AWS MCP Servers 調査レポート
1. 基本情報
- ツール名: AWS MCP Servers
- ツールの読み方: エーダブリューエス エムシーピー サーバーズ
- 開発元: AWS Labs
- 公式サイト: https://awslabs.github.io/mcp/
- 関連リンク:
- GitHub: https://github.com/awslabs/mcp
- ドキュメント: https://awslabs.github.io/mcp/
- カテゴリ: 開発者ツール / AWS
- 概要: AWS MCP Serversは、Model Context Protocol (MCP) に準拠した公式のMCPサーバー群です。これを使用することで、Claude DesktopやCursorなどのMCP対応クライアントから、AWSのリソース管理、CloudFormationによるデプロイ、Amazon Bedrockの利用、AWSドキュメントの検索などを直接行うことが可能になります。
2. 目的と主な利用シーン
- 解決する課題:
- AIアシスタントがAWSの最新情報やアカウント内のリソース状況を把握していない。
- AWSコンソールとエディタを行き来するコンテキストスイッチのコスト。
- CloudFormationテンプレートの作成やデバッグに手間がかかる。
- 想定利用者:
- AWSを利用してアプリケーションを開発・運用するエンジニア
- クラウドインフラをコード管理しているSRE/DevOpsエンジニア
- 利用シーン:
- ドキュメント検索: “S3のライフサイクルポリシーの設定方法は?” とAIに尋ねて、最新の公式ドキュメントに基づいた回答を得る。
- インフラ構築: 自然言語で指示してCloudFormationテンプレートを生成・デプロイする。
- トラブルシューティング: アカウント内のリソース状態(EC2インスタンスのステータスなど)をAIに確認させる。
- AI機能の統合: Amazon BedrockのKnowledge Basesを利用してRAGアプリを開発する。
3. 主要機能
AWS MCP Serversは複数のサーバー実装を含んでいます:
- AWS Documentation MCP Server: AWSの公式ドキュメントを検索・参照する機能。
- AWS CloudFormation MCP Server: CloudFormationスタックの作成、更新、リソース情報の取得。
- Amazon Bedrock Context Retrieval MCP Server: Bedrock Knowledge Basesからの情報取得。
- Amazon Bedrock Agent Runtime MCP Server: Bedrock Agentsの実行。
- AWS HealthOmics MCP Server: ヘルスケアデータのワークフロー実行。
- AWS Pricing MCP Server: AWSサービスの料金情報の取得(Q/A形式)。
- Amazon MQ MCP Server: メッセージブローカーの管理。
- DocumentDB MCP Server: DocumentDBの管理。
- Core MCP Server: AWS SDK (v3) をラップし、汎用的なAWS APIコールを可能にするサーバー。
4. 開始手順・セットアップ
- 前提条件:
- Node.js (v18以上)
- AWS CLIの設定済み(
~/.aws/credentials) - MCP対応クライアント(Claude Desktop, Cursorなど)
- インストール/導入:
リポジトリをクローンし、必要なサーバーをビルドしてクライアント設定に追加する。
npxを使用した直接実行も可能。 例(Claude Desktopの設定):{ "mcpServers": { "aws-kb": { "command": "npx", "args": ["-y", "@awslabs/mcp-server-bedrock-kb", "--region", "us-east-1", "--kb-id", "YOUR_KB_ID"] } } } - 初期設定:
- AWSの認証情報は標準のプロファイル(default)または環境変数を使用する。
- クイックスタート:
- 公式ドキュメントの “Getting Started” に従い、まずは
aws-documentation-mcp-serverを設定してドキュメント検索を試すのが推奨される。
- 公式ドキュメントの “Getting Started” に従い、まずは
5. 特徴・強み (Pros)
- AWS公式: AWS Labsが開発しており、AWSのベストプラクティスに沿った実装が期待できる。
- 包括的な機能: 単なるAPIラッパーにとどまらず、IaC (CloudFormation) やAI (Bedrock) といったモダンな開発フローを支援するサーバーが揃っている。
- 安全性: クライアント(Claudeなど)を介してHuman-in-the-loop(人間の承認)を経て実行されるため、意図しないリソース操作を防げる。
6. 弱み・注意点 (Cons)
- 設定の複雑さ: 複数のサーバーが含まれており、それぞれ個別に設定が必要な場合がある。
- コスト: サーバー自体の利用は無料だが、背後で実行されるAWS API呼び出し(特にBedrockなど)には通常のAWS利用料が発生する。
- 開発段階: まだ新しいプロジェクトであり、頻繁な更新や仕様変更の可能性がある。
7. 料金プラン
| プラン名 | 料金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| OSS | 無料 | GitHubで公開されており、利用自体は無料。 |
