Affinity 調査レポート

開発元: Serif (Canva)
カテゴリ: デザインツール

写真編集、ベクターデザイン、DTP機能を単一のアプリケーションに統合したプロ向けクリエイティブソフトウェア。2025年10月よりCanvaによる買収を経て完全無料化された。

総合評価
85点
基準点70点からの評価
オープンソース
非公式・商用
無料プラン
あり
最低価格
無料
対象ユーザー
デザイナークリエイター学生
更新頻度
🆕 最新情報: 2025年10月にV3をリリースし、3つのアプリを1つに統合、完全無料化

📋 評価の詳細

👍 加点項目

  • +12 プロ向けツールが完全無料で利用可能であり、コストパフォーマンスが圧倒的に高い
  • +5 写真編集、ベクター、DTP機能が1つのアプリに統合され、ワークフローが効率化された
  • +3 Adobe製品との高い互換性と高速なパフォーマンス

👎 減点項目

  • -3 高度なAI機能の利用には別途Canvaの有料プラン契約が必要
  • -2 買い切りモデルから無料への移行に、一部の既存ユーザーから将来のビジネスモデルに対する懸念の声がある
総評: 完全無料化と機能統合により圧倒的な価値を提供するが、AI機能の利用はCanvaのエコシステムに依存する。

Affinity 調査レポート

1. 基本情報

  • ツール名: Affinity
  • ツールの読み方: アフィニティ
  • 開発元: Serif (Canva)
  • 公式サイト: https://affinity.serif.com/
  • 関連リンク:
  • カテゴリ: デザインツール
  • 概要: Affinityは、従来は個別のアプリケーションだった写真編集(Photo)、ベクターデザイン(Designer)、ページレイアウト(Publisher)の機能を、単一のアプリケーションに統合したプロフェッショナル向けのクリエイティブソフトウェアです。2024年のCanvaによる買収を経て、2025年10月30日にAffinity V3としてリリースされ、完全無料化されました。

2. 目的と主な利用シーン

  • 解決する課題: デザイナー、写真家、イラストレーターなどのクリエイティブ専門家に対して、高機能なデザインツールを無料で提供し、クリエイティブ業界のコスト障壁を下げること。また、複数のデザイン作業を一つのアプリで完結させ、ワークフローを効率化します。
  • 想定利用者: プロのクリエイター、フリーランサー、学生、コストを抑えたい企業、趣味でデザインを行う個人など。
  • 利用シーン:
    • 写真編集: RAW現像、レタッチ、合成などの高度な写真編集作業(旧Photoの機能)。
    • ベクターデザイン: ロゴ、イラスト、UIデザインなどのベクターベースのグラフィック作成(旧Designerの機能)。
    • デスクトップパブリッシング(DTP): 雑誌、パンフレット、レポートなどのレイアウトデザイン(旧Publisherの機能)。

3. 主要機能

  • 統合されたスタジオ: ベクター編集(Vector)、ピクセル編集(Pixel)、レイアウト(Layout)の3つの「スタジオ」をシームレスに切り替え可能。
  • 高パフォーマンスエンジン: リアルタイムでの非破壊編集、スムーズなズーム、数千レイヤーのサポートを実現する高速なエンジン。
  • 幅広いファイル互換性: PSD (Photoshop), AI (Illustrator), PDF, SVG, TIFF, IDML (InDesign) など、Adobe製品を含む主要なファイル形式をサポート。
  • カスタマイズ可能なワークスペース: ユーザーのワークフローに合わせて、パネルやツールを自由に配置し、カスタムスタジオとして保存・共有可能。
  • Canva AI連携: Canvaの有料プラン契約者向けに、Generative FillなどのAI機能をAffinity内で利用可能。
  • Image Trace機能: ビットマップ画像を編集可能なベクターデータに変換する新機能。

4. 特徴・強み (Pros)

