Grafana 調査レポート

メトリクス、ログ、トレースをどこからでもクエリ、可視化、アラート通知できる、オープンな可観測性プラットフォーム

総合評価
85点
基準点70点からの評価
オープンソース
OSS
無料プラン
あり
最低価格
無料
対象ユーザー
DevOpsエンジニアSREデータアナリスト
更新頻度
🆕 最新情報: 2026年1月、Visualization Suggestionsがデフォルト機能として強化

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +5 オープンソースであり、無料でも非常に高度な可視化が可能
  • +5 あらゆるデータソース(Prometheus, CloudWatch, SQL等)と接続できる柔軟性
  • +3 活発なコミュニティと豊富なプラグインエコシステム
  • +2 Visualization SuggestionsなどのAI/支援機能によるダッシュボード作成の効率化

👎 減点項目

  • 0
総評: 可視化ツールのデファクトスタンダードであり、データソースを選ばない柔軟性と強力な表現力を持つ。

Grafana 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: Grafana
  • ツールの読み方: グラファナ
  • 開発元: Grafana Labs
  • 公式サイト: https://grafana.com/
  • 関連リンク:
  • カテゴリ: 監視/可観測性
  • 概要: Grafanaは、あらゆる場所に保存されているメトリクス、ログ、トレースをクエリ、可視化、アラート通知、探索するためのオープンソースのプラットフォームです。時系列データの可視化に特化しており、Prometheus、Loki、Elasticsearch、InfluxDB、PostgreSQLなど、多様なデータソースを単一のダッシュボードに統合して表示できます。

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題:
    • 複数の監視ツールやデータベースに散在するデータのサイロ化
    • 複雑なメトリクスデータの直感的な可視化と共有
    • インフラからアプリケーションまでの統一的な可観測性の確保
  • 想定利用者:
    • DevOpsエンジニア / SRE
    • インフラエンジニア
    • アプリケーション開発者
    • データアナリスト
  • 利用シーン:
    • インフラ監視: サーバー(CPU、メモリ、ディスク)やネットワークの状態をリアルタイムで監視。
    • アプリケーションモニタリング: マイクロサービスのレイテンシ、エラー率、スループットを可視化。
    • ビジネスBI: SQLデータベースと連携し、ビジネスKPI(売上、ユーザー数など)を表示。
    • ホームラボ/IoT: Raspberry Piやスマートホームデバイスのセンサーデータを可視化(個人利用でも人気)。

3. 主要機能

  • ダッシュボードと可視化: ヒートマップ、ヒストグラム、グラフ、ジオマップなど、豊富で美しいパネルを使用してデータを可視化。ドラッグ&ドロップでレイアウト可能。
  • プラグインアーキテクチャ: データソースプラグイン(バックエンド接続)とパネルプラグイン(可視化)により、機能を無限に拡張可能。
  • アラート機能: 複数のデータソースにまたがるアラート条件を一元管理し、Slack, PagerDuty, Emailなどに通知。
  • データ探索 (Explore): ダッシュボードを作成せずに、クエリをアドホックに実行してデータを深掘り分析。
  • ログ (Loki) とトレース (Tempo) の統合: メトリクスだけでなく、ログやトレースデータともシームレスに連携し、相関分析が可能。
  • Transformation: クエリ結果に対して、リネーム、集計、結合、計算などのデータ加工をUI上で適用可能。

4. 特徴・強み (Pros)

  • 圧倒的な柔軟性とデータソース対応: 特定のベンダーにロックインされず、既存のあらゆるデータベースや監視ツール(Prometheus, AWS CloudWatch, Azure Monitor, Google Cloud Monitoring, SQLなど)と接続できる。
  • 強力なコミュニティとエコシステム: 世界中で広く使われており、公式・コミュニティ製のダッシュボードテンプレートやプラグインが数千種類公開されている。
  • オープンソースとコスト効率: OSS版は無料で使用でき、自社サーバーで運用可能。クラウド版(Grafana Cloud)も無料枠が充実している。
  • 美しいUIとカスタマイズ性: エンジニア好みのダークモード標準のUIで、非常に細かいカスタマイズが可能。

5. 弱み・注意点 (Cons)

  • データストア機能は持たない: Grafana自体はデータを保存しない(可視化のみ)。別途Prometheusなどのデータソースを用意・運用する必要がある(Grafana Cloudなどのマネージドサービスを除く)。
  • 設定の複雑さ: 自由度が高い反面、高度なクエリ(PromQL, LogQLなど)を書くには各データソースの知識が必要。
  • 日本語対応: 管理画面の一部は日本語化されているが、ドキュメントや多くのリソースは英語が中心。