- 課金体系: AWSリソースの利用料(APIリクエスト、インスタンス稼働、Bedrockトークン料など)は別途AWSアカウントに課金される。
8. 導入実績・事例
- 導入企業: 公開直後のため具体的な企業名はまだ少ないが、多くのAWS開発者が検証を行っている。
- コミュニティ: GitHubのStar数は増加傾向にあり、AWSブログでも紹介されている。
9. サポート体制
- ドキュメント: GitHub Pages上の公式ドキュメントが充実している。
- コミュニティ: GitHub IssuesやDiscussionsでの報告・議論が可能。
- 公式サポート: AWS Labsプロジェクトであるため、通常のAWSサポート(ビジネスサポート等)の対象外となる場合がある点に注意(あくまでOSSとしての提供)。
10. エコシステムと連携
10.1 API・外部サービス連携
- API: MCPプロトコル経由でAWS SDK for JavaScript v3を利用。
- 外部サービス連携: 各種AWSサービス (S3, Lambda, DynamoDB, Bedrock, etc.)。
10.2 技術スタックとの相性
| 技術スタック | 相性 | メリット・推奨理由 | 懸念点・注意点 |
|---|---|---|---|
| Node.js | ◎ | 実装言語であり、親和性が高い。 | 特になし。 |
| Python | ◯ | MCPは言語非依存のため利用可能。 | サーバー自体はTS実装が多い。 |
| AWS CDK | △ | 現状はCloudFormationサーバーが主。 | CDKとの直接連携は今後の課題か。 |
11. セキュリティとコンプライアンス
- 認証: AWS CLI (
~/.aws/credentials) の認証情報を利用するため、IAMロールやMFAの設定がそのまま適用される。 - データ管理: ローカルで動作するため、認証情報が外部サーバーに送信されることはない。
- 準拠規格: AWSのセキュリティ基準に準拠したSDKを使用。
12. 操作性 (UI/UX) と学習コスト
- UI/UX: AIとのチャットインターフェースで完結するため、CLIやコンソールを行き来する必要がなく、操作性は高い。
- 学習コスト: MCPのセットアップさえできれば、あとは自然言語で操作できるため学習コストは低い。ただしAWSの基礎知識は必要。
13. ベストプラクティス
- 効果的な活用法 (Modern Practices):
- 最小権限の原則: MCPサーバーを実行するプロファイルには、AdministratorAccessではなく、必要な操作のみを許可したIAMポリシーを付与する。
- ドキュメントサーバーの常駐: 開発中は常にドキュメントサーバーを有効にしておき、ハルシネーションを防ぐ。
- 陥りやすい罠 (Antipatterns):
- 本番環境への直結: 誤操作のリスクがあるため、まずは開発環境(Sandboxアカウント)で試用する。
14. ユーザーの声(レビュー分析)
- 調査対象: X (Twitter), GitHub
- 総合評価: AWSと生成AIを組み合わせる開発者から高い期待を集めている。
- ポジティブな評価:
- 「ドキュメント検索が便利すぎる、もう検索窓はいらない」
- 「CloudFormationのデプロイまでチャットで完結するのは未来感がある」
- ネガティブな評価 / 改善要望:
- 「セットアップ手順が少し長い」
- 「もっと多くのサービスに対応してほしい」
15. 直近半年のアップデート情報
- 2024-11: AWS MCP Servers 初回リリース。主要なサーバー群(Documentation, CloudFormation, Bedrock)が公開。
(出典: GitHub Releases)
16. 類似ツールとの比較
16.1 機能比較表 (星取表)
| 機能カテゴリ | 機能項目 | AWS MCP Servers | AWS CLI | AWS Console |
|---|---|---|---|---|
| インターフェース | 自然言語操作 | ◎ AI経由 |
× コマンド |
× GUI |
| 情報取得 | ドキュメント統合 | ◎ 即座に検索 |
× 不可 |
△ 別タブで検索 |
| 自動化 | 複数手順の実行 | ◎ AIが推論 |
◯ スクリプト化要 |
× 手動 |
16.2 詳細比較
| ツール名 | 特徴 | 強み | 弱み | 選択肢となるケース |
|---|---|---|---|---|
| AWS MCP Servers | AIエージェント向けインターフェース | 自然言語でリソース操作・情報検索が可能。コンテキストスイッチ不要。 | まだ対応していない操作がある。 | AIアシスタント(Claude/Cursor)を使いながらAWS開発を行う場合。 |
| AWS CLI | コマンドラインツール | 全機能を網羅し、スクリプト化が容易。 | コマンドやオプションを覚える必要がある。 | 定型作業の自動化や、厳密な操作が必要な場合。 |
| AWS Console | Web管理画面 | 視覚的にリソースを確認・設定できる。 | 手順が多く、再現性がない。 | 全体像の把握や、GUIでの設定が楽なサービスを利用する場合。 |
17. 総評
- 総合的な評価: AWS MCP Serversは、AWS開発の体験を「検索・調査・コマンド実行」のサイクルから「対話・指示・確認」のサイクルへと変革するツールである。特にドキュメントサーバーとBedrock連携は、開発効率を大きく向上させるポテンシャルがある。
- 推奨されるチームやプロジェクト:
- 生成AIを活用した開発フローを積極的に取り入れているチーム。
- AWS上での開発頻度が高いエンジニア。
- 選択時のポイント:
- 既存のAWS CLI/CDKワークフローを完全に置き換えるものではなく、AIによる「ブースト」として導入するのが良い。