Cursor 調査レポート

開発元: Anysphere, Inc.
カテゴリ: AIコードエディタ

AIを第一に考えて作られたコードエディタ。VS Codeのフォークをベースに、コードベース全体を理解するAI機能が深く統合されている。

総合評価
88点
基準点70点からの評価
オープンソース
非公式・商用
無料プラン
あり
最低価格
$20/月
対象ユーザー
開発者AIエンジニア
更新頻度
🆕 最新情報: 2026年1月にCLI機能が大幅に強化され、モデル管理やルール編集が可能に

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +8 VS Codeベースの優れたUXと、既存のキーバインドや拡張機能をそのまま利用できる点
  • +7 コードベース全体を理解し、ファイル横断でのコード生成・編集・リファクタリングが可能
  • +5 Multi-AgentやPlan Modeなど、単なる補完を超えた高度な自律エージェント機能
  • +3 CLI連携やデバッグモードなど、開発ワークフロー全体を支援する機能が継続的に追加されている
  • +2 主要な最新LLMを選択して利用できる柔軟性

👎 減点項目

  • -3 競合のAIコーディング支援ツール(GitHub Copilot等)と比較して料金が高め
  • -2 AI機能の使用により、時折パフォーマンスが低下する場合があるとの報告
  • -2 料金プランが細分化されており、最適なプランの選択がやや複雑
総評: VS Codeの操作性を維持しつつ強力なAI機能を統合した高機能エディタだが、価格体系とパフォーマンスが検討点となる。

Cursor 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: Cursor
  • ツールの読み方: カーソル
  • 開発元: Anysphere, Inc.
  • 公式サイト: https://cursor.com/
  • 関連リンク:
  • カテゴリ: AIコードエディタ
  • 概要: Cursorは、AIとの協調を前提に設計された次世代のコードエディタです。広く普及しているVisual Studio Code (VS Code) のフォークをベースにしており、使い慣れた開発環境に、コードベース全体を理解する強力なAI機能を深く統合しています。

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題: 従来のAIコーディングツールが持つ、コードベース全体の文脈理解の欠如や、エディタとの連携の浅さを解消し、開発ワークフロー全体を高速化する。
  • 想定利用者: 最新のAI技術を活用して開発効率を最大化したい個人開発者から、チーム全体の生産性向上を目指す企業まで幅広く利用される。
  • 利用シーン:
    • 大規模なコードベースのリファクタリングや機能追加
    • 新しいライブラリやフレームワークの迅速なキャッチアップ
    • コードの自動生成、デバッグ支援、テストコード作成
    • 自然言語での指示による、ファイル横断的なコード編集
    • PRのレビューやドキュメント作成の自動化

3. 主要機能

  • AIチャット: エディタ内でAIと対話し、コードの生成、修正、デバッグを依頼可能。@シンボルで特定のファイルやシンボルをコンテキストに含めることができる。
  • インライン編集 (Cmd/Ctrl + K): 自然言語の指示により、既存のコードをその場で直接編集・生成する。
  • コードベース全体への理解: プロジェクト全体のファイルをインデックス化し、依存関係や構造を理解した上で、ファイル横断的なコード生成・修正を行う。
  • Multi-Agent機能: 複数のAIエージェントを並行実行し、それぞれが独立した環境でタスクに取り組むことで、複雑な変更案を一度に比較検討できる。
  • デバッグモード: アプリケーションを計測し、ランタイムログを収集・分析することで、AIがバグの根本原因特定を支援する。
  • AIコードレビュー: エディタ内でAIが変更点を分析し、潜在的なバグや改善点を指摘する。GitHubと連携するBugbot機能も提供。
  • CLI連携: コマンドラインインターフェースを通じてモデル選択やルール管理など、エディタの主要なAI機能を操作できる。
  • モデル選択の柔軟性: OpenAI(GPT-4o), Anthropic(Claude 3.5 Sonnet), Google(Gemini 1.5 Pro)など、最新・最強のLLMを切り替えて利用可能。

4. 特徴・強み (Pros)

