中国におけるレアアース精錬の環境・健康的代償に関する包括的影響評価報告書
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中国におけるレアアース精錬の環境・健康的代償に関する包括的影響評価報告書
エグゼクティブ・サマリー
現代のテクノロジー社会を支えるスマートデバイス、電気自動車(EV)、再生可能エネルギーインフラの急速な普及は、ネオジムやジスプロシウムといった希土類元素(レアアース、REE)の安定供給に依存している。しかし、これら「グリーンテクノロジー」の基盤となる物質の採掘・精錬プロセスは、供給の90%以上を掌握する中国国内において、甚大な環境破壊と深刻な公衆衛生上の危機を引き起こしている。本報告書は、中国におけるレアアース産業がもたらした被害の実態について、地質学的データ、疫学研究、および現地調査資料に基づき包括的に分析したものである。
調査の結果、被害の形態は地域ごとの鉱床タイプによって明確に二分されていることが判明した。北部の内モンゴル自治区(バヤンオボ鉱山)では、軽希土類(LREE)の精錬に伴う放射性トリウムを含む尾鉱ダムの漏洩が、周辺村落における「がん村」の形成や家畜の大量死、住民の骨格フッ素症を引き起こしている。一方、南部の江西省(ガン州)や四川省では、イオン吸着型鉱床からの重希土類(HREE)抽出に用いられる硫酸アンモニウムによる原地浸出法(イン・サイチュ・リーチング)が、土壌の不可逆的な化学変質、地下水汚染、そして「空洞米(hollow rice)」と呼ばれる農作物の不稔障害を招いている。
さらに、中国国内での環境規制強化に伴い、汚染源が国境を越えてミャンマー(カチン州)へ流出する「リーケージ効果」が確認された。政情不安定な紛争地帯での無秩序な採掘は、環境破壊を輸出する新たな地政学的リスクとなっている。本報告書は、これらの具体的な事例を詳述し、レアアース供給網に隠された人的・環境的コストを明らかにする。
1. 序論:グリーン・パラドックスと戦略的独占の代償
1.1 産業構造と環境負荷の相関
中国は現在、世界のレアアース精錬の約92%、磁石製造の98%を支配している。この圧倒的なシェアは、低コストでの生産を優先し、環境保護コストを外部化してきた長期的な産業政策の結果である。レアアース鉱石は、トリウムやウランなどの放射性物質と共存する場合が多く、その分離・精製には酸浴、焙焼、溶媒抽出といった強力な化学的処理が必要となる。一般に、1トンのレアアース酸化物を生産するために、2,000トンの有毒廃棄物が生成されると試算されており、これには放射性残留物、フッ素、重金属が含まれる。
1.2 規制強化と汚染の移転
2016年以降、中国政府は「グリーン・レアアース」構想を掲げ、業界を6大国有企業(SOE)に統合し、違法採掘の取り締まりを強化した。しかし、この措置は国内の環境基準を引き上げた一方で、採掘コストの上昇を招き、結果として環境規制の緩いミャンマー国境地帯への汚染プロセスの移転を加速させた側面がある。脱炭素社会の実現に不可欠な素材が、その上流工程において極めて高い環境負荷を生み出している現状は、現代における最大の「グリーン・パラドックス」である。
2. 北部戦線:バヤンオボと放射性尾鉱の脅威
内モンゴル自治区包頭(パオトウ)市の北120kmに位置するバヤンオボ鉱山は、世界最大の軽希土類鉱床である。ここでは、採掘と精錬の過程で発生する放射性廃棄物と重金属汚染が、地域社会に壊滅的な打撃を与えている。
2.1 尾鉱ダム(Weikuang Dam)による複合汚染
包頭市近郊には、バオガングループ(包鋼集団)が運営する巨大な尾鉱ダムが存在する。面積は約10平方キロメートルに及び、上空からは巨大な湖のように見えるが、実際には精錬工程から排出された有毒なスラッジ(汚泥)の集積場である。
2.1.1 汚染のメカニズムと放射能
このダムには遮水シートなどの漏洩防止措置が講じられていないため、有毒物質が地下水脈に浸透し続けている。尾鉱には平均0.05%の濃度で放射性トリウムが含まれており、これに加えて高濃度のフッ化物、硫酸塩、ヒ素、カドミウム、鉛が混在している。ダムの湖岸は「黒い殻(black crust)」と呼ばれる厚い堆積物に覆われており、大人が歩けるほどの硬度を持つが、その下には有毒な汚泥が広がっている。
