー同士の助け合いやエキスパートによる回答が得られる。
  • 公式サポート: チケット制のサポートデスクを提供。プランによって優先度が異なる。Coreプラン以上で優先サポートあり。

10. エコシステムと連携

10.1 API・外部サービス連携

  • API: Make APIを利用して、シナリオの管理、実行、ユーザー管理などをプログラムから操作可能。
  • 外部サービス連携: 1600以上のアプリに加え、汎用的なHTTP, Webhook, SOAP, JSONモジュールを駆使することで、API公開されているあらゆるサービスと連携可能。

10.2 技術スタックとの相性

技術スタック 相性 メリット・推奨理由 懸念点・注意点
Node.js / Express Webhook経由でバックエンド処理をオフロード可能 認証周りの実装が必要
Python (Django/FastAPI) データ処理パイプラインの一部として連携しやすい 大量データの転送にはコストがかかる場合あり
React / Next.js フォーム送信先や簡易APIとして利用可能 クライアントサイドからの直接呼び出しはCORSやAPIキー管理に注意
NoCode (Bubble/Webflow) ネイティブ連携やWebhookでバックエンド機能を補完 特になし

11. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: SSO (Single Sign-On) 対応 (Teamsプラン以上)。2段階認証 (2FA) は全プランで利用可能。
  • データ管理: データの暗号化(AES-256)、EUまたはUSリージョンの選択が可能(Enterprise)。
  • 準拠規格: ISO 27001, SOC 2 Type 2, GDPR準拠。

12. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: モダンで洗練されたUI。シナリオエディタはズームイン・アウトが可能で、大規模なワークフローも全体を俯瞰しやすい。ドラッグ&ドロップで直感的に操作できる。
  • 学習コスト: 初歩的な連携は簡単だが、Iterator/Aggregatorや複雑な関数を使いこなすには「プログラミング的思考」が必要となり、中級者向けといえる。

13. ベストプラクティス

  • 効果的な活用法 (Modern Practices):
    • Webhookの活用: Polling(定期確認)ではなくWebhook(即時通知)を使うことで、即時実行を実現しつつオペレーション消費を節約する。
    • エラーハンドリングの実装: “Break”ディレクティブを使用して、API一時エラー時に自動リトライを行う設定を入れる。
    • モジュール化: 巨大なシナリオを作る代わりに、機能を分割して別のシナリオとして呼び出す(HTTP Request等で連携)。
  • 陥りやすい罠 (Antipatterns):
    • 無限ループ: Webhookトリガーと更新アクションを適切にフィルタリングせずに繋ぐと、無限ループが発生しオペレーションを大量消費する。
    • 過剰なポーリング: 更新頻度の低いサービスに対して短い間隔(1分など)でポーリング設定を行うと、何もなくてもオペレーションを消費してしまう。

14. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: G2, Capterra, ITreview
  • 総合評価: 4.7/5.0 (G2)
  • ポジティブな評価:
    • 「視覚的にロジックを組めるのが最高。何が起きているか一目瞭然でデバッグもしやすい」
    • 「Zapierより安くて高機能。複雑な条件分岐ができるので乗り換えて正解だった」
    • 「APIさえあれば何でも繋げられる柔軟性が素晴らしい」
  • ネガティブな評価 / 改善要望:
    • 「サポートのレスポンスが遅いことがある。特に無料・下位プランの場合」
    • 「エラーログが少し読みづらく、深い階層のデータエラー原因特定に時間がかかる場合がある」
    • 「初心者には少し難しすぎるかもしれない。学習曲線がある」
  • 特徴的なユースケース:
    • 「自社SaaSのプロトタイプバックエンドとしてMakeを使用し、MVP開発期間を劇的に短縮した」

15. 直近半年のアップデート情報

  • 2026-05-27: Gemini 3.5 Flash サポート: Googleの最新AIモデル Gemini 3.5 Flash が利用可能になり、より高速で複雑なAIワークフローが構築可能に。
  • 2026-05-26: エラーハンドラーの名称変更と改善: エラーハンドラーの名称が直感的に改善(Break -> Retry、Ignore -> Skip)され、モジュール内の説明もアップデートされた。
  • 2026-05-07: Make Skills for Claude (Open Beta): Claudeから直接Makeのシナリオブループリントを生成したり、設定を行ったりできる新機能がリリースされた。
  • 2026-02-13: Make AI Agents リリース: キャンバス上でネイティブに動作し、ツール呼び出しや推論の過程を可視化できる全く新しい自律型AIエージェント構築機能が公開された。
  • 2025-12-15: Enterprise Features強化: 監査ログの詳細化と、より細かい権限管理機能がリリースされた。
  • 2025-10-14: AI Assistant Beta終了: 初期のAI Assistant Betaプログラムが終了し、次世代AI機能への移行期間に入った。

(出典: Make Community News)

16. 類似ツールとの比較

16.1 機能比較表 (星取表)

機能カテゴリ 機能項目 本ツール (Make) Zapier n8n Power Automate
基本機能 連携アプリ数
1600+

8500+

1000+

1000+
開発機能 複雑なロジック
視覚的で柔軟

直線的

コード記述可

変数/式利用可
AI機能 エージェント構築
Make AI Agents搭載

Zapier AI Agents搭載

AIノードあり

Copilot統合
運用 コスト
安価

やや高め

セルフホスト無料

M365に含まれる
非機能要件 日本語対応
一部のみ

英語中心

英語中心

完全対応

16.2 詳細比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
本ツール (Make) 視覚的で柔軟なフロー・エージェント構築 複雑なロジック可視化、コスパ、柔軟性、高度なAIエージェント機能 初心者には学習曲線がある 複雑な分岐や自律型AIを活用したデータ処理が必要な場合。コストを抑えたい場合。
Zapier 最も有名な簡単自動化ツール 圧倒的な連携数、初心者でも即座に使える、AI機能の充実 コストが高い、複雑な処理は苦手 シンプルな連携を素早く実装したい場合。多数のSaaSを連携させたい場合。
n8n オープンソース・セルフホスト データ管理権限、コード(JS)利用の自由度 サーバー管理の手間(セルフホスト時) データを自社管理したい場合。エンジニア中心のチーム。
Power Automate Microsoftエコシステム統合 M365連携、RPA機能、ガバナンス 複雑なフローの可読性が悪い場合がある M365中心の環境、デスクトップ操作(RPA)が必要な場合。

17. 総評

  • 総合的な評価:
    • Makeは、機能性、価格、使いやすさのバランスが非常に優れたツールである。特に「視覚的にロジックを組める」という体験は他のツールを凌駕しており、複雑な業務フローを整理・自動化する上で強力な武器となる。さらに、「Make AI Agents」等の機能追加により、単なる自動化ツールから自律型AIエージェントの基盤へと進化を遂げている。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • API連携を活用して業務効率化を図りたいスタートアップやSMB。
    • Zapierのコストや機能制限に悩んでいるチーム。
    • 自律型AIエージェントを用いた高度な自動化システムを素早く構築したいチーム。
  • 選択時のポイント:
    • 「簡単な連携だけでいいのか、複雑な処理や自律型AIが必要か」が分かれ目。複雑な処理や条件分岐が必要ならMakeが圧倒的に有利。M365環境ならPower Automateも有力な選択肢となる。