GitLab 調査レポート

ソースコード管理、CI/CD、セキュリティ、監視を統合した、AI搭載のオールインワンDevSecOpsプラットフォーム。

総合評価
88点
基準点70点からの評価
オープンソース
OSS
無料プラン
あり
最低価格
無料
対象ユーザー
開発者DevOpsエンジニアスタートアップ
更新頻度
🆕 最新情報: 2025年12月にGitLab 18.7をリリースし、AI機能とガバナンスを強化

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +10 開発ライフサイクル全体を単一プラットフォームに集約できる点が非常に強力
  • +5 CI/CD機能が柔軟かつ高機能で、業界標準レベル
  • +5 セキュリティ機能がパイプラインに深く統合されている (DevSecOps)
  • +3 AI機能(GitLab Duo)の統合が進んでおり、開発の各段階で支援を受けられる

👎 減点項目

  • -3 多機能であるためUIが複雑で、学習コストが高い
  • -2 セルフマネージド版は適切な運用に専門知識とマシンリソースが必要
総評: 開発ライフサイクル全体を単一プラットフォームに集約できる点が最大の強みだが、多機能ゆえの複雑性には注意が必要。

GitLab 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: GitLab
  • ツールの読み方: ギットラボ
  • 開発元: GitLab Inc.
  • 公式サイト: https://about.gitlab.com/
  • 関連リンク:
  • カテゴリ: 開発者ツール, DevOps, CI/CD
  • 概要: GitLabは、ソフトウェア開発、セキュリティ、運用を単一のプラットフォームに統合した、AI搭載のDevSecOpsプラットフォームです。ソースコード管理からCI/CD、セキュリティスキャン、監視まで、開発ライフサイクルの全てをサポートします。

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題: 複数のツールを組み合わせることで生じる「ツールチェーンの税」の削減、開発・セキュリティ・運用のサイロ化の解消、セキュリティを開発の初期段階から組み込む「シフトレフト」の実現。
  • 想定利用者: ソフトウェア開発者、DevOpsエンジニア、セキュリティ担当者、IT運用管理者、プロジェクトマネージャー。
  • 利用シーン:
    • Gitリポジトリでのソースコード管理とバージョン管理
    • CI/CDパイプラインの構築によるビルド、テスト、デプロイの自動化
    • アプリケーションの脆弱性スキャンとセキュリティリスク管理
    • イシューボードやエピックを利用したアジャイルなプロジェクト管理
    • AIアシスタント(GitLab Duo)によるコーディング支援、レビュー、テスト生成の効率化

3. 主要機能

  • ソースコード管理 (SCM): Gitリポジトリホスティング、ブランチ管理、マージリクエスト、コードレビュー機能。
  • CI/CD: .gitlab-ci.ymlによる柔軟で強力なパイプライン定義、Auto DevOpsによる自動パイプライン生成、共有または自己管理ランナーの利用。
  • DevSecOps: SAST, DAST, シークレット検出, 依存関係スキャン等のセキュリティ機能をCI/CDパイプラインに標準で統合。
  • アジャイルプロジェクト管理: イシューボード、エピック、ロードマップ、マイルストーンを活用したプロジェクトおよびポートフォリオ管理。
  • GitLab Duo (AI機能群): 開発ライフサイクル全体を支援するAI機能群。
    • AIチャット & コード提案: IDE内で文脈に応じたコード補完や実装に関する質問への回答を行う(Premium/Ultimateプランに標準搭載)。
    • テスト生成: マージリクエストの差分に基づき、単体テストや結合テストのコードを自動生成(Duo Proアドオン)。
    • 脆弱性の説明と修正: 検出された脆弱性の内容を自然言語で解説し、修正コードを提案(Duo Enterpriseアドオン)。
    • 根本原因分析: CI/CDパイプラインの失敗原因を特定し、解決策を提示(Duo Enterpriseアドオン)。
  • WikiとPages: プロジェクトごとのドキュメント管理機能(Wiki)と、静的サイトのホスティング機能(GitLab Pages)。

4. 特徴・強み (Pros)

  • 単一プラットフォーム: 開発から運用までのツールチェーンを一つに集約。ツールの連携コストや管理負担が大幅に削減され、チーム間の連携がスムーズになる。
  • 強力なCI/CD機能: gitlab-ci.ymlによる柔軟で強力なパイプライン定義が可能。Auto DevOps機能により、ベストプラクティスに基づいたCI/CDを容易に開始できる。
  • DevSecOpsの統合: セキュリティスキャンがCI/CDパイプラインに標準で組み込まれており、開発の早い段階で脆弱性を検知・修正する文化を醸成しやすい。
  • ライフサイクル全体へのAI統合: GitLab Duoが、コーディングからテスト、セキュリティ、計画まで開発プロセスのあらゆる段階に深く統合されている。
  • オープンコアモデル: 無料で利用できるFreeプランでも多くの主要機能が提供されており、セルフマネージド版による柔軟なインフラ運用も可能。

5. 弱み・注意点 (Cons)

