データで見る自動運転の真実

完全自動運転(レベル5)はまだ未来の話。しかし、現在主流のレベル4技術は、すでに多くの点で人間ドライバーの安全性を超えています。本インフォグラフィックは、その実態をデータに基づき解き明かします。

世界で加速するレベル4開発競争

🇺🇸 米国:イノベーション主導型

各州が独自に規制を進めるボトムアップ方式。Waymoなどが特定都市でサービスを深化させ、成功モデルを他都市へ展開しています。

  • 💡技術革新を促進する自由な環境
  • 🏙️都市単位での高密度なサービス展開
  • patchwork州ごとの規制の違いが全国展開の課題

🇨🇳 中国:国家戦略主導型

政府主導のトップダウン方式。Baiduなどが国家プロジェクトとして複数都市で大規模フリートを同時展開し、一気に規模を拡大しています。

  • 🏛️政府と企業が一体となった迅速な開発
  • 🌐インフラ整備と連携した大規模実証
  • 📈圧倒的なスピードでのスケール獲得

🇪🇺 欧州:統一規制協調型

EU全体で統一された規制枠組みの構築を目指す協調方式。ドイツが法整備で先行し、国境を越えたサービス展開の土台を築いています。

  • 🤝加盟国間の規制調和を重視
  • 📜世界に先駆けた法整備(ドイツ)
  • 2026年までの統一枠組み導入が目標

数値で比較:自動運転車 vs 人間ドライバー

単純な事故件数には「報告バイアス」が潜んでいます。軽微な事故も報告する自動運転車に対し、人間は報告しないケースが多数。そこで、より深刻な「負傷を伴う事故」で比較することが重要です。

負傷事故率の比較 (100万マイル走行あたり)

Waymoのデータは、人間が運転する車と比較して、負傷を伴う事故の発生率が劇的に低いことを示しています。

事故リスクの低減効果

85%

負傷を伴う事故の
減少率

57%

警察への報告があった事故の減少率

92%

人身傷害賠償請求の
減少率

88%

物損害賠償請求の
減少率

保険会社の客観的なデータも、Waymoの安全性の高さを裏付けています。社会全体の損失を大きく減らす可能性を秘めています。

教訓となった事故:Cruise社の「エッジケース」

2023年10月、Cruise社の車両が関わった事故は、技術的限界と企業倫理の重要性を業界に突きつけました。

事故の連鎖とシステムの致命的な誤判断

1

一次衝突

人間が運転する車が、信号無視の歩行者に衝突。

2

進路上への投げ出し

歩行者が弾き飛ばされ、隣を走行中のCruise車両の前に。

3

二次衝突

Cruise車両はブレーキをかけるも間に合わず、歩行者と衝突。

4

致命的な誤認識

システムは、車両下に人がいることを検知できず、「側面衝突」と誤分類。

5

引きずり事象

安全プロトコルが作動し、歩行者を引きずったまま約6m移動。この事実の報告遅れが信頼を失墜させ、事業停止につながった。

万が一の事故、搭乗者はどうすべきか?

レベル4車両の事故では、対応の主体は遠隔サポートセンターです。搭乗者は「当事者」から「被保護者」へ。パニックにならず、プロトコルに従うことが重要です。

取るべき行動 (Do's)

  • 1.
    冷静に車内に留まる:火災などの二次災害がない限り、車内が最も安全な場所です。
  • 2.
    サポートと通信する:車内スクリーンやアプリで積極的に連絡を取り、状況を伝え指示を仰ぎます。
  • 3.
    緊急サービスの指示に従う:警察や救急隊が到着したら、その指示が最優先です。
  • 4.
    証拠を保全する:安全確保後、可能であればスマホで現場や車両の写真を撮影します。
  • 5.
    医療機関を受診する:目に見える怪我がなくても、必ず専門医の診断を受けましょう。

避けるべき行動 (Don'ts)

  • 1.
    自分で車両を操作しない:システムがロックされている可能性があり、予期せぬ動作は危険です。
  • 2.
    現場で責任について言及しない:責任の所在は複雑です。憶測での発言は避けましょう。
  • 3.
    不必要に車外へ出ない:二次被害のリスクがあります。指示があるまで車内待機が原則です。
  • 4.
    SNSへ即時投稿しない:不正確な情報は後のトラブルの原因になり得ます。
  • 5.
    保険会社と安易に示談しない:専門家に相談するまで、安易な同意は禁物です。