GitHub Actions ランナーコストの真実

ホステッドの利便性 vs セルフホステッドのコスト削減:どちらが最適か?

一見すると、答えは明白に見える

標準的なLinuxランナーの純粋なコンピュート時間単価を比較すると、セルフホスティングが圧倒的に安価です。しかし、この数字には物語の全ては含まれていません。

GitHub ホステッド

$0.48

/ 時間 (2-core Linux)

セルフホステッド (AWS)

$0.086

/ 時間 (同等のVM)

直接コスト比較:VMスペック別

GitHubが提供する様々なランナー仕様と、AWS上の同等スペックのVM(オンデマンド価格)の時間単価を比較します。LinuxとWindowsの両方でセルフホスティングが安価に見えます。

このグラフは純粋なコンピュートコストのみを示しており、TCO(総所有コスト)は含まれていません。

⚠️

macOSの罠:24時間の最低利用料金

クラウド上でmacOSをセルフホストする場合、Appleのライセンスにより物理マシンを最低24時間借りる必要があります。これにより、たとえ10分のビルドでも丸1日分の高額な料金が発生し、断続的なCIワークロードではGitHubホステッドより遥かに高コストになります。

30分のビルドジョブのコスト比較 (M1ランナー):

GitHub: $2.40

セルフホスト: $37.44 (~15.6倍)

氷山の一角:セルフホスティングの隠れたコスト

セルフホスティングの真のコストは、VMの料金だけではありません。見えにくい運用コスト(TCO)が、全体の費用を大きく押し上げます。

目に見えるコスト:VMインスタンス料金

水面下の巨大なコスト:総所有コスト (TCO)

👤

人的オーバーヘッド

セットアップ、保守、パッチ適用、監視、トラブルシューティング... これらは全てエンジニアの貴重な時間を消費します。

$15,000+/年

☁️

ネットワーク料金

Dockerイメージ等のデータ転送にはエグレス料金が発生します。GitHubホステッドではこれは無料です。

$100+/月

💾

その他コスト

永続ストレージ料金、ジョブがない時のアイドル時間コスト、スケーリング管理の複雑性も考慮必須です。

変動的

定性的スコアカード:コストを超えた評価

最適な選択は、コストだけでなく、開発速度、セキュリティ、保守の手間など、多角的な視点から判断する必要があります。

評価項目 GitHubホステッド セルフホステッド
コスト予測性 ⭐️⭐️⭐️⭐️ ⭐️⭐️
セットアップと保守の手間 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ ⭐️
セキュリティ責任 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ ⭐️⭐️
パフォーマンスとカスタマイズ ⭐️⭐️⭐️ ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
スケーラビリティ ⭐️⭐️⭐️⭐️ ⭐️⭐️⭐️

あなたの組織に最適な戦略は?

組織の規模と成熟度に応じて、最適なアプローチは異なります。

あなたのチームのエンジニア数は?

15人未満

スタートアップ / 小規模チーム

推奨:GitHubホステッド

TCOを考慮すると、セルフホストは割に合いません。エンジニアリング時間を製品開発に集中させるべきです。

15~100人

成長中の組織

推奨:ハイブリッド戦略

まずGitHubホステッドから始め、コスト増に応じて最も利用量の多いジョブからセルフホストを検討。macOSはホステッドのままに。

100人以上

大企業

推奨:積極的なハイブリッド戦略

専任チームでセルフホストフリートを管理し、コストを最適化。macOSやバースト用にGitHubホステッドを活用します。