Kiwi TCMS 調査レポート

開発元: Kiwi TCMS Team
カテゴリ: テスト管理

主要なオープンソースのテスト管理システム(TCMS)。手動および自動テストを一元管理し、JiraやGitHubなどのバグトラッカーと強力に連携。

総合評価
78点
基準点70点からの評価
オープンソース
OSS
無料プラン
あり
最低価格
無料
対象ユーザー
QAエンジニア開発者QAマネージャー
更新頻度
🆕 最新情報: 2026年1月にバージョン15.3をリリース

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +5 完全なオープンソースであり、オンプレミスで無料で利用可能
  • +3 Jira, GitHub, GitLabなど多数のバグトラッカーと連携可能
  • +3 豊富な自動化プラグインとAPIを提供

👎 減点項目

  • -3 公式の日本語UIが提供されていない
総評: コストパフォーマンス最強のテスト管理ツール。オープンソースでカスタマイズ性が高く、技術力のあるチームに最適。

Kiwi TCMS 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: Kiwi TCMS
  • ツールの読み方: キウイ ティーシーエムエス
  • 開発元: Kiwi TCMS Team
  • 公式サイト: https://kiwitcms.org/
  • 関連リンク:
  • カテゴリ: テスト管理 (Test Management System)
  • 概要: Kiwi TCMSは、世界で最も人気のあるオープンソースのテスト管理システムの一つです。Red Hat社内で開発されたNitrateからフォークし、現在は活発なコミュニティによって開発されています。手動テストの管理だけでなく、自動テストフレームワークとの連携、バグトラッカーとの統合機能を提供し、QAプロセスの効率化を支援します。

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題:
    • 商用テスト管理ツールのライセンスコスト削減
    • テストケースと実行結果の一元管理
    • 自動テスト結果の可視化と集約
  • 想定利用者:
    • オープンソースを好む開発チームやQAチーム
    • セキュリティ要件によりオンプレミス運用が必須な組織
    • 予算が限られているスタートアップやプロジェクト
  • 利用シーン:
    • 手動テスト管理: テスト計画の作成、ケースの記述、実行結果の記録。
    • 自動テスト統合: CI/CDパイプラインからテスト結果を自動送信し、Kiwi TCMS上でレポートを確認。
    • バグ追跡: テスト失敗時にJiraやGitHub Issuesに自動的にバグを起票。

3. 主要機能

  • テスト管理: テストプラン、テストケース、テストラン(実行)の階層管理。
  • 自動化統合: JUnit, TestNG, Pytest, Robot Frameworkなど多数のフレームワーク用プラグインを提供。
  • バグトラッカー連携: Jira, GitHub, GitLab, Bugzilla, Redmine, Mantisなどと双方向連携。
  • レポート機能: テスト実行の進捗、合格率、バグ検出状況などを可視化するダッシュボードとレポート。
  • API: JSON-RPCおよびXML-RPC APIを提供し、外部システムとの連携や自動化が容易。
  • アクセスコントロール: ユーザー、グループ、権限の詳細な設定が可能。

4. 開始手順・セットアップ

  • 前提条件:
    • DockerおよびDocker Composeがインストールされていること。
  • インストール/導入:
      # 最新のDockerイメージを取得
      docker pull pub.kiwitcms.eu/kiwitcms/kiwi
    

    GitHubリポジトリから docker-compose.yml を使用して起動するのが一般的です。

  • 初期設定:
    • 初回起動時にデータベースのマイグレーションが実行されます。
    • 管理者アカウントを作成し、ログインします。
  • クイックスタート:
    1. DockerでKiwi TCMSを起動。
    2. ブラウザでアクセスし、ログイン。
    3. 「New Test Plan」を作成し、テストケースを追加して実行を開始。

5. 特徴・強み (Pros)

  • オープンソースとコスト: 完全なオープンソースであり、ライセンス費用なしで全機能を利用可能(セルフホストの場合)。
  • 強力な統合機能: 多くのバグトラッカーや自動化フレームワークと標準で連携でき、エコシステムが充実している。
  • 柔軟なカスタマイズ性: Python/Djangoベースであり、必要に応じてソースコードレベルでのカスタマイズが可能。
  • コンテナファースト: Dockerでの運用が前提となっており、デプロイやアップグレードが容易。

6. 弱み・注意点 (Cons)

  • 日本語対応: 公式には日本語UIが提供されておらず、利用には英語の知識が必要(コミュニティによる翻訳活動はあるが不完全な場合がある)。
  • UI/UX: モダンなSaaSツール(Qaseなど)と比較すると、UIがやや質実剛健で「管理ツール」的な堅さがある。
  • 運用コスト: セルフホスト(Self-Support)版の場合、サーバーの管理やバックアップは自前で行う必要がある。

7. 料金プラン

プラン名 料金 主な特徴
Self Support 無料 Dockerイメージ利用。全機能利用可。サポートなし。
Self Support (Sub) $25/月 タグ付きリリースへのアクセス、広告非表示。
Private Tenant $75/月 SaaS版。サーバー管理不要、バックアップ、サポート付き。
Enterprise $600/月 オンプレミスまたはプライベートクラウド。SSO、プレミアム機能。
  • 課金体系: SaaS版は月額固定(テナント単位)。Self Support版は基本無料。
  • 無料トライアル: SaaS版のデモサイト等は特になし(Dockerで手元で試すのが基本)。

