Linear 調査レポート

開発元: Linear Orbit, Inc.
カテゴリ: プロジェクト管理

ソフトウェア開発チームのために設計された、高速でモダンなプロジェクト管理・課題追跡ツール

総合評価
85点
基準点70点からの評価
オープンソース
非公式・商用
無料プラン
あり
最低価格
$10/user/月
対象ユーザー
ソフトウェア開発チームスタートアッププロダクトマネージャー
更新頻度
🆕 最新情報: 2026年1月にJira Epic同期機能やSlack Agentの全プラン開放を実施

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +5 圧倒的な動作速度とキーボード中心の操作性により、入力・管理のストレスが極小
  • +5 開発者のワークフロー(GitHub/GitLab連携)に深く統合されている
  • +5 美しく直感的なUI/UXで、学習コストが低い

👎 減点項目

  • -3 UIおよび公式ドキュメントが日本語未対応
  • -2 Jira等と比較すると、ワークフローやフィールドのカスタマイズ性に制限がある
総評: 「開発者が使いたくなる」ことを追求したツール。スピードとUXは最高峰だが、日本語対応と高度な柔軟性は課題。

Linear 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: Linear
  • ツールの読み方: リニア
  • 開発元: Linear Orbit, Inc.
  • 公式サイト: https://linear.app/
  • 関連リンク:
  • カテゴリ: プロジェクト管理
  • 概要: ソフトウェア開発プロジェクトを効率的に計画・実行するために設計された課題追跡ツール。「Magic back to software」を掲げ、圧倒的な動作速度、モダンなデザイン、そしてエンジニアのワークフローに最適化された機能群を提供する。

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題: 既存のプロジェクト管理ツールの「動作が重い」「設定が複雑」「入力が面倒」という課題を解消し、本来の開発業務に集中できる環境を作る。
  • 想定利用者: ソフトウェアエンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャー、スタートアップからスケールアップ期の開発チーム。
  • 利用シーン:
    • スプリント管理 (Cycles): 1〜数週間の開発サイクル(Cycle)を作成し、期間内のタスク消化を管理する。
    • バグトラッキング: バグ報告をIssueとして起票し、Triage機能で優先順位付けと担当者割り当てを行う。
    • 製品ロードマップ策定: 複数のプロジェクトを束ねるRoadmap機能で、中長期的な製品計画を可視化する。

3. 主要機能

  • Cycles (サイクル): アジャイル開発のスプリントに相当する機能。完了しなかったタスクは自動的に次のサイクルに持ち越される設定も可能。
  • Issues & Triage: 高速にIssueを作成・編集できる。Triage(トリアージ)機能により、受信トレイに入ってきた未整理のタスクを効率的に仕分けられる。
  • Roadmaps & Initiatives: 四半期や年単位の大きな目標(Initiatives)と、それに紐づくプロジェクトの進捗をガントチャート風に可視化。
  • Sync & Offline Mode: 独自の同期エンジンにより、オフラインでも操作可能で、オンライン復帰時に即座に同期される。
  • Linear Insights: チームのベロシティやCycle Timeなどのメトリクスを自動的に可視化し、分析レポートを作成する。
  • AI Features:
    • Linear Asks: Slackやメールからのリクエストを自動的にIssue化し、重複検知などを行う。
    • Triage Intelligence: AIがIssueの内容を分析し、適切なチームや担当者を提案する。

4. 開始手順・セットアップ

  • 前提条件:
    • Googleアカウントまたはメールアドレス
  • インストール/導入:
    # Webブラウザで利用可能。
    # macOS/Windows用のデスクトップアプリも公式サイトからダウンロード可能。
    
  • 初期設定:
    • ワークスペースの作成(URLスラッグの決定)。
    • チームの作成(例: “Engineering”, “Design”)。
    • GitHub/GitLab連携の設定(リポジトリのインポートやPR連携)。
  • クイックスタート:
    • Cキーを押して新しいIssueを作成。
    • Cmd+K (macOS) / Ctrl+K (Windows) でコマンドメニューを開き、あらゆる操作を実行。

5. 特徴・強み (Pros)