  • VS Codeベースの優れたUX: 既存のVS Codeユーザーが、使い慣れたキーバインド、テーマ、拡張機能をほぼそのまま利用でき、学習コストが極めて低い。
  • 深いコードベース理解: 単一ファイルだけでなく、プロジェクト全体の文脈を理解するため、リポジトリ全体にまたがる複雑な変更やリファクタリングにも対応できる。
  • 高度なAIエージェント機能: 単純なコード補完に留まらず、自律的なエージェントが計画を立て、ブラウザ操作やコマンド実行を伴う複雑なタスクを遂行できる。
  • 開発ワークフロー全体の支援: CLI連携、デバッグ支援、コードレビュー機能など、コーディングだけでなく開発プロセス全体をカバーするエコシステムを構築している。

5. 弱み・注意点 (Cons)

  • パフォーマンス: AI機能、特にインデックス作成やエージェント実行時に、マシンのリソースを消費し、エディタの動作が遅くなる場合がある。
  • 料金: GitHub Copilotなど他のAIコーディング支援ツールと比較すると、基本的な有料プランの月額料金が高めに設定されている。
  • 料金プランの複雑化: 利用量に応じた複数の上位プラン(Pro, Pro+, Ultra)があり、自身の利用量に最適なプランを選択するのが難しい場合がある。
  • 日本語対応: UIは日本語化されているが、AIモデルの日本語での指示理解や生成精度は、英語に劣る場合がある。

6. 料金プラン

個人向けとビジネス向けのプランが提供されている。

個人向けプラン | プラン名 | 料金/月 | 主な特徴 | |—|—|—| | Hobby | 無料 | AI機能の利用回数に制限あり。基本的なAIチャット、編集、補完機能。 | | Pro | $20 | AI機能の利用制限を大幅に緩和。無制限の自動補完、主要LLMの利用。 | | Pro+ | $60 | Proプランの全機能に加え、全主要モデルの利用量が3倍に増加。 | | Ultra | $200 | Proプランの全機能に加え、全主要モデルの利用量が20倍に増加。新機能への優先アクセス。 |

ビジネス向けプラン | プラン名 | 料金/ユーザー/月 | 主な特徴 | |—|—|—| | Teams | $40 | Proプランの全機能に加え、チームでの一括請求、SSO、使用状況分析、高度な管理機能。 | | Enterprise | カスタム | Teamsプランの全機能に加え、使用量のプール、請求書払い、SCIM対応、監査ログ、専任サポートなど。 |

  • 課金体系: ユーザー単位の月額サブスクリプション。
  • 無料トライアル: Hobbyプランで基本的な機能を無期限に試用可能。

7. 導入実績・事例

  • 導入企業: 公式サイトによると、Fortune 500の半数以上の企業で利用されている。Stripe, OpenAI, Datadog, Figma, Adobeなどの先進的なテクノロジー企業が名を連ねる。
  • 導入事例: Stripe社CEOのPatrick Collison氏は「Stripeの従業員の間で爆発的に広がり、最高の開発者は皆Cursorを使っている」とコメントしており、トップレベルの開発現場で支持されていることがわかる。

8. サポート体制

  • ドキュメント: 公式ドキュメントが整備されており、機能の詳細や使い方を確認できる。
  • コミュニティ: Discordサーバー公式フォーラムには活発なコミュニティがあり、ユーザー同士での情報交換や開発者へのフィードバックが行われている。
  • 公式サポート: Teamsプラン以上で、優先的なEメールサポートが提供される。

9. 連携機能 (API・インテグレーション)

  • VS Code拡張機能: VS Codeの豊富な拡張機能エコシステムをそのまま利用可能。
  • GitHub: PRの自動レビュー、要約生成、エージェントによる修正など、GitHubワークフローと深く連携するBugbot機能を提供。
  • CLI: コマンドラインインターフェースを通じ、エディタの主要なAI機能をスクリプト化したり、他のツールと連携させたりすることが可能。
  • MCP (Model Context Protocol): 外部のドキュメントやDBスキーマなどをAIのコンテキストとして提供するためのプロトコルに対応。

10. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: SSO (SAML/OIDC) に対応 (Teamsプラン以上)。
  • データ管理: チーム管理者が組織全体でプライバシーモードを強制でき、コードがモデル学習に使用されるのを防げる。AIが実行するコマンドはサンドボックス化され、安全性が確保されている(macOSおよびLinuxに対応)。
  • 準拠規格: SOC 2 Type II認証を取得している。

11. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: VS Codeとほぼ同じUI/UXを提供しており、非常に直感的で使いやすい。既存のVS Codeユーザーであれば、迷うことなく操作できる。
  • 学習コスト: VS Codeの経験があれば、学習コストはほぼゼロ。AI機能のプロンプトや使い方に慣れる時間は必要だが、基本的な操作はすぐに習得できる。

12. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: G2, 公式フォーラム, 各種技術ブログ
  • 総合評価: 4.7/5.0 (G2)
  • ポジティブな評価:
    • 「コードベース全体を理解してくれるため、ファイル横断的な質問やリファクタリングが非常に簡単になった」
    • 「Cmd+Kでのインライン編集は、一度使うと元に戻れないほど生産性が上がる」
    • 「VS Codeの環境をそのまま引き継げるので、移行のハードルが全くなかった」
  • ネガティブな評価 / 改善要望:
    • 「AI機能を使うと、時々動作が重くなることがある」
    • 「GitHub Copilotに比べて価格が高いのがネック」
    • 「Vimキーバインドのサポートが不完全で、一部の操作が機能しないことがある」
  • 特徴的なユースケース:
    • 大規模なレガシーコードの解析やドキュメント作成に活用し、キャッチアップ時間を大幅に短縮した事例。

13. 直近半年のアップデート情報

  • 2026-01-08: CLI機能の強化。モデル選択、ルール管理、MCPサーバーの有効/無効化などがコマンドラインから可能に。
  • 2025-12-22 (v2.3): レイアウトのカスタマイズ機能と全体的な安定性の向上。
  • 2025-12-18: エンタープライズ向け機能(会話インサイト、共有可能な会話トランスクリプト、請求グループ、サービスアカウント)を追加。
  • 2025-12-10 (v2.2): 対話的なデバッグを支援する「デバッグモード」、ブラウザレイアウト、マルチエージェント評価機能を追加。
  • 2025-11-21 (v2.1): エディタ内でAIによるコードレビューを実行する機能、インタラクティブなプランモード改善を追加。
  • 2025-10-29 (v2.0): 複数のAIエージェントを並列実行するMulti-Agents機能、エージェント機能に特化した独自モデルComposerを導入。

(出典: Cursor Changelog)

14. 類似ツールとの比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
Cursor VS CodeベースのAI統合型エディタ。コードベース全体を理解する。 深い文脈理解、高度なエージェント機能、既存のVS Code環境との互換性。 料金が比較的高め、パフォーマンス懸念。 コードベース全体にまたがる複雑なタスクをAIに任せたい場合。
GitHub Copilot 各種エディタの拡張機能として提供。強力なコード補完が主体。 導入が手軽、多くのエディタに対応、比較的安価。 コードベース全体の理解は限定的、チャット機能が主体。 高速なコード補完を主目的とし、既存のエディタ環境を変えたくない場合。
Amazon CodeWhisperer AWSサービスとの連携に特化したコーディング支援ツール。 AWSのSDKやAPIに精通、セキュリティスキャン機能、無料で利用可能。 AWS以外の開発では汎用性に欠ける。 主にAWS上での開発を行う場合。
Tabnine コードのプライバシーを重視。ローカル環境でも動作可能なモデルを提供。 高いプライバシー保護、オフライン動作、チームのコーディングスタイル学習。 コード生成能力は最新のクラウドベースモデルに劣る場合がある。 コードの機密性が最優先事項であり、外部への送信を避けたい場合。

15. 総評

  • 総合的な評価:
    • Cursorは、単なるAI補完ツールではなく、「AIとのペアプログラミング」を次のレベルに引き上げる統合開発環境と言える。VS Codeの堅牢な基盤の上に、コードベース全体を深く理解する独自のAI機能を構築することで、開発体験を根本から変革するポテンシャルを持つ。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • 大規模で複雑なコードベースを扱うチームや、新しい技術を迅速に取り入れる必要のあるスタートアップに特に推奨できる。既存のVS Code環境からの移行コストが低いため、個々の開発者がボトムアップで導入を試しやすいのも利点。
  • 選択時のポイント:
    • ファイル横断的なリファクタリングや、自然言語での複雑な指示によるコード生成を重視するならば、現状最も有力な選択肢。GitHub Copilotなどの補完ツールに物足りなさを感じている開発者にとって、大きな生産性向上をもたらす可能性がある。ただし、月額料金と要求されるマシンリソースは、導入前に検討すべきトレードオフとなる。