  • 多機能ゆえの複雑さ: 機能が非常に豊富なため、全ての機能を理解し、最適に設定するには学習コストがかかる場合がある。
  • UI/UXの課題: 一部のユーザーからは、多機能であるがゆえにUIが複雑で、目的の機能を見つけにくいとの指摘がある。
  • リソース消費: セルフマネージド版を運用する場合、CI/CDの実行や各種機能の利用により、相応のサーバーリソースが必要となる。
  • 日本語対応: 公式ドキュメントは日本語化されている部分もあるが、最新情報や詳細な技術情報は英語が中心となることが多い。

6. 料金プラン

プラン名 料金 主な特徴
Free 無料 個人・小規模チーム向け。5ユーザーまで、SCM、CI/CD (400分/月)、10GiBストレージ。
Premium $29/ユーザー/月 (年払い) 成長企業向け。Freeの全機能に加え、基本的なAI機能(AIチャット, コード提案)、CI/CD (10,000分/月)、高度なプロジェクト管理、優先サポート。
Ultimate 要問い合わせ 大企業向け。Premiumの全機能に加え、高度なセキュリティ・コンプライアンス機能、脆弱性管理、ポートフォリオ管理、CI/CD (50,000分/月)。
Duo Pro (アドオン) $19/ユーザー/月 Premium/Ultimate向け。コード生成、テスト生成、リファクタリングなど、より高度なAI機能を提供。
Duo Enterprise (アドオン) 要問い合わせ Ultimate向け。脆弱性の説明と解決、根本原因分析、コードレビュー支援など、最上位のAI機能を提供。
  • 課金体系: ユーザー単位の月額または年額課金。
  • 無料トライアル: Ultimateプランの30日間無料トライアルあり。

7. 導入実績・事例

  • 導入企業: Goldman Sachs, Airbus, NVIDIA, Deutsche Telekomなど、Fortune 100の半数以上を含むグローバル企業で多数の導入実績がある。
  • 導入事例: サイクルタイムの短縮、開発者の生産性向上、セキュリティ脆弱性の早期発見、ツールチェーン管理コストの削減などが報告されている。
  • 対象業界: ソフトウェア、金融、航空宇宙、通信など、幅広い業界で利用されている。

8. サポート体制

  • ドキュメント: 公式ドキュメントが非常に充実しており、インストールから各機能の詳細な使い方まで網羅されている。
  • コミュニティ: 活発なユーザーフォーラムがあり、ユーザー同士での情報交換や問題解決が行われている。
  • 公式サポート: Premium以上の有料プランでは、SLA付きの優先サポートが提供される。

9. エコシステムと連携

9.1 API・外部サービス連携

  • API: 包括的なREST APIとGraphQL APIが提供されており、GitLabのほぼ全ての機能を外部から操作可能。
  • 外部サービス連携: Slack, Jira, Jenkins, Kubernetesなど、多数の開発関連ツールと標準で連携可能。Webhookにも対応しており、柔軟なカスタム連携を実現できる。

9.2 技術スタックとの相性

技術スタック 相性 メリット・推奨理由 懸念点・注意点
Docker / Kubernetes コンテナレジストリとK8s統合機能が標準搭載 特になし
Node.js / Python等 Auto DevOpsにより主要言語のCI/CDが自動構成可能 特になし
Terraform Terraform Stateの管理機能が統合されている Stateファイルのロック管理に注意
Java Maven/Gradleパッケージレジストリとして利用可能 ビルド時間が長い場合ランナーのスペックが必要

10. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: 2段階認証(2FA)、SSO (SAML, LDAP)に対応。
  • データ管理: SaaS版(GitLab.com)はGCP上でホストされている。セルフマネージド版では自社インフラでのデータ管理が可能。
  • 準拠規格: SOC 2 Type 2, ISO 27001, TISAXなどの認証を取得済み。

11. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: 多くの機能が単一のプラットフォームに統合されているため、UIは情報量が多い。初めて利用する際は、メニュー構造や概念に慣れが必要。
  • 学習コスト: CI/CDやDevSecOpsの基本概念を理解しているユーザーであればスムーズに導入できるが、初心者にとっては学習すべき項目が多い。

12. ベストプラクティス

  • 効果的な活用法 (Modern Practices):
    • マージリクエストテンプレートの活用: テンプレートを用意し、レビューに必要な情報を標準化することで、レビュー効率と品質を向上させる。
    • Review Appsの利用: マージリクエストごとに動的な確認環境を自動構築し、動作確認を迅速化する。
    • Code Ownersの設定: 重要なファイルやディレクトリに対して承認者を定義し、意図しない変更を防ぐ。
  • 陥りやすい罠 (Antipatterns):
    • シークレットのコミット: パスワードやAPIキーをコードに直接記述してしまう(GitLab CI/CD変数を活用すべき)。
    • 長期間放置されたブランチ: コンフリクトの原因となるため、機能開発ごとの短命なブランチ運用(トピックブランチ)を心がける。
    • CIパイプラインの無視: テスト失敗を無視してマージすると、後の開発効率が著しく低下するため、パイプラインの成功をマージ条件にする。

13. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: G2.com
  • 総合評価: 4.5/5.0 (G2)
  • ポジティブな評価:
    • 「ソース管理、CI/CD、セキュリティ、デプロイが単一プラットフォームで完結するため、日々の開発が非常にスムーズになる」
    • 「ツールチェーンの管理から解放され、ツール間を切り替える際の精神的な負担が軽減される」
    • 「強力なCI/CD機能と、それに統合されたセキュリティスキャンがDevSecOps推進の強力な基盤となる」
  • ネガティブな評価 / 改善要望:
    • 「機能が非常に豊富なため、全ての機能を使いこなすには学習コストが高い」
    • 「UIが時に複雑に感じられ、目的の機能を見つけるのが難しいことがある」
    • 「セルフマネージド版のセットアップやバージョンアップには専門的な知識が必要になる」
  • 特徴的なユースケース:
    • 複数のSaaSツール(Jira, Jenkins, SonarQube等)をGitLabに統合し、ライセンス費用と管理コストを削減するケースで利用されている。

14. 直近半年のアップデート情報

  • 2026-01-07: パッチリリース 18.7.1, 18.6.3, 18.5.5 を公開。セキュリティ修正とバグフィックスが中心。
  • 2025-12-18: GitLab 18.7 をリリース。AIエージェント機能の進化、ガバナンス機能の強化、開発者体験の向上が含まれる。
  • 2025-12-01頃: GitLab Duo Agent の機能強化。AIを活用した脆弱性トリアージ機能などを発表。
  • 2025-11-20頃: Claude Sonnet 3.7のサポート終了予告。2026年1月をもってGitLab Duoでのサポートを終了し、Claude 4.0以上への移行を推奨。

(出典: GitLab Blog)

15. 類似ツールとの比較

15.1 機能比較表 (星取表)

機能カテゴリ 機能項目 本ツール GitHub Jenkins Azure DevOps
基本機能 ソースコード管理
標準機能

業界標準
×
別途必要

標準機能
CI/CD パイプライン
統合型で強力

Actions

拡張性高

Pipelines
エンタープライズ セキュリティ
DevSecOps統合

Advanced Security

プラグイン依存

統合機能
非機能要件 日本語対応
UI/Doc対応

UI/Doc対応

一部英語

対応

15.2 詳細比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
GitLab AI搭載のオールインワンDevSecOpsプラットフォーム 単一プラットフォームによるツールチェーンの簡素化、強力なCI/CDと統合セキュリティ 多機能ゆえの複雑さ、学習コスト 開発ライフサイクル全体のツールを一つに集約し、DevSecOpsを推進したい場合。
GitHub 世界最大のソースコードホスティングサービス 巨大なオープンソースコミュニティ、GitHub Actionsによる柔軟なCI/CD プロジェクト管理やセキュリティ機能がGitLabほど統合されていない オープンソースプロジェクトや、開発者コミュニティとの連携を最重要視する場合。
Jenkins CI/CDに特化したオープンソースツール 豊富なプラグインによる非常に高いカスタマイズ性 SCMやプロジェクト管理機能は持たず、別途ツールが必要。設定・管理が複雑。 非常に特殊なCI/CD要件があり、最大限のカスタマイズ性を求める場合。
Azure DevOps Microsoftが提供する開発プラットフォーム Azureクラウドとの高い親和性、各コンポーネント(Boards, Pipelines)の完成度 Microsoftエコシステム外のツールとの連携は一手間かかる場合がある 主にAzureクラウドを利用しており、Microsoft製品群との連携を重視する場合。

16. 総評

  • 総合的な評価: GitLabは、単なるソースコード管理ツールではなく、開発ライフサイクル全体を単一のアプリケーションでカバーする「DevSecOpsプラットフォーム」として非常に高い完成度を誇る。特に、強力なCI/CDパイプラインにセキュリティスキャンやプロジェクト管理が緊密に統合されている点が明確な優位性である。近年は「GitLab Duo」をはじめとするAI機能の拡充に注力しており、開発者の生産性向上から運用の自動化まで、あらゆる場面でAIの支援を受けられるよう進化を続けている。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • DevOps/DevSecOpsを本格的に導入したいチーム(必要なツールがオールインワンで揃っているため)。
    • 複数の開発ツールの管理・連携に課題を感じている組織(ツールチェーンのコストと複雑さを削減可能)。
    • 高度なセキュリティ・コンプライアンス要件を持つ大企業(Ultimateプランで一元管理を実現)。
  • 選択時のポイント:
    • GitHubとの比較: コミュニティ連携を最重視するならGitHub、単一プラットフォームでのDevSecOps実現を優先するならGitLabが優れている。
    • AI機能の必要性: 開発プロセス全体にわたるAI支援(GitLab Duo)を重視するかが一つの判断基準となる。
    • デプロイモデル: 自社のインフラポリシーや要件に合わせ、SaaS版とセルフマネージド版を選択できる柔軟性も考慮に入れるべきである。