2.1.2 大気拡散と粉塵被害
乾燥した内モンゴルの気候は、尾鉱ダムの乾燥した表面から放射性粉塵を巻き上げ、周辺地域に拡散させる。現地でのガンマ線スペクトロメトリー測定によると、ダム周辺の放射線レベルは80 nGy/hから400 nGy/hに達しており、表土には放射性トリウムが濃縮されていることが確認されている。住民や労働者は、高濃度のトリウムを含む粉塵を日常的に吸入する環境に置かれている。
2.2 具体的事例:打拉亥(Dalahai)村の悲劇
尾鉱ダムに隣接する打拉亥(Dalahai)村は、レアアース汚染の最も深刻な被害を受けた「がん村」の典型例として知られている。かつてはメロンや野菜の産地として栄えたこの村は、現在、居住に適さない土地となっている。
2.2.1 疫学的異常と「がん村」の実態
複数の調査および現地住民の証言により、打拉亥村における深刻な健康被害が明らかになっている。
- がん死亡率の急増: ある研究によると、同村のがん罹患率は全国平均の9倍に達すると報告されている。特に肺がん、胃がん、食道がんの死亡率が高く、これはトリウム含有粉塵の吸入およびカドミウムや鉛などの重金属に汚染された地下水の摂取との関連が強く示唆されている。
- 骨格フッ素症: 地下水中の高濃度フッ素により、住民の間で骨格フッ素症が蔓延している。これは骨が脆くなり変形する病気で、住民は激しい関節痛、歯の黒変や脱落、背骨の湾曲などを訴えている。30代や40代で労働能力を失う住民も少なくない。
- 呼吸器疾患と皮膚障害: 硫酸ミストや石炭粉塵、放射性物質を含む大気汚染により、慢性的な呼吸器疾患や皮膚病変が報告されている。
2.2.2 農業と畜産の崩壊
1980年代後半から、ダム周辺の村々では農作物の異変が報告され始めた。作物が育たない、実が結ばない、あるいは異臭を放つ小さな実しかできないといった現象が頻発した。さらに、汚染された水を飲んだり、粉塵が付着した草を食べたりした家畜(羊、牛、馬)が次々と病死し、畜産業は壊滅した。新光三村(Xinguang Sancun)では、農業による生計維持が不可能となり、わずか10年間で人口が2,000人から300人に激減するという社会的崩壊が発生している。
2.3 労働者への長期的影響
バヤンオボ鉱山の労働者を対象としたコホート研究では、トリウムを含む粉塵とラドン/トロン壊変生成物に曝露されたグループにおいて、肺がんによる死亡率が有意に高いこと(標準化死亡比 SMR 1.36)が定量的に示されている。これは、鉱山労働が職業性発がんリスクと直結していることを示す医学的証拠である。
3. 南部戦線:江西省・ガン州における「化学的侵食」
中国南部、特に江西省ガン州(Ganzhou)周辺には、中重希土類(MHREEs)を豊富に含むイオン吸着型鉱床が分布している。ここでの環境被害は、北部の放射能汚染とは異なり、酸性溶液を用いた抽出プロセスによる土壌と水系の化学的破壊が特徴である。
3.1 採掘技術の変遷と環境負荷
南部の採掘手法は、露天掘りから「原地浸出法(In-Situ Leaching, ISL)」へと移行したが、これが地下環境に不可逆的なダメージを与えている。
- 池浸出法(第1世代): 当初は表土を剥ぎ取り、浸出池で酸処理を行う手法がとられたが、これは大規模な森林破壊と土壌流出を引き起こした。
- 原地浸出法(第2世代): 現在主流のこの手法は、山体に直接穴を掘り、硫酸アンモニウム溶液を注入してレアアースイオンを溶出させ、山麓で回収するものである。外見上の森林破壊は抑制されるが、地質構造内部に大量の化学物質を残留させる。
3.2 硫酸アンモニウムによる土壌・地下水汚染
原地浸出法では、レアアース酸化物1トンを生産するために、約7〜8トンの硫酸アンモニウムが投入される。回収されずに地中に残留した溶液は、深刻な窒素汚染を引き起こす。
- アンモニア態窒素の残留: 採掘終了から12年が経過した地点でも、深層土壌中のアンモニア態窒素濃度が採掘前の12〜40倍という高濃度で残留していることが確認されている。