  • 圧倒的なスピード: ページ遷移やデータ保存がほぼ瞬時に行われ、待ち時間を感じさせない。
  • キーボードファースト: ほぼ全ての操作にショートカットキーが割り当てられており、マウスを使わずに操作可能。
  • 開発者体験 (DX) への配慮: GitのコミットやPRとIssueが自動でリンクし、PRのマージでIssueを自動クローズするなどの連携が強力かつ設定が容易。
  • 洗練されたデザイン: ミニマルで美しいUIは、使うこと自体を楽しくさせると評価が高い。

6. 弱み・注意点 (Cons)

  • カスタマイズ性の制限: Jiraのようにワークフローを複雑に分岐させたり、画面構成を大幅に変えたりすることはできない。「Linearの流儀」に合わせる必要がある。
  • 日本語未対応: 2026年1月現在、UIは英語のみ。日本語の入力・表示は問題ないが、メニューなどは全て英語。
  • エンタープライズ機能: 大規模組織向けの権限管理や監査ログなどはEnterpriseプランが必要で、Jiraほど細かくはない。

7. 料金プラン

※価格は2026年1月時点の月額払い(目安)。年払いによる割引あり。

プラン名 料金 主な特徴
Free 無料 無制限メンバー、2チームまで、250 Issuesまで。
Basic $10/ユーザー/月 5チームまで、Issue数無制限、ファイルアップロード無制限、Adminロール。
Business $16/ユーザー/月 チーム数無制限、Private Teams、Linear Insights、Linear Asks、SLA、SSO(Google)。
Enterprise 要問い合わせ SAML/SCIM、高度なセキュリティ、専任サポート、データレジデンシー。
  • 課金体系: ユーザー数単位のサブスクリプション。
  • 無料トライアル: Freeプランで多くの機能を試せる。

8. 導入実績・事例

  • 導入企業: Vercel, Retool, Descript, The Browser Company (Arc), Ramp, Substack など、急成長中のテック企業やスタートアップで採用率が高い。
  • 導入事例: アジャイル開発の高速化、GitHub連携によるエンジニアの負担軽減、透明性の高いロードマップ共有などに活用されている。
  • 対象業界: 主にソフトウェア、インターネットサービス、SaaS業界。

9. サポート体制

  • ドキュメント: Linear Docs は非常に整理されており、読みやすい(英語)。
  • コミュニティ: Linear Community (Slack) があり、ユーザー同士の情報交換や機能リクエストが行われている。
  • 公式サポート: アプリ内の「Contact Support」やメールでのサポートを提供。レスポンスは比較的早いと評判。

10. エコシステムと連携

10.1 API・外部サービス連携

  • API: GraphQL APIを提供しており、柔軟なデータ取得や操作が可能。Webhooksも完備。
  • 外部サービス連携:
    • 開発: GitHub, GitLab, Sentry
    • コミュニケーション: Slack, Discord, Microsoft Teams
    • デザイン: Figma
    • サポート: Zendesk, Intercom, Front
    • その他: Google Sheets, Zapier, Notion

10.2 技術スタックとの相性

技術スタック 相性 メリット・推奨理由 懸念点・注意点
GitHub PRとIssueの同期が完璧。ブランチ名の自動生成などが強力。 特になし
GitLab MRとの連携が可能。 GitHubほど機能が深くない場合がある。
Sentry エラーログから直接Issueを作成できる。 特になし
Slack SlackからIssue作成、通知の受け取り、スレッド同期が可能。 通知量が多くなりがちなので設定が必要。

11. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: Google SSO (Business以上), SAML SSO (Enterprise)。
  • データ管理: データは暗号化されて保存。Enterpriseプランではデータレジデンシー(保存リージョンの選択)が可能か要確認(EUリージョン等の対応が進んでいる)。
  • 準拠規格: SOC 2 Type II, GDPR, HIPAA (Enterpriseのみ対応) に準拠。

12. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: 非常にモダンで応答性が高い。「Command Menu (Cmd+K)」ですべての操作にアクセスできるため、慣れると爆速で操作できる。
  • 学習コスト: シンプルな構造のため、基本的な使い方はすぐに習得できる。ショートカットキーを覚えることで生産性がさらに向上する。

