消費税改革がPOSシステムエコシステムに与える影響の深層分析
この通説の真偽に迫ります。
この問題は、「どの会社の、どのシステムか」によって答えが全く異なります。
大手小売向けの高機能・高価格なターミナル型POS。堅牢ですが、カスタマイズが多く柔軟性に欠けます。
中小企業向けの低価格・アジャイルなタブレット型POS。クラウドベースで、迅速な更新が可能です。
顧客はスーパー、百貨店、大手チェーン。数万点のSKUと本社システムとの複雑な連携が求められます。
主要ベンダー
顧客は個人経営の飲食店やサロン。低コストと導入の手軽さ、シンプルな運用が重視されます。
主要サービス
問題の核心はPOS端末ではなく、その背後にある巨大なITエコシステムです。
POS端末(見える部分)
水面下の巨大なシステム群(見えない部分)
一つの変更が、全ての連携システムの改修を必要とする「連鎖反応」を引き起こします。
影響範囲の評価、ベンダー選定、数千万円規模の予算確保。
POS、基幹、会計など複数チームが並行してシステムを改修。
最も重要。全取引パターンを網羅的に検証し、バグを修正。
全店舗への展開、数千人規模のスタッフへのトレーニング。
・税率テーブルの手動変更
・全商品マスターの再設定
・レシートフォーマット調整
→ エラーの温床となり、膨大なテストが必要。
・Web画面で新税率を設定
・商品への税率割り当ては一括変更
・ベンダーが自動更新
→ ユーザーの作業は数分で完了。
数千万〜数億円の開発費に加え、値札の全点貼り替えなど物理コストも発生。
IT人材が規制対応に縛られ、売上を伸ばすための戦略的投資が停滞する。
2019年にはミニストップ等で設定ミスが多発。顧客からの信頼を失うリスクも。
時限的・短期的な税率変更は莫大な社会的コストを生む。変更の際は18ヶ月以上の準備期間を設けるべき。
この苦痛を、レガシーシステムから脱却する好機と捉えるべき。俊敏性への投資は、将来のコストを削減する。