- 地下水汚染: 鉱区周辺の地下水からは、3,500〜4,000 mg/Lという極めて高濃度の硫酸アンモニウムに加え、鉛やカドミウムなどの重金属が検出されている。龍南県(Longnan)などの地域では、川面に「有毒な白い泡」が浮かび、魚が生息できない「死の川」と化した事例が報告されている。
3.3 農業被害:「空洞米」と重金属汚染米
ガン州の鉱山周辺地域では、汚染された灌漑用水と土壌酸性化により、農業生産に壊滅的な影響が出ている。
3.3.1 「空洞米(Hollow Rice)」現象
汚染地域で栽培されたイネにおいて、籾(もみ)の中に米粒が実らない、あるいは極端に発育不良となる「空洞米」あるいは「不稔」と呼ばれる現象が多発している。研究によれば、土壌の極端な酸性化と栄養バランスの崩壊、さらには微気候の変化(乾燥化)が、イネの登熟期に生理障害を引き起こし、空洞粒の発生率を高めているとされる。収量が大幅に減少するだけでなく、農家にとっては収入源の喪失を意味する。
3.3.2 重金属の生物濃縮と食品安全
収穫できた米であっても、安全とは言い難い。鉱山地域由来の米を分析した調査では、カドミウム(Cd)、ヒ素(As)、鉛(Pb)の濃度が顕著に高く、調査対象となった米の65%が中国の国家食品安全基準(カドミウム)を超過していたというデータがある。カドミウム汚染米の摂取は、腎機能障害や「イタイイタイ病」に類似した症状、さらには発がんリスクの上昇につながる。メタアナリシス研究においても、中国の鉱山周辺地域の米における重金属リスクは、成人および小児の両方に対して許容レベルを超えていることが示唆されている。
3.3.3 ネーブルオレンジへの影響
ガン州はネーブルオレンジの主要産地でもあるが、果樹園が旧鉱山跡地やその周辺に造成されるケースがある。研究によると、土壌中のレアアース濃度と果実品質には相関があり、適度な濃度では品質向上に寄与する可能性がある一方で、果肉(パルプ)への重希土類(HREE)の蓄積が確認されている。これは、食物連鎖を通じて人間が希少金属を摂取する新たな経路となっている懸念がある。
3.4 地滑りと地質災害
硫酸アンモニウムの注入は、土壌粒子の結合を弱め、地盤を液状化に近い状態にする。これにより、地滑りや山体崩壊のリスクが劇的に高まる。ガン州地域では、採掘活動に起因する地滑りが100件以上報告されており、人的被害とレアアース資源の損失を招いている。これらの災害は、単なる自然災害ではなく、人為的な地質改変による「人災」である。
4. 南西部戦線:四川省・冕寧(Mianning)の地質災害
四川省の冕寧(Mianning)県にあるMaoniuping(牦牛坪)鉱山は、世界第2位の軽希土類鉱床であるが、ここでも深刻な環境破壊が進行している。
4.1 重金属の広域拡散
Maoniuping鉱山周辺の南河(Nanhe)流域を対象とした大規模な土壌調査では、鉛(Pb)とカドミウム(Cd)による汚染が、鉱山面積の約6.6倍に相当する38.1平方キロメートルにわたって広がっていることが判明した。重金属は地表流出を通じて拡散しており、水平方向に1.3km、河川に沿って縦方向に16km、垂直方向にも1m以上の深さまで到達している。
4.2 尾鉱ダム決壊と土石流のリスク
四川省は地形が急峻であり、地震多発地帯でもあるため、尾鉱ダムや廃棄土砂の崩落リスクが極めて高い。
- 河川の閉塞: 2020年6月、冕寧県で発生した土石流は、鉱山活動による植生破壊と土壌不安定化が要因の一つとされ、Caogu川を閉塞させた。
- 住民への被害: 過去の事例では、尾鉱の漏洩により安寧河(Anning River)が汚染され、下流の村落の灌漑用水や飲料水が危機に瀕したため、政府が水路変更プロジェクトや作付け転換(食用作物から換金作物への変更)を余儀なくされた経緯がある。
5. 「リーケージ効果」:ミャンマー国境への汚染輸出
2016年以降、中国政府は環境規制を強化し、違法採掘の取り締まりを行った。しかし、これにより消滅したはずの「汚い採掘」は、国境を越えてミャンマーのカチン州へと移動した。これは環境負荷の解決ではなく、地理的な移転(リーケージ)に過ぎない。
5.1 カチン州における違法採掘の爆発的増加