8. 導入実績・事例

  • 導入企業: Red Hat, Mozilla (Open Source Award受賞), その他多数のオープンソースプロジェクトや企業で使用されている。
  • 導入事例:
    • 大規模なオープンソースプロジェクトでの品質管理基盤として採用。
    • 予算制約のあるスタートアップ企業でのQAプロセス構築。
  • 対象業界: ソフトウェア開発全般、特にLinux系やOSS界隈での利用が多い。

9. サポート体制

  • ドキュメント: Read the Docsで詳細なドキュメントが公開されている(英語)。
  • コミュニティ: GitHub IssuesやStack Overflow、Discordなどで活発なコミュニティが存在。
  • 公式サポート: 有料サブスクリプション契約者向けにメールサポートを提供。

10. エコシステムと連携

10.1 API・外部サービス連携

  • API: JSON-RPC APIが充実しており、ほぼ全ての操作をプログラムから実行可能。
  • 外部サービス連携:
    • Issue Tracker: Jira, GitHub, GitLab, Redmine, Bugzilla
    • Auth: GitHub, Google, GitLabなどのOAuth認証(Enterprise/SaaS)

10.2 技術スタックとの相性

技術スタック 相性 メリット・推奨理由 懸念点・注意点
Python 本体がPython製であり、Pythonクライアントライブラリも充実 特になし
Java / JUnit プラグイン経由で結果を取り込み可能 設定が必要
JavaScript / Cypress サードパーティ製のプラグインやスクリプトで連携 公式プラグインの状況を確認推奨

11. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: Djangoの認証システムに加え、Enterprise版ではKerberos, LDAP, OAuth2に対応。
  • データ管理: データベース(PostgreSQL)はユーザー管理下(セルフホストの場合)。GDPR準拠(SaaS版)。
  • 準拠規格: エンタープライズ版は Red Hat UBI 9 ベースでセキュリティ強化されている。

12. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: Patternflyを採用しており、統一感のあるデザインだが、機能が多く画面遷移は多め。
  • 学習コスト: 一般的なTCMSの概念(Plan, Case, Run)を理解していれば難しくないが、設定項目が多いため管理者には学習が必要。

13. ベストプラクティス

  • 効果的な活用法:
    • Docker Composeを使用した手軽な構築と運用。
    • テスト自動化の結果をAPI経由で集約し、日々のビルド品質をダッシュボードで監視する。
  • 陥りやすい罠:
    • アップグレードを怠るとデータベースのマイグレーションが大変になる場合があるため、こまめな更新を推奨。

14. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 総合評価: GitHubスター数 1.2k以上、Docker Hubでのプル数200万以上と高い人気を誇る。
  • ポジティブな評価:
    • 「無料でこれだけの機能が使えるのは素晴らしい」
    • 「APIが強力で自動化パイプラインに組み込みやすい」
  • ネガティブな評価 / 改善要望:
    • 「日本語化されていないのが日本の現場では辛い」
    • 「ドキュメントは多いが、欲しい情報に辿り着くのが難しいことがある」

15. 直近半年のアップデート情報

  • 2026-01-28: Kiwi TCMS 15.3 - 依存ライブラリの更新、バグ修正、パフォーマンス改善。
  • 2025年後半: 定期的なリリースが行われており、セキュリティパッチの適用やUIの微調整、プラグインの互換性向上が進められている。

(出典: GitHub Releases)

16. 類似ツールとの比較

16.1 機能比較表 (星取表)

機能カテゴリ 機能項目 Kiwi TCMS TestRail Qase
基本機能 テスト管理
コスト 無料プラン
全機能無料(OSS)
×
制限あり
拡張性 API/プラグイン
非機能 日本語対応 × × ×

16.2 詳細比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
Kiwi TCMS オープンソース コスト、カスタマイズ性、オンプレミス 日本語なし、運用管理が必要 コストを抑えたい、技術力がある、オンプレ必須の場合
TestRail 商用スタンダード 使いやすさ、サポート、Jira連携 コスト、SaaSメイン 予算があり、標準的なサポートと使いやすさを求める場合
Qase モダンSaaS UI/UX、AI機能、高速 日本語なし、歴史が浅い 最新のUI体験とAI機能を重視する場合

17. 総評

  • 総合的な評価: Kiwi TCMSは、オープンソースのテスト管理ツールとして最高峰の完成度を誇ります。無料で利用できるにもかかわらず、商用ツールに匹敵する機能と強力な連携機能を持っています。特にエンジニア主導の組織や、コストを重視するプロジェクトにおいては、第一の選択肢となるでしょう。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • 開発者やQAエンジニアがDockerなどの技術に明るいチーム。
    • スタートアップや、ライセンス費を節約したいプロジェクト。
  • 選択時のポイント:
    • サーバーの運用管理コストと、商用ツールのライセンスコストを比較検討すること。
    • 日本語UIが必須でないことを確認すること。