  • 完全無料: Adobe Creative Cloudの強力な代替となりうるプロ向けツールが、サブスクリプション不要で完全に無料で利用できます。
  • オールインワン: 従来3つの別アプリだった機能が1つに統合され、異なる作業(写真編集とベクターデザインなど)をアプリ間で切り替える必要がなくなりました。
  • 高速・高機能: 軽快な動作と、プロの要求に応える豊富な機能(非破壊編集、CMYK対応、高度なタイポグラフィなど)を両立しています。
  • Adobeからの移行のしやすさ: Adobe製品に似たUI/UXを持ち、ファイル互換性も高いため、既存のワークフローからの移行が比較的容易です。

5. 弱み・注意点 (Cons)

  • AI機能は有料: Canvaの生成AI機能を利用するには、Canvaの有料サブスクリプションが必要です。
  • 既存ユーザーからの懸念: 従来の永続ライセンス(買い切りモデル)を支持していたユーザーからは、Canvaのエコシステムに組み込まれることや、将来的なサブスクリプション化への懸念が示されています。
  • Canvaアカウントが必須: 利用には無料のCanvaアカウントへの登録が必要です。
  • 一部機能の喪失懸念: 3つのアプリを1つに統合したことにより、一部のニッチな機能が失われている可能性がユーザーから懸念されています。

6. 料金プラン

Affinityの本体機能は完全に無料ですが、高度なAI機能を利用するにはCanvaの有料プランが必要です。

プラン名 料金 主な特徴
Affinity (無料) 無料 すべてのデザイン機能が期間制限なく利用可能。Canvaアカウントへの登録が必要。
Canva Pro $12.99/月〜 Affinity内でCanva AIの機能(生成AIなど)を利用可能。個人・フリーランサー向け。
Canva for Teams $14.99/月〜 Canva Proの全機能に加え、チームでの共同作業機能が強化。
  • 課金体系: Affinity自体は無料。AI機能の利用はCanvaのサブスクリプション(ユーザー単位)に依存します。
  • 無料トライアル: Canva Proには無料トライアルが存在します。

7. 導入実績・事例

  • 導入企業: 従来(有料版)は世界中のフリーランスデザイナーや小規模スタジオで利用実績がありました。無料化後は、個人ユーザーや教育機関での利用が急速に拡大しています。
  • 導入事例: 具体的な企業名は公式サイトで大々的には公開されていませんが、コストを抑えたいスタートアップや教育現場での活用が期待されています。
  • 対象業界: デザイン、広告、出版、教育など。

8. サポート体制

  • ドキュメント: 公式の学習(Learn)ページで、豊富なビデオチュートリアルやヘルプドキュメントが提供されています。
  • コミュニティ: 公式フォーラムが存在し、ユーザー間の情報交換が活発に行われています。
  • 公式サポート: 無料ツールのため、メールや電話での個別サポートは限定的です。Canvaの有料プランユーザーは、Canva経由でのサポートが提供されます。

9. 連携機能 (API・インテグレーション)

  • API: 現時点で公開されている汎用的なAPIの情報は限定的です。
  • 外部サービス連携: Canvaプラットフォームとの連携が最大の特徴です。Affinityで作成したデザインをCanvaにエクスポートし、共同編集や公開を行うことができます。

10. セキュリティとコンプライアンス

  • 認証: Canvaアカウントを利用するため、Canvaのセキュリティ基準(2段階認証など)に準拠します。
  • データ管理: Canvaのプライバシーポリシーに基づき、ユーザーの作品がAIの学習に利用されることはないと明言されています。
  • 準拠規格: CanvaはSOC2やISO27001などの認証を取得しており、同等のセキュリティレベルが期待されますが、Affinity単体での認証については公式サイトで明記されていません。

11. 操作性 (UI/UX) と学習コスト

  • UI/UX: 従来のAffinityのUIをベースにしており、Adobe製品に慣れたユーザーであれば、比較的スムーズに移行可能です。カスタマイズ性が高いのも特徴です。
  • 学習コスト: プロ向けの多機能ソフトウェアであるため、デザイン初心者には一定の学習コストが必要です。しかし、無料であるため学習を始めやすい環境が整っています。

12. ユーザーの声(レビュー分析)