2021年のミャンマー軍事クーデター以降、国境地帯の統治機能が低下した隙を突き、中国資本による採掘活動が激増した。衛星画像解析によると、カチン州の一部地域では、シンガポールの国土面積に匹敵する範囲に2,700以上の浸出液回収プールが建設されていることが確認されている。
5.2 紛争資源化と環境アナーキー
ミャンマーでの採掘は、カチン独立軍(KIA)や国境警備隊(BGF)、親軍事政権民兵などの武装勢力支配地域で行われており、レアアースは紛争資金源となっている。
- 環境規制の欠如: 中国国内では禁止または厳格に管理されている技術が、ミャンマーでは無規制で使用されている。シュウ酸や硫酸アンモニウムが山体に無差別に注入され、N’Mai Kha川などの水源が汚染されている。住民は川の水が濁り、魚が死に、飲用不能になったと訴えている。
- 地滑り災害: 2020年やその後の雨季には、採掘による地盤の緩みが原因と見られる地滑りが頻発し、複数の死者・行方不明者が出ているが、紛争地帯であるため正確な死者数は把握されていない。
5.3 供給網への還流
重要な点は、ミャンマーで採掘されたレアアース(特にジスプロシウムやテルビウムなどの重希土類)のほぼ全量が、国境を越えて中国雲南省に輸出され、中国の正規のサプライチェーンに統合されているという事実である。2024年のデータでも、中国は重希土類原料の相当部分をミャンマーからの輸入に依存しており、中国国内の「クリーンな」生産実績は、国境の向こう側の環境破壊によって支えられている構造が浮き彫りになっている。
6. 健康影響の深層分析:生体試料と疫学データ
環境汚染は、地域住民の体内に確実に痕跡を残している。ここでは、生体試料分析と疫学調査の結果を統合し、人体への影響を詳述する。
6.1 生体試料中のレアアースと重金属
鉱山周辺住民の血液、尿、毛髪を分析した研究は、汚染物質の体内蓄積を裏付けている。
- 血液・尿: バヤンオボ鉱山周辺の住民31名を対象とした調査では、血液サンプルから100%の確率でランタン(La)やセリウム(Ce)などのレアアースが検出された。尿中の検出率は32.86%であり、血液への蓄積が顕著であることが示された。
- 毛髪: ガン州などの鉱山地域における居住者の毛髪分析では、対照地域と比較して有意に高いレベルの重金属(鉛、カドミウム、銅、ニッケル)およびレアアースが検出されている。特に子供の毛髪からの検出は、発育への長期的影響が懸念される。また、性別による蓄積の差異も報告されており、男性は女性よりも毛髪中のレアアース濃度が高い傾向にあるという研究結果もある。
6.2 がん死亡率と遺伝子毒性
- 遺伝子損傷: 汚染地域の地下水を用いた実験では、トウモロコシの幼苗細胞においてDNA損傷が確認されており、これはヒト細胞に対しても遺伝子毒性を持ちうることを示唆している。
- 超過死亡率: バヤンオボ鉱山の労働者における肺がん死亡率の有意な上昇(SMR 1.36)に加え、周辺村落における全がん死亡率の上昇は、トリウム粉塵と重金属汚染の複合的影響を示している。特筆すべきは、「がん村」とされる地域のがん罹患率が全国平均の数倍から9倍に達するという報告であり、これは統計的な誤差では説明がつかない異常値である。
7. 修復と経済的現実:開発の「負債」
7.1 天文学的な修復コスト
レアアース産業が生み出した利益に対し、環境修復コストはあまりに巨額である。ガン州における過去の違法採掘および国営採掘の跡地を修復するには、数十億元(数億ドル)規模の費用がかかると試算されており、一部の報告では環境修復コストが採掘による収益を上回ると指摘されている。
- 時間的尺度: 硫酸アンモニウムによって破壊された土壌化学を回復し、地下水を浄化するには、50年から100年の歳月が必要とされる。これは、現在の世代の利益のために、数世代先まで続く「環境的負債」を残すことを意味する。
7.2 2024年の規制状況と展望
2024年、中国政府はレアアース管理条例を施行し、採掘から輸出に至るまでのトレーサビリティを強化した。これにより、表向きの環境コンプライアンスは向上している。しかし、サプライチェーンの透明化が進む一方で、ミャンマーからの「ブラック・レアアース」の流入が続いている限り、根本的な解決には至らない。世界的な需要が増加し続ける中、中国国内での規制強化は、汚染の外部化(アウトソーシング)をさらに加速させる可能性がある。