13. ベストプラクティス

  • 効果的な活用法 (Modern Practices):
    • Cyclesの活用: 開発リズムを作るためにCycle(スプリント)を導入し、未完了タスクの持ち越しルール(Auto-close/Move)を設定する。
    • Triageの徹底: 発生したIssueはまずTriageに入れ、毎朝短時間で担当者と優先度を決めてInboxを空にする習慣をつける。
    • ショートカットの習得: ? キーでショートカット一覧を表示し、よく使う操作(作成、割り当て、ステータス変更)をマスターする。
  • 陥りやすい罠 (Antipatterns):
    • ステータスの増やしすぎ: シンプルさが売りなので、Jiraのように過剰に細かいステータスやワークフローを作ろうとすると使いにくくなる。
    • ロードマップの軽視: 日々のIssue消化に追われ、Roadmap機能を使わないと、長期的なゴールが見えなくなる。

14. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: G2, Capterra, X (Twitter)
  • 総合評価: 4.5/5.0 (G2)
  • ポジティブな評価:
    • 「Jiraから移行したら、チームの生産性が上がったし、何よりツールを開くのが苦痛じゃなくなった。」
    • 「GitHubとの連携が素晴らしく、PRを作ると自動でIssueがIn Progressになり、マージするとDoneになるのが快適。」
    • 「オフラインでもサクサク動くのが地味に便利。」
  • ネガティブな評価 / 改善要望:
    • 「複雑な権限設定や承認フローが必要な大企業的な運用には向かない。」
    • 「ガントチャート機能がもっと高機能だと嬉しい。」
    • 「日本語UIがないので、非エンジニアのメンバーへの導入障壁がある。」

15. 直近半年のアップデート情報

  • 2026-01-29: Jira Epic sync: JiraのEpicとLinearのProjectを双方向同期可能に。
  • 2026-01-22: Linear Agent for Slack: SlackでのAIエージェント機能を全プランに開放。自然言語でのIssue作成などが可能に。
  • 2025-12-17: Team Owners Role: チーム単位での権限管理を強化する「Team Owner」ロールを追加。
  • 2025-12-04: OpenAI Codex Agent: Linear内でOpenAI Codexエージェントにタスクを委譲できる機能を追加。
  • 2025-11-20: Form Templates: Issue作成時の入力フォームをテンプレート化し、必須項目などを設定可能に。

(出典: Linear Changelog)

16. 類似ツールとの比較

16.1 機能比較表 (星取表)

機能カテゴリ 機能項目 本ツール (Linear) Jira Asana GitHub Projects
基本機能 動作速度
爆速

重め

標準

標準
開発連携 Git統合
深層統合

強力

連携可

内蔵
カスタマイズ ワークフロー
制限あり

無限

柔軟

柔軟
UX キーボード操作
完全対応

一部

一部

一部
非機能要件 日本語対応 ×
英語のみ

対応

対応

対応

16.2 詳細比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
本ツール (Linear) 開発者特化の高速PMツール 圧倒的なスピード、UX、GitHub連携、シンプルさ 日本語未対応、複雑なワークフロー不可 スピード重視のスタートアップ、エンジニア主体のチーム
Jira 業界標準の多機能ツール 機能の網羅性、エコシステム、エンタープライズ対応 複雑さ、重さ、学習コスト 大規模組織、厳密なプロセス管理が必要な場合
Asana 汎用的なワークマネジメント 直感的なUI、非エンジニアへの親和性、多機能 コード連携の深さは専用ツールに劣る マーケティングや営業など全社で統一したい場合
GitHub Projects コードリポジトリ一体型 追加コスト不要、コードとの距離がゼロ PM機能の深さ(レポート等)は専用ツールに劣る GitHubのみで完結させたい小〜中規模チーム

17. 総評

  • 総合的な評価: Linearは「プロジェクト管理ツールは使いにくい」という常識を覆した革新的なツールである。機能の多さよりも「速さ」と「使い心地」を優先し、結果として開発チームの生産性を最大化することに成功している。日本語非対応やカスタマイズ性の低さはあるものの、それを補って余りある体験価値を提供している。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • アジャイル開発を実践しているスタートアップやテック企業。
    • ツール管理に時間をかけず、開発に集中したいチーム。
    • GitHub/GitLabを中心とした開発フローを組んでいるチーム。
  • 選択時のポイント:
    • チーム全員が英語UIに抵抗がないか。
    • 複雑な承認フローや独自フィールドが必須要件でないか。
    • 「速さ」と「シンプルさ」を最優先事項とするか。 これらがYesであれば、Linearは間違いなく最高の選択肢となる。