6. 料金プラン

プラン名 料金 主な特徴
Grafana OSS 無料 セルフホスト。全機能が利用可能(エンタープライズ機能を除く)。自前で運用が必要。
Grafana Cloud Free 無料 永久無料。3ユーザー、10kシリーズのメトリクス、50GBのログ、50GBのトレースが含まれるマネージドサービス。
Grafana Cloud Pro $29/月 + 利用量 1ユーザー含む(追加$8/ユーザー)。使用量に応じた従量課金。長期データ保持。
Grafana Cloud Advanced $299/月〜 エンタープライズ向けのSLA、セキュリティ、コンプライアンス対応。
Grafana Enterprise 要問い合わせ セルフホスト版のエンタープライズ機能(SSO、監査ログ、データソース権限管理など)。
  • 課金体系: クラウド版はアクティブユーザー数 + メトリクス/ログ/トレースのデータ量に応じた従量課金。
  • 無料トライアル: Grafana Cloud Proの14日間トライアルあり。Freeプランは期限なし。

7. 導入実績・事例

  • 導入企業: PayPal, eBay, Intel, Salesforce, Bloombergなど、世界中のテック企業や金融機関で採用。
  • 導入事例:
    • PayPal: 数十万のサーバーからのメトリクスを一元管理し、障害検知時間を短縮。
    • JP Morgan Chase: 大規模な金融取引システムのモニタリング基盤として採用。
  • 対象業界: IT、通信、金融、製造、宇宙開発(NASAも利用)など全業界。

8. サポート体制

  • ドキュメント: 公式ドキュメントは非常に詳細で網羅的。チュートリアルやウェビナーも豊富。
  • コミュニティ: GitHub、Community Forum、Slackが非常に活発。日本にもユーザーグループ(Grafana Japan Community)があり、知見が共有されている。
  • 公式サポート: 有償プラン(Pro, Advanced, Enterprise)ではSLA付きの公式サポートが提供される。

9. エコシステムと連携

9.1 API・外部サービス連携

  • API: HTTP APIを通じて、ダッシュボードの作成、ユーザー管理、データソース設定などを完全に自動化可能。Terraformプロバイダーも公式提供されている。
  • 外部サービス連携:
    • データソース: Prometheus, Graphite, InfluxDB, Elasticsearch, AWS CloudWatch, Azure Monitor, Google Cloud Monitoring, MySQL, PostgreSQL, Splunk, Datadogなど多数。
    • 通知先: Slack, Microsoft Teams, PagerDuty, OpsGenie, Webhookなど。

9.2 技術スタックとの相性

技術スタック 相性 メリット・推奨理由 懸念点・注意点
Prometheus 最も標準的な組み合わせ。PromQLエディタの支援機能が強力。 データ構造(ラベル)の設計が重要。
Kubernetes K8sの監視ダッシュボードが多数存在。 監視対象が多すぎるとカーディナリティ爆発に注意。
AWS/Azure/GCP クラウドネイティブのメトリクスを直接可視化可能。 APIリクエスト制限やコストに注意が必要な場合がある。
Python/Go アプリケーションに計装(Instrumentation)を行い、Prometheus形式でエクスポートすることで容易に可視化可能。 SDKの導入が必要。

10. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: Google, GitHub, OAuth, LDAP, SAMLなど多様な認証プロバイダーに対応。
  • データ管理: OSS版は自社管理のためデータガバナンスを完全に制御可能。Cloud版はコンプライアンス準拠のデータセンターで管理。
  • 準拠規格: Grafana Cloudは SOC 2 Type 2, ISO 27001, GDPR, HIPAA などに準拠。

11. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: ダークモードを基調とした洗練されたUI。パネルエディタは機能豊富だが、初見では設定項目が多く感じる場合がある。
  • 学習コスト: シンプルなグラフ作成は簡単だが、複雑なクエリ(PromQLなど)や変数を使いこなして動的なダッシュボードを作るには学習が必要。最近は「Visualization Suggestions」などの支援機能で敷居が下がっている。

12. ベストプラクティス

  • 効果的な活用法 (Modern Practices):
    • Infrastructure as Code (IaC): ダッシュボードやデータソース設定をTerraformやJSONで管理し、バージョン管理する。
    • The RED Method: マイクロサービスの監視にはRate(リクエスト数)、Errors(エラー数)、Duration(所要時間)の3指標を中心にダッシュボードを構成する。
  • 陥りやすい罠 (Antipatterns):
    • 重すぎるクエリ: 期間を長くしすぎたり、大量のデータポイントを一度に描画しようとしてブラウザやDBに負荷をかける。
    • ダッシュボードの乱立: 似たようなダッシュボードが量産され、どれを見ればよいかわからなくなる(フォルダ管理やタグ付けが重要)。

13. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: G2, Capterra, Twitter
  • 総合評価: 4.5/5.0 (G2)
  • ポジティブな評価:
    • 「複数のデータソースを一つの画面に並べられるのが最高。トラブルシューティングが格段に早くなった。」
    • 「見た目が美しく、経営層へのプレゼンにもそのまま使える。」
    • 「無料版でも機能制限が少なく、OSSとしての完成度が非常に高い。」
  • ネガティブな評価 / 改善要望:
    • 「アラート機能の設定が少し複雑で、直感的でない場合がある。」
    • 「バージョンアップの頻度が高く、プラグインの互換性が崩れることがたまにある。」
    • 「ログ検索(Loki)は慣れるまで少し難しい(LogQL)。」
  • 特徴的なユースケース:
    • 工場のIoTセンサーデータを可視化し、設備の予知保全に活用。
    • 個人の資産管理や電力消費量の可視化(ホームダッシュボード)。

14. 直近半年のアップデート情報

  • 2026-01-22: Visualization Suggestionsがアップデートされ、パネル可視化のデフォルトの選択方法となる。より適切な提案が可能に。(出典: Grafana Whats New)
  • 2025-12-19: Suggested Dashboards機能の導入。接続されたデータソースに基づいて、事前に構築されたダッシュボードを提案し、初期構築の手間を削減。(出典: Grafana Whats New)
  • 2025-11-19: Grafana 12.3 リリース。キャンバスパネルの強化や、アラート管理のUI改善が含まれる。(出典: Grafana Release Notes)
  • 2025-09-23: Grafana 12.2 リリース。相関付け(Correlations)機能の強化により、異なるデータソース間のドリルダウンが容易に。(出典: Grafana Release Notes)

(出典: Grafana What’s New)

15. 類似ツールとの比較

15.1 機能比較表 (星取表)

機能カテゴリ 機能項目 Grafana Datadog Splunk
基本機能 可視化・ダッシュボード
業界最高水準の柔軟性

直感的で洗練されている

多機能だがやや独特
データ処理 データ収集・保存
外部データソースに依存

オールインワン

強力なインデックス
エンタープライズ SaaS / マネージド
Grafana Cloud

SaaSネイティブ

Cloud / On-prem
非機能要件 コスト
OSSは無料、Cloudも安価

積み上げ式で高くなりがち

データ量で高額化

15.2 詳細比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
Grafana 可視化特化のOSSプラットフォーム データソースを選ばない柔軟性。OSSで無料で始められる。コミュニティが強大。 データ自体の保存機能はない(別途DBが必要)。設定や運用に多少の技術力が必要。 コストを抑えたい、既存のデータソース(Prometheus等)を活用したい、カスタマイズ性を重視する場合。
Datadog 統合オブザーバビリティSaaS エージェントを入れるだけで収集から可視化まで完結。UXが優れる。 コストが高くなりがち。独自形式へのロックイン。 運用負荷を下げたい、オールインワンで完結させたい、予算に余裕がある場合。
Splunk ログ分析・SIEMの巨塔 非構造化データの検索・分析能力が圧倒的。セキュリティ用途に強い。 非常に高価。学習コストが高い。 セキュリティ要件(SIEM)がメイン、または大規模なログ分析が必要な場合。

16. 総評

  • 総合的な評価: Grafanaは、可観測性(Observability)の「可視化」レイヤーにおいて、間違いなく世界で最もポピュラーで強力なツールである。特定のベンダーにロックインされず、あらゆるデータを好きなように表示できる自由度は、エンジニアにとって大きな魅力である。データ収集・保存を他のベスト・オブ・ブリードのツール(Prometheusなど)に任せ、それらを統合する「窓」としての役割を完璧にこなす。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • PrometheusやLokiなどのOSSスタックを採用しているチーム。
    • マルチクラウドやハイブリッド環境で、データが散在している組織。
    • コストを抑えつつ、高度な監視基盤を構築したいスタートアップから大企業まで。
  • 選択時のポイント:
    • 「データの保存場所」をどうするか(自前でPrometheus等を建てるか、Grafana Cloud等のマネージドを使うか)が設計の鍵となる。
    • 運用リソースがない場合は、DatadogのようなオールインワンSaaSと比較し、TCO(総所有コスト)で判断すべきである。ただし、Grafana Cloudも十分に有力な選択肢となり得る。