8. 結論
中国におけるレアアース精錬の実態調査は、ハイテク産業の輝かしい発展の裏に、回復不能な環境破壊と深刻な人権侵害が存在することを浮き彫りにした。北部のバヤンオボでは放射能が大地と住民の肺を蝕み、南部のガン州では化学物質が土地の豊かさを奪い「空洞米」を生み出している。さらに、その汚染は国境を越え、ミャンマーの紛争地帯で新たな悲劇を引き起こしている。
これらの被害は、偶発的な事故ではなく、長年にわたり環境コストを無視して安価な供給を優先してきた構造的な必然である。我々が手にするスマートフォンやEVには、Dalahai村の住民の健康や、ガン州の農家の生活基盤という「見えないコスト」が含まれていることを認識する必要がある。
表1: 地域別環境・健康被害比較
| 地域 | 北部(バヤンオボ/包頭) | 南部(ガン州/江西省) | 南西部(冕寧/四川省) | ミャンマー国境(カチン州) |
|---|---|---|---|---|
| 主要資源 | 軽希土類(LREE) | 中重希土類(HREE) | 軽希土類(LREE) | 重希土類(HREE) |
| 採掘・精錬法 | 露天掘り、酸焙焼 | イオン吸着、原地浸出法(硫酸アンモニウム) | 露天掘り | 原地浸出法(無規制) |
| 主要汚染物質 | 放射性トリウム、フッ素、ヒ素 | アンモニア態窒素、重金属(Cd, Pb) | 鉛、カドミウム、尾鉱 | シュウ酸、硫酸アンモニウム |
| 環境被害の特徴 | 尾鉱ダム(放射性湖)、粉塵飛散 | 地下水汚染、土壌酸性化、「毒の泡」 | 広域土壌汚染、河川閉塞 | 河川汚染、森林破壊 |
| 健康・社会被害 | 肺がん、骨格フッ素症、「がん村」 | 「空洞米」、カドミウム米、経済損失 | 灌漑用水汚染、地滑り被害 | 紛争資金化、住民退去 |
表2: 関連する主な健康・環境研究データ
| 調査対象・場所 | 観測された事象・データ | 原因物質・要因 | 参照元 |
|---|---|---|---|
| バヤンオボ鉱山労働者 | 肺がん標準化死亡比(SMR) 1.36 | トリウム・シリカ粉塵吸入 | |
| 打拉亥(Dalahai)村 | がん罹患率が全国平均の 9倍 | 放射性尾鉱、汚染地下水 | |
| 江西省ガン州 | 米の 65% がカドミウム基準値超過 | 土壌への重金属溶出 | |
| 鉱山周辺児童(毛髪) | 重金属・レアアース濃度の有意な上昇 | 環境暴露(粉塵、水) | |
| 四川省南河(Nanhe) | 汚染範囲 38.1 km² (鉱区の6.6倍) | 尾鉱流出、地表水拡散 |
引用文献
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- Developing Rare Earth Processing Hubs: An Analytical Approach - CSIS, https://www.csis.org/analysis/developing-rare-earth-processing-hubs-analytical-approach
- China: Baogang Group alleged of heavy metal & radioactive pollution from tailings dam, incl. co. non-response - Business & Human Rights Resource Centre, https://www.business-humanrights.org/en/latest-news/china-baogang-group-alleged-of-heavy-metal-radioactive-pollution-from-tailings-dam-incl-co-non-response/
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