  • 調査対象: Creative Bloq, invernessdesignstudio.com, 各種テック系メディア記事, X(Twitter)など
  • 総合評価: 突然の無料化と機能統合は、デザイン業界で大きな話題となりました。多くのユーザーがこの動きを歓迎する一方で、一部の既存ユーザーからは懸念の声も上がっています。
  • ポジティブな評価:
    • 「Adobeの独占に対抗する大きな一歩。プロ向けツールが無料になるのは素晴らしい革命だ」(Creative Bloqより)
    • 「3つのアプリが1つに統合され、写真編集からレイアウトまで、アプリを切り替えることなくシームレスに作業できるようになった」
    • 「Image Traceのような待望の機能が追加され、プロダクトが進化し続けている点は評価できる」
  • ネガティブな評価 / 改善要望:
    • 「Canvaによる買収後のサブスクリプションモデルへの移行を懸念していたが、最悪の事態は避けられた。しかし、Canvaのエコシステムに組み込まれることへの不安は残る」(invernessdesignstudio.comより)
    • 「長年支持してきた永続ライセンス(買い切りモデル)がなくなったのは残念だ」
    • 「AI機能がCanvaの有料プランに限定されているのは理解できるが、少しがっかりした」
  • 特徴的なユースケース:
    • レビューからは、これまでコスト面でAdobe製品の導入をためらっていた学生や小規模なデザインスタジオが、Affinityを第一の選択肢として検討し始めている様子がうかがえます。

13. 直近半年のアップデート情報

  • 2025-11-06: Affinity 3.0.1 リリース。安定性の向上といくつかのバグ修正。
  • 2025-10-30: Affinity V3 (3.0.0) リリース。従来の3アプリ(Designer, Photo, Publisher)を単一アプリに統合し、完全無料化。Image Traceなどの新機能を追加。
  • 2025-10-01: Affinityの旧バージョン(V2)の公式サイトでの販売を停止。V3への移行準備のため。
  • 2024-03-26: 開発元のSerif社がCanvaに買収されたことを公式に発表。

(出典: Canva Newsroom)

14. 類似ツールとの比較

ツール名 特徴 強み 弱み 選択肢となるケース
Affinity 統合型デザインツール 完全無料、高機能、高速動作、単一アプリでの効率的なワークフロー AI機能は有料、サポートは限定的 コストを最優先しつつプロ品質のツールが必要な場合。
Adobe Creative Cloud 業界標準のデザインツール群 機能の網羅性、エコシステムの成熟度、最新AI機能 高価なサブスクリプション 業界標準のワークフローや最新機能が必須なプロの現場。
GIMP/Inkscape オープンソースのデザインツール 完全無料、コミュニティベースの開発 UI/UXやパフォーマンスで劣る場合がある。機能が分離している。 オープンソース思想に共感し、コストをかけずに使いたい場合。
Figma UI/UXデザイン特化ツール リアルタイム共同編集、強力なプラグインエコシステム 印刷物や写真編集は不得意 WebサイトやアプリのUI/UXデザインをチームで行う場合。

15. 総評

  • 総合的な評価: Affinity V3の完全無料化と機能統合は、クリエイティブソフトウェア市場における破壊的な出来事です。プロ品質のツールを無料で提供し、かつ単一アプリでシームレスなワークフローを実現することで、Adobeの独占的な地位に挑戦する強力な選択肢となります。Canvaの使いやすさとAffinityの専門機能が融合することで、新たなデザインワークフローが生まれる可能性も秘めています。
  • 推奨されるチームやプロジェクト:
    • コストを抑えたいフリーランサーや小規模事業者: Adobeのサブスクリプション費用をかけずにプロ品質のツールを導入できます。
    • 教育機関や学生: クリエイティブ教育のための標準ツールとして最適です。
    • Canvaユーザー: Canvaを主に利用しつつ、より高度なデザイン編集が必要な場合にシームレスな連携が可能です。
  • 選択時のポイント:
    • コストが最優先事項であれば: Affinityが最良の選択です。
    • 業界標準のワークフローや最新のAI機能が必須な場合: 引き続きAdobe Creative Cloudが有力です。
    • Webベースの共同編集が中心なら: Figmaが適しています。
    • Affinityは、「無料で使えるプロ向け統合デザインツール」という独自の地位を確立し、多くのクリエイターにとって魅力的な選択肢となるでしょう。